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「個人」の力が国を立て直す時代へ

――今まさに問われる「有権者の社会的責任」

2009年9月1日(火)

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 2009年の暑い8月が終わり、民主党の圧勝で衆議院選挙の幕が下りました。皆さんの事前予想は当たりましたでしょうか? また皆さんの1票はどのように結果に反映したでしょう?

 私の友人知人にも、今回の選挙を戦った人が、何人かあります。ある人は当選し、またある人は惜敗を喫しました。

 当選した人は、国政に重大な責任を持つわけですから、ビジョンや政策について真剣に考えてもらう必要があるのは言うまでもありません。そういう記事はたくさん出ることでしょう。

 そこで今回は、ほかであまり触れられないかもしれない2つの立場、「選挙戦に破れた人」と「そもそも選挙に出なかった人」、つまり「ただの人」である国民に注目して、政権交代後の日本のあるべき形を考えてみたいと思います。

 なぜって、当選した人たちだけが政治の主役であるわけではないからです。政治の主役はあくまで国民であるべきでしょう。そして代議士はそれを支える黒子として働くのが本来の姿だからです。

「ビジョン」を持ちつつ「政策」を展開する

 数週間前のこの連載で、私はやや青臭い「あるべき代議士の基本」のような内容を記しました。曰く「実現可能な公約を掲げよう」「言った約束は守ろう」「人の気を引くだけのウソはつかないようにしよう」などなど。

 こういった記事に対して「そんな候補者がいるのか?」という指摘も受けましたが、実はこの連載は、実際に立候補している友人知人、つまり候補者も読んでいることを承知しているので、私としては「候補者向けのエール」としても、ああいった「原点に遡行する」ような内容を記したわけです。

 ささやかな私のコラムではありますが、もしかして、いくつかの選挙区で、より多く身のある政策論争を含む、より原点に立ち返った主張がなされる役に立ったなら、社会の成員の1人として大変嬉しく思います。

 この原稿の予定稿では、自民党の「みなさんとの約束」や民主党の「マニフェスト」を引用して、それらがどれくらい具体的な政策になっているか、実はほとんどなっていない、ということを、選挙後だから言えること、として準備していたのですが、いざ蓋を開けてみると、いささか下馬評はあったものの、この大差です。そういう議論でもなかろう、という気がしましたので、開票後にすべて原稿を打ち直すことにしました。

 1つ強調しておきたいのは「ビジョン」「政策」の違いです。すぐに具体化の可能性がなくても、それを掲げることで国の中長期的な方針が定まる「ビジョン」は、大変に重要なものです。民主党のマニフェストの52番目には

「東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する」

 とありますが、「東アジア共同体の具体的な構築法」など2009年の時点では誰も言うことができないでしょう。その意味で、この1条は民主党の「ビジョン」ではあっても具体的な「政策」としての「公約」、つまり期間を区切っての達成目標にはなっていません。

 では「『公約』ではない絵に描いた餅だ、掲げる必要はない、などと言うか」と問われれば、とんでもない。正反対です。

EU通貨統合に見る半世紀越しの「ビジョンから政策へ」

 試みに、1945年のヨーロッパを考えてみましょう。第2次世界大戦終了直後、ドイツはナチスの暴政によって失敗国家として敗戦を迎え、他方フランスは結果的な戦勝国とは言うものの、ドイツ占領状況下で国内は荒廃しきっていました。

 こんな時代に「ドイツ・マルクとフランス・フランを統合しよう」などと言ったなら、どれだけ「非現実的」というそしりを受けたでしょう? でも、欧州の恒久平和のために最も資する施策の1つは究極的には通貨統合をベースとする経済的な一体化である、と考える人たちがいました。フランス外相ロベール・シューマンはその代表的な人物です。

 シューマンはドイツとフランスの国境地帯で、両国が領土の奪い合いを繰り返したアルザス・ロレーヌ地方で生まれ、ドイツで教育を受け、ルクセンブルクでも活躍し、戦後はフランスで重要閣僚を歴任してから「欧州委員会」の創設に尽力しました。シューマンの生前、欧州での通貨統合は夢のまた夢と思われました。

コメント19件コメント/レビュー

記事に感銘を受けました。最近、メディアなどが使う「国民」(あるいは「庶民」)という言葉に違和感を感じているところでした。国家の成員として「政治家」や「公務員」や「国民」とカテゴライズするのはいいにしても、「政治家」や「公務員」を犯罪者集団のように言い立てる一方で、「国民」をただ搾取されるだけの単一な弱者集団のように扱う薄っぺらさ。単に「政治家」と言ってもその背景や思想、人間性が様々であるように、「国民」も単純な言葉でひとくくりにできないはずなのに・・・。そういった属性をあえて無視して、国家の中に存在する「政治家」という役割集団を表現するなら、「国民」もまた国家の中での役割集団であることの自覚を促すべきなのに、「マスメディア」がその役割を真っ先に放棄している以上、伊東氏のような方を端緒として議論が盛り上がっていくこと、そしてそれに参加できるようになることに期待を持っています。(ただの技術屋)(2009/09/05)

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記事に感銘を受けました。最近、メディアなどが使う「国民」(あるいは「庶民」)という言葉に違和感を感じているところでした。国家の成員として「政治家」や「公務員」や「国民」とカテゴライズするのはいいにしても、「政治家」や「公務員」を犯罪者集団のように言い立てる一方で、「国民」をただ搾取されるだけの単一な弱者集団のように扱う薄っぺらさ。単に「政治家」と言ってもその背景や思想、人間性が様々であるように、「国民」も単純な言葉でひとくくりにできないはずなのに・・・。そういった属性をあえて無視して、国家の中に存在する「政治家」という役割集団を表現するなら、「国民」もまた国家の中での役割集団であることの自覚を促すべきなのに、「マスメディア」がその役割を真っ先に放棄している以上、伊東氏のような方を端緒として議論が盛り上がっていくこと、そしてそれに参加できるようになることに期待を持っています。(ただの技術屋)(2009/09/05)

この記事で感じたことは,自民党が歴史的大敗をしたのがちょうど戦後のパージと連想すると世代交代・活性化の絶好の機会だということです。これを機に40代を中心とする若手に大胆に世代交代してほしいものです。自民党の長老方に英断を期待したいです。(2009/09/04)

民主主義が多数決の横暴ではなく、少数意見への配慮も決して失わないというのはその通りです。しかし、今はマスコミによって民主主義が危険な状態に入っているのではないでしょうか。マスコミは決して中立ではありません。表現の自由は、西洋に於いては歴史的に信仰告白の自由がベースとなっていますが、日本に於いては、編集長等の自由、一部少数のマスコミ経営陣の自由でしかありません。マスコミが騒げばあたかもそれが民意として反映されてしまいます。民主主義では様々な人の意見が取り上げられなければいけませんが、誰の意見を取り上げ、誰の意見を取り上げないかは、一部マスコミ人の掌中にあります。小選挙区制も少数意見を拾い上げる上で問題です。(2009/09/02)

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