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友達はジョン・レノンからバッハまで

――常識の源流対論 イヴリー・ギトリス+木野雅之 (その1)

2009年10月27日(火)

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伊東 乾(以下――) 本日は、様々な困難を乗り越えて今回実現したイヴリー、あなたの11月3日(追加公演:11月2日)の来日公演を、1人でも多くの方に、またより深く思いをもって聴いていただきたいと考えてこの席を準備しました。確かにレコードや音楽CDは偉大な発明と思います。でもやはり演奏はライブで伺わなければ、特にイヴリー、あなたの演奏は、音楽がマイクロフォンやスピーカーなどの電気装置と一切関係なかった頃から持ち続けている、本当の音楽の長い生命に満ち溢れていると思います。

イヴリー・ギトリス(以下、ギトリス) そう言ってもらえると、とても嬉しいね。

―― モーツァルトやベートーべンの時代には、電気もスピーカーもありませんでした。でも音楽は瑞々しい躍動感に満ち溢れていた。音楽の生命が電気の中にあるわけではない。

ギトリス その通りだよ。

―― 当時も現在も変わらないライブ演奏の本質は、CDやDVDなどで平べったいスピーカーを通して決して伝えることができません。その辺りからお話を始めたいと思います。今日はまたイヴリーのご高弟で、今回の演奏会でも一緒に演奏される木野雅之さんに忙しいスケジュールを縫って駆けつけていただきました。

ギトリス マサユキと一緒だと実にリラックスするよ。

――木野さん、本当にありがとうございます。

木野 雅之(以下、木野) どういたしまして(笑)。ちょうど真横のサントリーホールで本番(ソロ・コンサートマスターを務める日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会)だったので・・・。

―― 本当にラッキーです。では早速ですが、まず「ライブでなければ伝わらない音楽の生命」から伺いたいと思います。

イヴリー・ギトリス氏
イスラエルのバイオリニスト。ロシア系ユダヤ人の両親のもと1922年にイスラエルのハイファで生まれる。ブラームスに愛された大ヴァイオリニスト、ブロニスラフ・フーベルマンに才能を見出され、パリ音楽院に留学、ジョルジュ・エネスコとジャック・ティボーに師事。カール・フレッシュの下ではひと夏ジネット・ヌヴー、ヨーゼフ・ハシッドらと共に学んだ。第2次世界大戦中、ユダヤ人のギトリス少年はティボーの家に匿われ名前をイヴリーに変え、ナチス占領下のパリから脱出するが、ロンドンでも空爆に見舞われ、九死に一生を得る。軍需工場での労働や慰問演奏などで活動は制約されたが、第2次大戦後、19世紀以来の超絶技巧を伝えるトップ・ソリストとして活動を開始し、1950年代には現代曲の解釈で高い評価を受ける。並行してジャンルを超えたコラボレーションを展開。イアニス・クセナキス、ブルーノ・マデルナなど現代音楽前衛の世界初演から、アフリカの伝統音楽家たちとの即興演奏、1968年から71年にかけてはジョン・レノン(ザ・ビートルズ)、エリック・クラプトン、ミッチ・ミッチェル(ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス)、キース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)らとのユニットにも参加。フランスでヴァンス音楽祭を開催し、日本には1980年以来頻繁に来演し録音、音楽祭参加、公開レッスンを精力的に行う。1988年よりユネスコ親善大使に就任し「平和教育と文化と寛容さを支持する」と内外に宣言。87歳の現在もオリジナルな音楽活動を旺盛に続けている。(写真:大槻 純一、以下同、オーケストラ風景を除く)
木野 雅之(きの・まさゆき)氏
1963年東京都生まれ。日比野愛次、篠崎功子、西川重三にバイオリンを学ぶ。桐朋学園を経てロンドンのギルドホール音楽院でイフラ・ニーマン、卒業後はナタン・ミルシテイン、ルッジェロ・リッチ、イヴリー・ギトリスに師事。88年、ギトリスとの共演はフランス、スペインでテレビ放映された。ソリストとしてロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン交響楽団、ポーランド国立放送交響楽団、モスクワ放送交響楽団、ロンドン・モーツァルト管弦楽団、エネスコ管弦楽団などと競演。現在はロンドンと東京を本拠地とし、日本国内では名古屋フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを経て日本フィルハーモニー交響楽団、ソロ・コンサートマスターも務める。後進の指導にも情熱を注ぎ、97年から毎夏、長野県白馬村(2007年まで)三重県志摩市合歓の郷(2008年から)にてマスター・クラスを開催、2009年8月には第3回球磨川音楽祭を主催。桐朋学園大学、武蔵野音楽大学でも教鞭を執る。

ホール全体が「楽器」になる!

ギトリス ええと、その前に・・・ちょっと待って。あの音は何だい?(ブーン、ブーン、ブーンとノイズがする)

―― ええと・・・誰かの携帯が鳴っているんですが・・・きっとそこの機材箱の上に置いてある上着の中あたりで・・・(マナーモードで振動していた携帯を持ち主のスタッフが止める)。

ギトリス ・・・ああ、これで静かになった。

―― イヴリー、あなたは本当に素晴らしい耳をお持ちです。一昨日、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲の演奏を伺った時にもそれを痛感しました。

木野 本当に、素晴らしい演奏でした。

ギトリス いや、一昨日はむしろリハーサルの方が調子が良かったんだ。

―― 僕は当日、リハーサルの最初から間近で聴かせていただいたのですが、今とても弱い携帯電話のバイブレーター音に気づかれたように、会場内のすべての音に耳を研ぎ澄ませながら演奏しておられるのに大変強い感銘を受けました。

ギトリス ああ、音はよく聴かなくちゃいけないね。

―― イヴリー、あなたの演奏は、すべての音が本当に生きています。それはお世辞で言うのでなくて、実際にホールの中で音楽が「響き」として成立している。先日のチャイコフスキーでも、早いパッセージから長いフレーズまで、ご自分の演奏の響きがホールの中に満ちて、反響が返ってくる、その反響の1つひとつを耳で確かめておられるのが如実に分かりました。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長