「急募!考え抜く社員」

当事者意識に欠けた社員はいらない

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2009年9月9日(水)

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 景気悪化による消費不振、少子高齢化や人口減少に伴う国内市場の飽和、新興国の追い上げによる価格競争の激化、環境対応などで迫られる産業構造の転換――。現在、日本企業には様々な難題が突きつけられている。

 いずれの解決策も、過去の延長線上の発想やノウハウ本などにある借り物の知識で見つけることはできない。だが、株主に追い立てられる経営者や管理職は早急な解を求め、付加価値創造を担うべき従業員はノウハウ本やインターネットで安易な答え探しに走り回る。

 誰もが答えを求めるこの時代には、どのような人材が必要なのか――。それを探るため、日経ビジネスでは9月14日号で「急募!考え抜く社員 もう借り物の知識には頼らない」というリポートを組む。思考する社員を育てるために、それぞれの企業が何をしているのか、それをまとめた特集だ。

 この企画に先立って、企業に求められる人材について、経営者や識者の意見を掲載していく。2回目は独自の社員研修を進めている大手食品卸、菱食の中野勘治社長である。

(聞き手は日経ビジネス オンライン記者 篠原 匡)

 ―― 菱食は2008年以降、「トップガン・プロジェクト」という独自の社員研修を進めていますね。

 中野 このトップガンは、まさに自分の頭で考える社員を育てるための取り組みですよ。直属の上司も事情も知らない中、社員を突然、本社に呼びだして、「会社の10年後を考えろ」というテーマを与えるわけでしょう。その間、会社は何のアドバイスもしないんだよ。もう自分の頭で考えざるを得ないよね。

編集部注:大手食品卸の菱食は2008年以降、「トップガン・プロジェクト」(詳しくはこちらこちら)という取り組みを進めている。このプロジェクトの別名は「土壌改良プロジェクト」。自分で考え、結論を出し、行動に移す――。そういう土壌に、菱食の組織と社員を変えるための社長肝いりのプロジェクトだった。

 その取り組みは普通の社員研修とは異なる。2008年1月、全国から15人の中堅社員を選抜すると、「10年後、菱食が生き残るために何をすべきか」という漠然としたテーマを提示。その後、3カ月かけて、現状分析、課題発見、問題解決策をゼロベースで考えさせた。

 このトップガン・プロジェクトは既に3回を数えた。さらに、30周年を迎えた今年、菱食は企業ビジョンや行動規範を策定したが、この作業を主導したのも自主的に手を挙げた中堅、若手社員だった。同社の中野勘治社長が始めた「考える社員作り」は全社的な広がりを見せている。

 ―― 「何をどう考えればいいのか、それ自体がわからない」という戸惑いの声も多かったようですね。

 中野 だからいいんじゃないの。この衝撃的な手法によって、社員の目は完全に覚めたと思うよ。この取り組みを1回だけで終わらせないために、全国を5つのエリアにわけて、それぞれの地域ごとに2回目のトップガンを行いました。一部の限られた人間だけだったトップガンを全社展開したということですね。

「考える土壌」は波紋のように広がった

中野 勘治(なかの・かんじ)氏
1939年7月、愛知県生まれ。62年に日本冷蔵(現ニチレイ)入社、93年常務、95年専務。2003年10月、菱食とニチレイの合弁会社、アールワイフードサービスの社長に就任。2006年10月、菱食がアールワイフードサービスを合併したことで菱食の副社長になる。2008年3月、同社社長に就任した
(写真:村田 和聡、以下同)
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 中野 昨年12月には「Newborn 30 Project」というプロジェクトを立ち上げました。この会社には、創業時に作った「消費と生産を結ぶ価値あるかけ橋」という企業ミッションがありますが、このミッションを受けた企業のビジョンや社員の行動規範はありませんでした。8月1日に創立30周年を迎えることを機に、今後30年のビジョンと行動規範を作ろうと思ったんですよ。

 このプロジェクトを進めるにあたっては、35歳ぐらいまでの男女を社内で公募しました。20人ぐらい集まったのかな。その後、トップガンと同様にビジョンや行動規範を考えてもらった。そうしたら、見事なものができあがりましてね。一連の取り組みによって、菱食の中に考える土壌ができたことは確かでしょう。

 ―― 1回で終わらずに、矢継ぎ早に進めたことが大きな要因ですね。

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