「鈴木義幸のリーダーシップは磨くもの、磨けるもの」

最初から最後まで「自分」なんです。

【最終回】モチベーションはつくるもの、つくれるもの

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2009年9月29日(火)

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 9月23日が父の10回目の命日だったこともあり、シルバーウィークは伊豆半島の伊東にある実家に帰省していました。実家には母が1人で住んでいます。

 帰省中、ある親戚から母に電話がかかってきました。最初は穏やかなトーンで話していた母の口調が途中から険しくなりました。何か気に障ることを言われたようです。

 電話を切った母は開口一番、「さっきまで、あんなにいい気分だったのに、せっかくの連休が台無しだわ」。

 さらに話は発展しました。「お父さんが亡くなってからの9年間、本当に1人で大変だったわ。人に言えないつらいこともたくさんあった。苦労ばかりよ」。

外側の刺激は内側の状態をつくるきっかけにすぎない

 最初はじっと母の話を聞いていましたが、この「苦労ばかり」というセリフが、自分のコーチとしての心にスイッチを入れました。

「お母さんが大変だったのはよくわかるけど、楽しいこともたくさんあったでしょ。とくに後半の5年ぐらいは。でも、いまの電話みたいに、何か一つ嫌なことがあると、すべてを台無しにしてしまう。それは、嫌なことがすべてを台無しにしてしまったんではなくて、一つの嫌なことを使って、お母さんがすべてを台無しにしたんだと思うよ」

「そんなこと言われたって、悪いことがあると何度もそのことを考えてしまうのよ」

「だから悪いことを何度も考えて気分を悪くさせているのは、お母さん本人であって、他の誰でもないんだって」

 ちょっときついかなとも思いましたが、言わずにはいられませんでした。母は何を言われているのかわからないという顔をしていました。

 それでも、息子の真剣な口調に、ただならぬものを感じたのでしょう。いつもなら相手への不満が延々と続くところですが、その晩は、それっきり話すのをやめてしまいました。

 どのくらい母に伝わったかわかりませんが、70歳になる母がまだ元気でいるうちに、いつかこのメッセージを理解してほしいと思っています。

 私が伝えたかったメッセージは、次のように換言できます。

 外側の刺激が内側の状態をつくり上げるのではない。外側の刺激はあくまでもきっかけにすぎず、内側の状態はすべて自分でつくっている。そして、自分の状態はいつでも自分が選ぶことができる――。

“上がらない”でなく“上げられない”

 私どもの会社の社員が先日、面談の席で「なかなかモチベーションが上がらないんです」と言ってきました。

 社長との面談で弱音を吐くわけですから、それなりの覚悟で言ったのだと思います。が、その社員もコーチの一人。私には聞き逃すことのできない発言です。

「モチベーションが“上がらない”ではなく、モチベーションを“上げられない”が正解だよね。 “上がらない”だと、外側の条件がモチベーションを“上げてくれる”という前提があるように聞こえるけど、実際はそうじゃない。外側がどうであったとしても、本来モチベーションは“上げる”ことできる。それがいまは“できない”ということだよね」

 エグゼクティブのコーチングにおいても、私が一番伝えたい、理解していただきたい、そしてご自身の中に取り入れてほしいメッセージはまさにこれです。

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著者プロフィール

鈴木 義幸(すずき・よしゆき)

鈴木 義幸 株式会社コーチ・エィ 取締役社長
慶應義塾大学文学部卒。(株)マッキャンエリクソン博報堂にメディアプランナーとして勤務後、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を修了。帰国後、コーチ・トゥエンティワンの設立に参画。延べ200社以上の企業において管理職を対象とするコーチング研修を行う。また200人を超える経営者、管理職のマンツーマンコーチングを実施。企業におけるコーチング・カルチャーの構築を手がける。著書に『職場スイッチ』(ダイヤモンド社)、『リーダーが身につけたい25のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ほめる技術』(実業出版)、『プレゼンスマネジメント』(日経BP)、『決断の法則「これをやる!」』(講談社)、『セルフトーク・マネジメントのすすめ』(日本実業出版社)など。



このコラムについて

鈴木義幸のリーダーシップは磨くもの、磨けるもの

「リーダーシップ」は、特別な一部の人のみに宿るものではなく、全ての人の中にあるものです。1人では実現できない何かを実現したいと思い、他者に働きかけ、協力を仰ぎ、その実現を目指す力こそがリーダーシップなのですから。

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