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第5話「そうか! 決算を操作しているな。しかも10億円だ」

2009年10月21日(水)

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これまでのあらすじ

 公認会計士の西郷幸太は、ジェピーの監査をしていた今川公認会計士事務所の一員として働いていた。西郷は、今川に代わって、ジェピーの不正会計を明るみに出した経験があった。

 西郷は、日野原工業の創業者、日野原五郎に会社を清算したいと打ち明けられた。日野原工業は大手自動車会社、日豊自動車の下請けとして電子部品を作って成長してきた。しかし、経済危機の影響で受注が大幅にダウン。無理な設備投資が首を絞めていた。

 ジェピーではリストラが進んでいた。アメリカの大手電子部品会社UEPCの傘下に入ったことに伴って、新社長としてピーター・オルセンが赴任した。新社長と本社のエンジニアたちは、ジェピーの長野工場に行き、その知的財産を調べ上げていた。

 ジェピーの業績回復には、ロボットの開発が不可欠だったが、その開発を手がけたのは金子順平だった。金子は豊橋工場から長野工場に赴任し、ロボット開発や生産体制の整備に尽力したが、突然辞表を出してジェピーを去っていた。

西郷幸太会計事務所

 西郷幸太は移ってきたばかりの事務所で、忙しい日々を送っていた。監査を手伝っている公認会計士の今川の事務所を譲り受けたのだ。跡取りがいない今川は、70歳の誕生日を迎えた日に引退することを決め、浜名湖の湖畔に出来た高級老人向けマンションに夫婦で引っ越してしまった。

 「西郷君。ボクの人生もあと十年位かな。これからは仕事を忘れて十分楽しませてもらうよ」

 今川はいともあっさりと隠居生活に入ってしまった。彼の事務所で働く5人の職員は、そのまま西郷が引き取ることになった。西郷は、事務所の片付けの合間を縫って、精力的に新しいクライアントの社長と会っていた。新たに事務所を借りたのも、クライアントまわりに時間を割いているのも理由があった。西郷が考える理想の会計事務所にするには、まず今川会計士から西郷会計士に変わったことを印象づける必要があるからだ。

 日野原から難題が持ちかけられたのは、「公認会計士 西郷幸太事務所」の所長として初めて会社を訪問した時だった。実は、西郷はこの日まで日野原工業の決算書を見ていなかった。しかし、日野原工業が今川会計士にとって特別な会社であることは知っていた。

 この会社は今川が設立以来ずっと面倒を見てきた会社だった。銀行から融資を受ける時も、従業員の入社面接の時も、今川は必ず立ち会ってきた。社長の日野原は同年代の今川を信頼してきたし、今川も公認会計士として培ってきた知識と経験を、日野原工業のために惜しみなく注いできた。

 それだけではなかった。日野原工業が支払ってくれる報酬の額は群を抜いていた。こんな事情もあって、会計事務所の職員に入り込む余地はなく、彼らはこのクライアントを密かに「天領」と呼んでいた。つまり、誰も手出しできないのだ。

「「熱血!会計物語 ~社長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第5話「そうか! 決算を操作しているな。しかも10億円だ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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