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episode:24
「高くて美味しいのは当たり前だから、わたしは高級な店には興味がないんだ」

  • 阿川 大樹

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2009年9月1日(火)

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前回までのあらすじ

12年ぶりに大日本鉄鋼に戻った旭山隆児(あさひやまりゅうじ)の新部署、第三企画室の出社禁止期間が明けた。風間麻美(かざまあさみ)と楠原弘毅(くすはらこうき)の話を元にビジネスモデルの検証を始めた3人。チームワークの片鱗が見えてきた第三企画室だが、本社は人員削減を発表しようとしていた。

「コーキ君、ビール行く?」

「いいですねえ。異議なしです」

画像のクリックで拡大表示

 外はまだ明るいけど、この風間さんの誘いには二つ返事だ。

 旭山さんは別にコワくて窮屈な上司ってわけではないけれど、それでも上司は上司だから、旭山さんがいないといくらかはリラックスする。

 風間さんの場合は、それが人の呼び方に反映される。

 コーキ君といったかと思うと、楠原さんとか、楠原くんとか、風間さんが僕を呼ぶ呼び方はいろいろで、それは一体どういう基準に基づいているのだろうとずっと思っていた。

 どうでもいいといえばそうだけど、やっぱり気になっていた。ところが最近、隠れた法則性に気づいたのだ。旭山さんがいないときは「コーキ君率」80パーセント、いるときは25パーセント以下。理科系だから、一応、少しだけサンプルデータを取ってみた。理由はわかるといえばわかる。わからないといえばわからない。

 どちらにしても、コーキ君と風間さんに呼ばれると、逆らえないばかりか、なんだか尻尾を振って言うことを聞いてしまいたくなる自分がいる。

 時刻は6時半を回ったところだ。

 第三企画室に来るようになって、滅多にこんなに早くオフィスを出ることはない。夏の日の火曜日の夕方、明るいうちから飲むビール。それは学生の頃よりも遥かに魅力的だ。自分で働いた給料で、自分に「よくやった」といいながらジョッキを傾ける。

 就活をしながら、就職したらある種の自由を失い、たとえ自分が目指していたエンジニアになったとしても、どこか自分という人間を会社に切り売りするのだと考えもした。けれど、実際に会社員というものになってみると、むしろ新しい自由を獲得した喜びがあった。

 風間さんは、僕が提案を却下するなどいうことは絶対にあり得ないと決めつけたように、僕が返事をするかしないかのタイミングで、「よし」といって席を立ち、住宅用に設計されたこの部屋のバスルームに入っていった。

 風間さんのパソコンはすでにシャットダウンモードに入っているらしく。エアコンの音だけがする部屋でハードディスクがせわしない音を立てている。いつもそうなのだけど、そしてぴったりパソコンの電源が落ちる頃、メイクを直し終わってフロアに現れるのだ。

「行くわよ」

「それ、勝負メイクなんですか?」

 いつか聞こうと思っていたことを聞いてみる。

「え? どういうこと?」

「風間さん、いつも帰り際にお化粧直してるから」

「うーん、なるほど、何にも考えてなかったな。習慣? 身だしなみ? ……かな。コーキ君に勝負挑んでもしょうがないもん」

「それはあんまりだと思いますけど」

「へえ、コーキ君、わたしに少しは気があるわけ?」

「あったらどうします?」

コメント2

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