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女性部下の“敵”と“怒り”

正しい“怒り”は自分の成長への導火線

2009年9月10日(木)

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 何かに懸命になるがゆえに、何かを捨てる、いや、何かを犠牲にすることがある。

 ・仕事のために、家庭を犠牲にした。
 ・夫のために、自分のキャリアを犠牲にした。
 ・会社のために、プライベートを犠牲にした。
 といった具合だ。

 ところが、その懸命さが報われなかった時、
 「こんなにやってきたのに、なぜなんだよ!」
 と、どうしようもない、ぶつけようのない、怒りを感じる。

 自分でよかれ、と思ってやってきたことであればあるほど、その衝撃は大きい。

 「私、はっきり言って、“女”を捨てて仕事してきたんです。他の女性社員が帰っても、男の中に一人交じって残業もしたし、休日出勤だって率先してやったし、寝る間も惜しんで仕事をしてきた。なのに、なぜこうなるんですかね。私の敵は、二言目には『女だから』という男たちだと思っていました。でも、そうじゃなかった。女の敵は、やっぱり女なんですね。『これまでの人生返せ』と言いたくなります」
 と話してくれたのは、大手企業に勤めるA子、45歳だ。

 彼女の成績は同期の中でも常にトップクラス。初の女性部長になるものと、周りも、そして彼女自身も信じていたそうだ。ところが、部長職第1号となったのは、なんと昨年、育児休暇から復帰したばかりのB子だった。結婚も出産もして育児休暇もしっかり取得し、17時になれば帰宅する、同期のB子だったのである。

私でなくB子が最初の部長になったのはなぜ?

 「会社もずるいです。『うちの会社は女性に優しい会社です』とでも、アピールしたかったのでしょう。会社初の女性部長です、とね。自分で言うのもなんですが、私は周りからも結構期待されていました。ところが、最初の部長になったのは同期のB子だった。しかも、広報部長だなんて、会社の考えが見え見えでしょう。私みたいに結婚もしてなきゃ、子供もいないんじゃ、ダメみたいです。こんなところで、“女”であることを求められるなんて、想像もしていませんでした」

 「いくらワークライフバランスが重視されているって言ったって…。つい数年前まで、『女は子供を楯にして、さっさと帰るから重職は任せられない』と言っていた人たちが、何を今さら、という思いです」

 これまで何回か、女性であるがゆえに遭遇する「ガラスの天井」について、過去のコラム(関連記事「女性部下の昇進を止めた、『僕たちの正当な評価』」でも訴えてきたが、今回の事例は全く逆。

 「女性を積極的に登用しよう」というスローガンの実現のために、女性をわざわざ昇進させた。「うちの会社では、結婚しても、子供を産んでも、ハンディになんかなりません。女性に優しい会社なんです」と、会社の“象徴”の1つとして、B子を昇進させた、とA子は言うのである。

 時代は、ワーク・インバランスから、ワークライフバランスへ。その変化に伴って、人事も変わったということだろうか。

 そもそも、ワークライフバランスの目的は、「ひとりひとりが充実した人生を送ること」にあり、「仕事と生活の調和」と訳されることが多い。

 2007年12月に内閣府で策定されたワークライフバランス憲章では、
 「国民ひとりひとりが、やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会を目指す」としている。

 ワークには、仕事と勤務時間、あるいは残業など仕事の延長線上の生活が、ライフには、それ以外の生活(余暇、家族との生活、休養、睡眠など)が含まれる。

 ワークライフバランスの一環として、長時間労働や時間外勤務を禁じる会社は増えている。しかしながら、昨今の不況下、「残業はダメ、でも、生産性は上げよ」などと、会社都合の勝手な要求を突きつけられる労働者も多く、その取り入れ方には問題がある。

 同時に、本来、ワークライフバランスは、男女、年齢を問わず、「仕事以外の活動」とバランスがとれる働き方、働かせ方、を実現するためのものであるにもかかわらず、少子化対策の関係からか、単なる「子育て支援」として取り組んでいる会社も多い。

 会社の“象徴”として、子供を持つ既婚女性をわざわざ昇進させた、とA子が語る所以はそこにある。

コメント21件コメント/レビュー

転職した身としては女性の昇進に対する処遇は会社によって本当にまちまちで、腰掛の女性が足を引っ張ることもあれば、昇進まで含めて女性をペットとしか見ていない会社もありました。議論がかみ合わない上に、議論を避けるのが日本の本質的な病かもしれません。今いる職場は部下の仕事が美人で政治だけはできる女性に吸い上げられるという、なんともやる気をそがれるところですが、それでも慣れてやっていけるようになって、初めて自分の成果を認めてもらえるようになりました。昇進が人生の全てとは全く思いませんが、昇進とはそういうものなのだと実感しています。(2009/09/21)

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「女性部下の“敵”と“怒り”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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転職した身としては女性の昇進に対する処遇は会社によって本当にまちまちで、腰掛の女性が足を引っ張ることもあれば、昇進まで含めて女性をペットとしか見ていない会社もありました。議論がかみ合わない上に、議論を避けるのが日本の本質的な病かもしれません。今いる職場は部下の仕事が美人で政治だけはできる女性に吸い上げられるという、なんともやる気をそがれるところですが、それでも慣れてやっていけるようになって、初めて自分の成果を認めてもらえるようになりました。昇進が人生の全てとは全く思いませんが、昇進とはそういうものなのだと実感しています。(2009/09/21)

Aさんは怒る資格がないのでは? Aさんは男女差別に反対と言っていますが、「男に負けないために男以上に働いた」ということは、男女差別を認めたことになります。それで、自分ほど働かないBさんのような女性を「ただの女性として」差別してきたわけです。つまり差別を助長させているわけです。それに対してBさんは素晴らしい。まだまだ5時退社とか育児休暇なんて怖くてとれないという人が多い中、それを実践したわけです。勇気があります。Bさんは「新しいことにチャレンジできる人材」という評価をされてもおかしくはない。それに比べてAさんは「昔からの既成概念にとらわれて新しい発想ができない人」という印象です。しかも、それを僻んでいるフシもある。問題が多い人材と言えます。(2009/09/15)

仕事が成功を収めたときなど、その女に対して取る男の態度が、私にとって嫌なものでした。「コツコツやってきたから、大きな成果が得られたね。でも今後は、ダイナミックな発想が要求されるから、女は難しいだろうなあ。」〔会議での発言に対して〕「すばらしい提案だ。女性の細やかな感性から出る発想だ。」(←実は、いろんなシチュエーションを想定できないという自分の欠陥を、性差にスライドしているだけ。)実害はないとは言え、こういうのが度重なると、やる気を失っていくのです。もちろん、男はそうして女を貶めようとしているのでしょうが。なかなか怒るだけの元気は出ないものです。(2009/09/14)

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