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緩い結合力が米国を救う

ジョセフ・ナイ教授の外交新論

  • 水野 博泰

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2009年9月29日(火)

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文化や価値観、指導力への信頼や理解、共感といったものを凝縮した「ソフトパワー」という概念を1980年代に打ち出し、当時の「アメリカ凋落論」を封じた。バラク・オバマ大統領の政治姿勢はまさにナイ氏の理念を焼き写したものだ。インフォーマルで緩い「ネットワーク」が新しい世界の重要な基盤になると言う。

(聞き手は、ニューヨーク支局長=水野 博泰)

── 金融危機後の米国はどう変わるでしょうか。

ナイ:これまでよりも「政府」とか「国」の役割が大きくなるでしょう。米国の政策は、市場主導と政府主導の間を、振り子のように行ったり来たりしてきました。フランクリン・D・ルーズベルトの時代には政府が大きな役割を果たしていましたが、ロナルド・レーガンの時代には振り子は市場寄りに戻されました。今後、振り子は政府寄りに振れていくだろうと思います。

 クライスラーやゼネラル・モータース(GM)や大手金融機関を政府が救済しているわけですから一目瞭然です。救済した企業に対して、政府が報酬制限を課すという考え方もそうです。金融業界にはもっと厳しい規制が必要になるだろうという考え方もそうです。

共和党と民主党のバランスが取れてくる

── しかし、医療保険制度の改革については、振り子が左右から引っ張られて動かなくなっているようです。

ジョセフ・ナイ(Joseph S. Nye, Jr.)氏
ハーバード大学特別功労教授。ジミー・カーター政権で国務次官補、ビル・クリントン政権で国家安全保障会議議長、国防次官補などを務めたリベラル派の国際政治学者。知日派で知られる。1980年代に「ソフトパワー」という外交概念を提起し、米国はソフト(政治力や文化)とハード(軍事力や資源)を使い分けることで世界のリーダーたり続けると主張した。
(写真:丸本 孝彦 以下同)

 共和党と民主党の間には、明らかに大きな溝があります。共和党は市場に全面的に任せるという考え方を支持していますが、民主党は政府が果たす役割を重視しています。バラク・オバマ大統領は中道左派に位置しています。

 ただ、今後は左右のバランスがうまく取れてくるのではないかと見ています。市場がすべてを解決するという共和党の考え方は、レーガン政権以降の数十年にわたって確かに優勢でした。ところが、政府が規制監督の役割をもっと果たすべきだという考え方も受け入れられるようになってきました。

 確かに医療保険制度改革は例外的ですね。共和党側は政府に対する国民の不信感をうまく利用して計画を骨抜きにしようとしていますから。ただ個人的には、ソフトランディングはできると見ています。

── 市場原理主義に歯止めをかけられなかったことが今回の金融危機を招いたことは確かですが、その揺り戻しが勢い余って「規制、規制また規制」というようなことになっては起業家精神を削ぐことになりませんか。

 それこそが脅威だと思います。規制が厳しすぎれば、金の卵を生むガチョウを殺しかねません。

 ただ、分野によって事情が異なります。例えばIT(情報技術)業界は非常にダイナミックですが、この分野に政府による厳しい規制が必要だと考える人はあまりいません。一方、金融業界もダイナミックな世界ですが、あまりにも自由奔放にやりたい放題でした。この分野で規制をいくらか強化することは有効です。シリコンバレーにまで規制をかけるわけではなく、あくまで金融業界が対象です。

 既に、巨大投資銀行は消滅してしまいました。ゴールドマン・サックスのように、かろうじて生き残ったところでも、法的には銀行持ち株会社の形に移行しています。議会では、金融サービスにおける消費者保護機関を設けることが議論されていますし、連邦準備理事会(FRB)や証券取引委員会(SEC)の監督権限強化も当然議論の的になるでしょう。

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