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最低時給1000円時代の現場

物流生産性が企業間格差を広げていく

  • 大矢 昌浩

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2009年9月8日(火)

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 今回の総選挙で民主党は最低賃金を全国平均で時給1000円まで引き上げると公約した。地域を問わずに一律で適用する「全国最低賃金」を新たに設定し、まずは最低時給を800円に底上げするという。

 2008年度の最低賃金は全国平均で時給703円。これを800円にすれば13.8%増、1000円だと42.2%増だ。地域別で最も安い宮崎県、鹿児島県、沖縄県の場合、現状が627円なので、800円で27.6%増となる。1000円では、59.5%増にもなってしまう。

 物流コストは約6割が人件費だ。最低時給が1000円になれば、物流コストも当然、大幅に増加する。日本のGDP(国内総生産)で約10%を占めている物流コストの上昇は、物価に甚大な影響を与える。

 それでも物流現場の実情を見る限り、最低賃金の引き上げに反対はできない。現在の最低賃金では、どれだけ働いてもまともには暮らせない。

「製造派遣はまだマシだ」

 2008年6月の秋葉原無差別殺傷事件では、起訴された加藤智大被告がトヨタ系列の工場で働く派遣社員であったことから、事件を引き起こした背景として格差社会を挙げる論調が見られた。しかし、筆者の周囲では「製造派遣はまだマシだ」という声の方が多く聞かれた。

 報道によると、加藤の時給は1300円だったという。非正規雇用とは言え、フルタイム労働なので、クビにされない限り月収は約20万円。年収ベースにすれば、ワーキングプアの目安とされる200万円を超える。

 一方、物流派遣の相場は、大都市圏で派遣先が派遣元に支払う時給が1300円だ。そこから派遣会社のマージンや交通費を引くと手取りの時給は1000円を切る。1日7時間働いても月収は15万円余り。年収200万円を下回る。ワーキングプアは主に物流の問題なのだ。

 ワーキングプアを生み出した元凶として槍玉に挙げられた日雇い派遣大手のグッドウィルやフルキャストなどの派遣先も、6割以上が倉庫や引越などの物流現場だった。

 物流現場の管理責任者にとって、日雇い派遣会社は実にありがたい存在だ。電話1本で翌朝には必要なだけ現場に労働力を届けてくれる。

 このコラムで以前にも述べた通り(「学歴無用、現場主義」は強いのか?)、現場のコスト効率は日々変動する物量への対応で大きく左右される。安定稼働を重視して多めに労働力を手当てすれば、ムダに遊ばせてしまう。しかし、人数を絞り過ぎて作業が間に合わなくなったら命取りだ。

 そこに日雇い派遣ベンチャーは新しいソリューションを提供した。携帯電話を使ってフリーターを組織化することで、労働力のジャスト・イン・タイム納品を可能にした。そのマージン率や企業倫理に問題はあっても、仕組み自体は画期的だった。

 しかし、日雇い派遣の禁止は、いまや避けられない情勢となっている。自民党案では1カ月以下の短期派遣をその対象としていたが、民主党への政権交代が実現したことで、マニフェスト(政権公約)通り、その対象が2カ月以下に拡大することになるだろう。

コメント7件コメント/レビュー

■>経営者には、最低賃金などない。時給500円もないような「ワーキングプア経営者」は存在する。■それは「能力の無い経営者」です。そんな人は起業するべきではない。そんな会社に就職する人にとっても迷惑です。(2009/09/13)

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いただいたコメント

■>経営者には、最低賃金などない。時給500円もないような「ワーキングプア経営者」は存在する。■それは「能力の無い経営者」です。そんな人は起業するべきではない。そんな会社に就職する人にとっても迷惑です。(2009/09/13)

経営者には、最低賃金などない。時給500円もないような「ワーキングプア経営者」は存在する。しかも経営者には、失業保険もなく、廃業する時は自殺や借金地獄につながる場合も少なくなく、労働者の何倍ものリスクを負っている。労働者の最低賃金を上げる事は、経営者のクビを締めることになり、正規雇用の抑制につながるのは当然の流れである。中小企業の経営者は、名ばかり店長のような待遇の比ではない。資本主義の崩壊が表面化している現在、無駄といわれている公共事業でしか労働者を雇用する事ができなくなる状態が懸念される。無駄だと言われている費用を削減して、行き着く先には、大量失業時代しかありえない。無駄使いが減っている現在は、多くの労働力自体が無駄である事に多くの人は気が付いていない。この状態を「合成の誤謬」と言うが、行き過ぎた資本主義の先には社会主義に行き着くのかもしれない。(2009/09/11)

最低賃金1000円というのは先日のシノドスとのコラボ経済学講座に出た話題でもありました。講師の飯田先生曰く、最低賃金を上げると失業率が上がる。(細かい理由の説明がありましたが端折って)原資は変わらないのに支出の単価が上がると必然的にそうなってしまうという納得の説明でした。☆秋田県で時給650円の事務職が40倍の倍率だった、というお話もありました。2度もこの話題が出たので東京の方には余程衝撃的なんだろうなぁと思いましたが、例え650円の時給だとしても、週に二日休めても10万円以上の月給になる事務職の求人がある、という事が地方では限りなく貴重な事だというのも40倍になった原因では、と「家に遊びにおいで」と誘った姪っ子に「パスポートがない」と答えられてしまった事務職を探して5年前上京した人間は思いました。(東京と地方の違いを、言葉が通じるしパスポートは要らないけれど賃金体系や環境を含め全く別の国だ、と説明していたので、かなり受けましたけれど)(2009/09/08)

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三品 和広 神戸大学教授