新たな政権を迎え、気分も新たに成長を進めようとしているニッポン。しかし、一方で停滞する国内市場のもと喘いでいる企業も多く景気の先行きが不安視されている。つまり、「クール=カッコいい」ジャパンと自己満足的に呼んでいるわりには内情は冷え切っており、なにか新しい世界との関係や突出したビジネスを誰もが渇望してやまない状況となっているようだ。
本連載では、最新の事例やケース=症例を豊富に取り上げながら、「巣ごもり」「ガラパゴス」等と揶揄される「コールド」なニッポンの現状を理論的な切り口で分析、《コールド・ジャパン》脱却と新たな成長のための〈処方箋〉を提言していく。本連載が、国内市場の凋落を前に気分新たにこれからの成長を模索している企業の経営幹部やキーパーソンの方々のヒントになれば望外の喜びである。
連載第1回では、テレビドラマの「官僚たちの夏」をネタにしながら、政府による国内産業の育成を取り上げました。発展途上にある国内産業を、関税などによって「保護」するという政策が何をもたらすか、ということが論点でした。
こういった「保護」主義的な政策はある意味、日本のお家芸と言えばお家芸でした。「ジャパン・アズ・ナンバー1」を誇った80年代の日本は、アメリカに対して巨額の貿易黒字を抱えて込んでおり、しかも農産物を筆頭として、日本政府が露骨に保護していた分野もありました。それ故アメリカからは「市場開放」を迫られ、激しいジャパン・バッシングを受けていたわけです。
今、世界を見回してみると1980年代当時とはまったく異なった形で、国内産業の「保護」が行われていることに気付きます。
おっと。
これを「保護」と言ってしまっては語弊がありますね。細かく見ていきましょう。
「保護」なき「救済」
昨年9月にリーマン・ブラザーズが連邦破綻法の適用を申請しました。リーマンが事実上破綻したことに端を発し、実態経済にも大きな影響を与え、世界同時不況の引き金を引いたことは私たちの記憶に新しいところです。
アメリカを牽引してきた自動車産業がアメリカ政府に救済される、されないで侃々諤々の議論になったことは皆さんもよく覚えていらっしゃると思います。結局のところ、ビッグスリーのうち、米ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーは破綻。GMは60%の株式を政府が保有、政府の管理下となり、クライスラーはフィアット傘下になりました。
今回のGMに対するアメリカ政府の対応は、前回取り上げたような日本政府の「日本の成長産業支援」という文脈とはまったく違った形であることは誰の目にも明らかです。GMは今後の成長戦略が明確に見えているわけではなく、明らかに現状の経営が行き詰まり、にっちもさっちもいかなくなって、国民の税金を投入する形で「救済」が図られました。
まさに「保護」というよりも「救済」です。
当たり前の話ですが、「保護」と「救済」とでは、まったくもって意味が違います。「保護」といった場合、あくまでも何か「仮想敵」があって、そこから政府が守ってあげるということです。「仮想敵」とまで言わなくても、もっと穏やかな表現を使うとすれば、「競合先」くらいでしょうか。
少なくとも「競合先」が想定できるくらい、ビジネスが順調に回っていなければ、「保護」する意味もありません。これに対して、「救済」はあくまでも、青息吐息のGM自体を何とか延命させ生き残らせることに特化しています。今のGMには、競合も何もありません。自らが生き残るだけで精一杯です。
確かに、マクロ経済の観点から見た場合、GMやクライスラーを破綻させてしまうことは大問題なのかもしれません。破綻してしまえば、職を失う労働者の数も桁違いに多いですし、それ以外にも社会的なインパクトが大きい可能性もあります。まさに「Too big to fail」だったということは、ある意味で事実なのでしょう。
ここではGM救済の是非についての議論をするつもりはありません。ここで指摘したいのは、「保護」と「救済」の違いです。
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