日経ビジネスオンラインでは10月20日(火)より、10回にわたり「COLD JAPAN(コールド・ジャパン)〜クール? コールドな日本産業の処方箋」をおくる。
新たな政権を迎え、気分も新たに成長を進めようとしているニッポン。しかし、一方で、停滞する国内市場のもと喘いでいる企業も多く景気の先行きが不安視されている。「クール=カッコいい」ジャパンと呼んでいるわりには、内情は冷え切っており、なにか新しい世界との関係や突出したビジネスを誰もが渇望してやまない状況となっているようだ。
本連載では、最新の事例やケース=症例を豊富に取り上げながら、「巣ごもり」「ガラパゴス」などと揶揄される「コールド」なニッポンの現状を理論的な切り口で分析、《コールド・ジャパン》脱却と新たな成長のための「処方箋」を提言していく。本連載が、国内市場の凋落を前に、気分新たにこれからの成長を模索している企業の経営幹部やキーパーソンの方々のヒントになれば、望外の喜びである。
「あんたにも日本人の血が流れてるんだろ」
と思わず立ち上がって、ぶん殴りそうな勢いで食ってかかる佐藤浩市。憮然として冷たい視線を投げかける麻生祐未。そして、一言。
「哀れなサムライね」
「なんだと!」と言わんばかりに、佐藤浩市は目をひん剥いてにらみ返す。
先日の夜、東京のとあるバーで起こった一触即発のこの事件・・・ではもちろんなく、この間まで放送していたテレビドラマ「官僚たちの夏」の1コマです。
エレファント対モスキート
この二人の出会いは、佐藤浩市さんが演じる「ミスター通産省」のもとへ、アメリカの巨大コンピューター企業IDN社の副社長が、麻生祐未さんが演じる日系人通訳を伴って来訪したことがきっかけでした。
IDN副社長が日系人通訳を通して「国産コンピューターなんてまだ性能が悪くてニッポンの企業で使えない」「IDNが日本でビジネスをするのを認めなさいよ」と持ちかける。これに対し「ミスター通産相」が「ノー!」と言ったことに通訳であったはずの彼女は通訳という立場を超えて腹を立てたわけです。
通産省を代表して米国コンピューター企業の経営幹部と向かい合ったその官僚は、ドラマの中でこんな発言をします。
「IDNの開発費は日本の国家予算の半分、性能速度は今の日本製品の100倍。世間では『エレファント対モスキート』つまり象と蚊と揶揄されている現状、IDNが日本に参入なんてしたら国内のコンピューター企業は全部潰れてしまう。アメリカは民主主義の国と言われているが、こんなのは民主主義じゃない。単なる強い者の横暴だ」と。
これに対し、通訳は副社長にその言葉を訳すよりも先に官僚をにらみつけ、「ああ、これが、世界で悪名高き通産省の正体ですね」とポロッと言ってしまう。
冒頭でご紹介したエピソードは、この通訳(麻生)のコメントに思わず「ミスター」とまで呼ばれる通産省を代表するお役人(佐藤)が「日本人なのだから、今のニッポンの事情はわかるだろう!」という怒りが立ち込めたために起こったわけです。
「蚊」は確かに守られた
もちろんテレビドラマはフィクションですが、実際これに近いニッポンのコンピューター産業の自立を保護する動きはあったようです。
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