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閉鎖的業界で流通革命に再挑戦
医療メーカーを顧客の声で口説く

アスクル

  • 川又 英紀

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2009年9月16日(水)

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アスクルは1990年代に巻き起こした文具流通革命に匹敵する難事業に着手した。
参入障壁が高い医療業界に切り込み、オフィス用品から専門商品まで販売する。
当初及び腰だった医療材料メーカーを顧客の声で突き動かし、取引を開始した。
約1600億円ある連結売上高のうち、今や約200億円を医療機関の購買が占める。(敬称略)

<日経情報ストラテジー 2007年4月号掲載>

プロジェクトの概要

 アスクルがオフィス用品の次に狙う市場は、医療機関や飲食店といった専門商品を必要とする業界である。専門商品であっても、注文があればすぐに物流センターから配送して翌日までに届けるサービスを提供する。特に医療機関の中には既にアスクルからオフィス用品を購入しているところが多く、注射針などの専門商品まで販売できる顧客基盤が整っていた。

 しかし、アスクルはサービス開始までに想像以上の苦労を強いられる。既にある物流システムに専門商品を載せて運べばいいといった考えは甘過ぎた。医療材料の主要メーカーはいずれも既存の販売店に気を遣い、アスクルとの取引に応じなかったからだ。これでは専門商品を仕入れられない。プロジェクトは一時、解散に追い込まれる。だが、水面下で交渉を続けたリーダーの発想の転換が実り、2004年1月に専門カタログの発行に漕ぎ着けた。

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 アスクルの使命は、顧客の声に従って、凝り固まった既存の流通システムを破壊し、ゼロから再構築することである。1990年代に文具業界に衝撃を与えたアスクルの流通革命は既存の販売店から反発を食らったが、顧客には絶大な支持を受けた。

 だからこそ、93年に文具メーカーであるプラスの一事業部として産声を上げ、97年からは新会社アスクルとして文具流通を変えてきた同社は、2006年5月期に約1600億円を売り上げる企業にまで成長できた。アスクルの名は全国にとどろき、今では同社の通販カタログに商品を載せたいと手を挙げるメーカーが後を絶たない状況である。

 もしもアスクルが別の業界でもう一度、文具の流通革命に匹敵する大事業を成功させることができたら、アスクルはさらなる成長を遂げることだろう。だがそこには、文具業界で体験した時と同じ厳しい試練が待ち受けている。既存の流通システムを守ろうとするメーカーや販売店の抵抗に立ち向かわなくてはならないからだ。それだけの覚悟を持っていなければ、新事業は必ず失敗する。

 アスクルが2000年代に入り、文具業界の次に目を付けたのは医療業界だった。医療機関向けに、注射針や手術道具といった専門商品から、マスクやグローブなどの病院特有の消耗品までを幅広く販売しようというわけだ。

メーカーから取引を断られて、とん挫

 現在メディカル&ケア事業部長を務める吉岡晃は2001年当時、これから自分が挑もうとする新事業が、自社が巻き起こした文具流通革命に相当するほどの難題であるとは認識していなかったはずである。創業当時のアスクルとは状況が全く異なっていたからだ。同社の最大の特徴である翌日配送のための物流システムや受発注システムは既に整っている。しかも、2001年時点で全国に約16万カ所ある医療機関のうち、35%が既にアスクルからオフィス用品を購入していた。つまり、顧客基盤もある。アスクルの認知度はメーカー、顧客ともに高い。カタログに載せる専門商品さえ新たに用意すれば、すぐに医療機関向けの新サービスを開始できると思えた。

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