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第4回 年間300万人が訪れた「旭山動物園」の強さの秘密

  • 武田 斉紀

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2009年10月26日(月)

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 私は「地域を元気にしたい」「地域の観光を何とかしたい」という趣旨で、日本全国の自治体や団体の方から、講演やワークショップを依頼されることがあります。

 そんな時、あらかじめ地域の強みや弱みについて整理しておいてもらうのですが、多くの地域で必ず弱みとして挙げられる点があります。それは「大都市圏から遠い」ということ。「飛行機を使っても現地まで3~4時間かかるのに、東京から人なんて来ない」とあきらめているのです。そこで、私が決まってお話しするのが北海道旭川市営の旭山動物園の事例です。

 旭山動物園はここ数年のマスメディアの報道もあって、全国で最も有名な動物園の1つになりました。何度もドキュメンタリー番組に取り上げられ、2008年には『旭山動物園物語~ペンギンが空をとぶ』という映画にまでなっています。

 先月ある地域で講演した際にも、「弱みの1つは大都市圏から遠いこと」という声があがったので、私はさっそく会場に集まった方々に質問をしてみました。「みなさん旭山動物園はご存知ですか。では東京から行くのに、どれくらい時間がかかるか知っていますか?」

東京の真ん中にある上野動物園がライバル?

 東京駅からスタートしても、旭山動物園までは4時間近くかかります。これは旭川空港から日に2本だけ運航している直行バスに乗れたとしての所要時間です。これをはずすと、一旦JR旭川駅まで出てから市内バスを乗り継ぐ必要があるのでもっとかかります。

 同じ東京駅から電車で10分もかからない上野には、入園者数日本一の上野動物園があります。その上野と旭山の入園者数の差は、近年縮まってきています。

 不況の影響は動物園も例外ではなく、旭山は前年度の約307万人から10%減らして2008年度は約277万人。上野は17%減の約290万人。“安近短”でむしろ不況に強そうな上野の減り方を思えば、全国から人を呼んでいる旭山の落ち込みは健闘に値します。

 上野動物園の減少には、ジャイアントパンダの最後の1頭リンリンが2008年4月に亡くなった影響も大きいそうです。旭山にいる動物種は上野の約3分の1。後でお話ししますが、理由があってパンダやコアラ、横浜のズーラシアで有名になったオカピなど、一般的に人気のある珍しい動物は旭山にはほぼいません。

 動物園には100キロルールというのがあるそうです。100キロ離れたところから人を呼ぶことは難しいという意味です。しかし今や、旭山動物園を訪れている人の多くは、東京や大阪や、全国各地の人なのです。

 旭山を思えば日本中の観光地は、「大都市圏から遠いので人が来ないんだ」という言い訳ができなくなります。地方の端にあって、ろくに予算もない市営の動物園が、単独でこれだけの人を集めているのですから。

動物園入り口

 上野動物園は何度も行ったことがあったのですが、私は数年前に両方を訪ねて、比較してみたことがあります。上野動物園はかつてに比べてずいぶん頑張っていて、面白い生態が見られる「ゴリラのすむ森」やペンギンのエサやりなど、動物好きならまる1日いても飽きないほど楽しめます。個人的には、ゴリラの表情がとても豊かなのが印象的でした。

 一方の旭山動物園には、羽田発朝7時台の飛行機に乗りこんでめざします。行ったことがある方はみなさん感じたと思いますが、入口はとても地味、山の麓なので傾斜があって園内もさほど広くはありません。行き交うのは観光客と園内を巡回している飼育係の人たち、ごく普通の公営動物園です。年間300万人近くがなぜ訪れるのか、にわかには理解できません。

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