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episode:31
「俺たちの学生時代は肩まで伸びるような長髪が流行っていたんだ。」

  • 阿川 大樹

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2009年10月27日(火)

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前回までのあらすじ

12年ぶりに大日本鉄鋼に戻った旭山隆児(あさひやまりゅうじ)の新部署、第三企画室の出社禁止期間が明けた。風間麻美(かざまあさみ)と楠原弘毅(くすはらこうき)の話を元にビジネスモデルの検証を始めた3人。本社管理部の日枝に呼び出された旭山は、大日本鉄鋼の危機を打ち明けられる。そこで旭山が下した判断は、部署の独立だった。

「旭山さん、いったいどうしたんですか!」

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 弘毅くんが叫んでいた。

「どうしたって、え? 何も」

「その頭ですよ」

「あれ? ああ、バレたか」

「バレたかって、気がつかないわけないじゃないですか」

「そうです。赤ん坊を見て未成年だと見抜くくらいわかりやすいです」

「あはは、いや、ちょっと美容院へ行ってね」

「どうしちゃったんですか」

「どうしたって、そんなに驚かなくたって……。ふつうにもどっただけじゃないか」

 あろうことか、旭山さんの真っ赤だった髪の毛が真っ黒になっているのだ。

 第三企画室が別会社になっても三人がする仕事は変わらない。だが最初から真っ赤だった旭山さんの髪の毛が黒くなってしまった。これはまさしく第三企画室、最初で最後の大事件だ。

 わたしたちが驚いているのを見て、旭山さんは悪戯っぽく喜んでいた。ウケがとれたと思っているのだ。

「ふつうの人がふつうなんじゃなくて、〈旭山さんがふつう〉だからびっくりしてるんです」

 高校の時、甲子園の予選の前に、野球部のキャプテンが坊主頭にしてクラスに現れたときのことを思い出す。

 ひどく照れくさそうにしていた。野球部はけっこう強かったのだけれど、受験校だったから、野球部にだって坊主頭はいなかった。その時点で彼は学校でただ一人の坊主頭の生徒だった。むしろ我が校では「長髪で坊主に勝とう」が合い言葉だったはずだというのに。

 あのときも学校中が沸き返った。

 女子たちはキャアキャア喧(かまびすし)しかった。うそ。信じられない。そんな声をあげながら、みな、心の奥で彼の〈勇気〉を讃えた。その夏、野球部は県大会のベスト4で敗退したけれど、それから二、三ヶ月の間に、なんと坊主頭が流行になった。

 目の前の上司の変貌はどうだ。

「社長が赤毛じゃマズイと思ってね」

「あ、まあ、たしかに」

 これには遠慮がちに同意する。会社設立の手続きが済めば、旭山さんは社長だ。

 いよいよここ数日で、茅ヶ崎中央信用金庫とも、話を詰めなくてはならない。あそこの取引先には、芸能事務所もファッションブランドもないだろう。社長のヘアスタイルにアレルギー反応が出る可能性は十二分にあった。

「第三企画室の仕事を引き受ける条件が、赤いヘアのままでいいってことじゃなかったんですか」

「第三企画室、出動す ~ボスはテスタ・ロッサ」のバックナンバー

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