「「熱血!会計物語 〜社長、団達也が行く」」

第4話「会社は従業員と社会のものだ。だから会社は潰してはならないんだ」

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2009年10月14日(水)

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これまでのあらすじ

 中堅電子部品会社、ジェピーの経営部長、そしてCFOとして会社の再建に奔走した団達也は、自分で会社を立ち上げるためにジェピーを辞めた。ジェピー会長の財部ふみから遺贈された株式が元手だった。

 飯田橋のビルの一室に事務所を構えて3カ月が経った。しかし達也はいっこうに腰を上げる気配を見せず、部屋で思索と筋トレに没頭する日々を送っていた。

 ジェピーの経理課長だった細谷真理は、達也に請われて新会社のメンバーになっていた。真理は会社とは名ばかりで何も始めない達也に苛立ちを覚えていた。

飯田橋の達也の事務所

 今日も達也は相変わらず読書と昼寝と筋トレで時間を潰していた。
「団さん。いつまでブラブラしているつもりなんですか」

 ソファーで仰向けになって本を読んでいる達也を見ていると、真理は苛立ちを覚えた。
 「こんなにのんびりできるなんて、そうそうないよ」
 達也は全く意に介していない。

 そういう真理も時間を持て余していた、ジェピーで働いていたころはじっくりと新聞を読む暇もなく、せいぜい見出しと要約部分を流し読みする程度だった。だが、今は有り余るほどの時間がある。そこで、真理は面白そうな記事を切り抜いてスクラップブックを作り始めた。

 最近気になったのは、経営指標からROE(自己資本利益率)を外す会社が増えてきたという記事だ。

 たとえば、日本のリーディングカンパニーであるT社が、ROE(自己資本利益率)に代えてROI(投下資本利益率)を採用したという。

 「T社は経営指標に投下資本利益率(ROI)を導入した。事業などに使った資本がどれだけ利益を生んでいるかを示す効率性の指標で、投下資本には有利子負債も含まれる。各事業部門ごとにROIを算出させ、コスト意識の浸透を狙う」(日本経済新聞 朝刊2009年9月9日)

 真理には、この記事の意味が理解できなかった。たとえば、ROIを浸透させることが、なぜコスト意識の浸透に繋がるのか、それが分からない、

 腑に落ちないことは他にもある。

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著者プロフィール

林 總(はやし・あつむ)

林 總公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)、林總アソシエイツ代表取締役。1974年中央大学商学部会計科卒業。経営コンサルティング、一般会計および管理会計システムの設計、導入指導、講演活動などを行っている。主な著書に『経営コンサルタントという仕事[改定版]』『よくわかるキャッシュフロー経営』『わかる!管理会計』『やさしくわかるABC/ABM』『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『売るならだんごか宝石か』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』『つぶれない会社には「わけ」がある』など。最新刊は『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『読む管理会計 企業再生編――「キャッシュ経営」で会社を救え!』『読む管理会計 粉飾決算編――会社の「ウソの数字」にダマされるな!』『ドラッカーと会計の話をしよう』『世界一わかりやすい会計の授業』『貯まる生活―見えない未来にそなえる家計マネジメント術』。自身のホームページの「団達也会」では、「団達也と真理と一緒に会計を語りつくそう」という会員向けのサービスを主催している。



このコラムについて

「熱血!会計物語 〜社長、団達也が行く」

 主人公の団達也は、シンガポール大学ビジネススクールで学んだ後、恩師の経営コンサルタント、宇佐見秀夫の薦めで中堅電子部品メーカー、ジェピーに入社した。達也は、当時専務の間中隆三らによる不正が常態化、粉飾決算が行われていた。経理課長に就任した達也は、経理部員の細谷真理とともに数々の不正を明るみに出し、間中らを追放した。
 経理部長になった達也は、ジェピーCFOとして会社の再建に着手した。その直後から隠れ負債が発覚し、工場には仕掛かり在庫の山。資金繰りに窮したジェピーは、銀行からも見放され倒産寸前だった。
 ジェピーを救ったのは、かつての級友、ジェームス。ジェピーは、同じく級友のリンダが勤めるアメリカの大手電子部品会社UEPCの傘下に入って新たな道を歩み出した。
 創業者未亡人の大株主、財部ふみの遺言で達也の手にはジェピーの株式が渡ることになったが、達也はそれを手放し、自分の手で会社を立ち上げようと決心した――。
 管理会計が専門の現役会計士である著者による、“読む管理会計”シリーズの第3弾。ストーリーを追いながら、経営に役立つ管理会計の最新の理念と実践的な知識が身につきます。
第一シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理課長、団達也が行く」
第二シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理部長、団達也が行く」

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