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アニメは次の成長モデルを作れるか?

ケータイなどに法人広告配信できれば飛躍

  • 上山 信一,隈田原 幸大,石沢 美穂子

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2009年11月11日(水)

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 麻生太郎前総理が提唱し、賛否両論を呼んだ「アニメの殿堂」の建設はどうやら見送りとなるようだ。だが日本の文化としての「アニメ」に注目し、産業としても育てていこうという方向性そのものに反対する人は少ないのではないか。

 社会が成熟する中で、これから重要な役割を担うのがアニメ、ゲーム、日本映画、クラシック音楽などの分野だ。これをビジネスととらえるならば、「文化産業(クリエーティブ産業)」と名づけることができる。製造業が弱体化する中で、こうした産業は日本の次の成長の糧の1つとして期待される。

 文化産業自体は昔から存在する。だがきちんと利益をあげる事業形態、つまりビジネスモデルの構築に成功したものは少ない。映像、アニメなど芸術文化のビジネスモデルは、まだ完成度が低い。こうしたビジネスでいかにモデルを構築していくのか。まず、アニメから考察していく。

(このコラムは慶應義塾大学総合政策学部の上山信一教授が監修・編集し、上山教授のゼミである「クリエーティブ産業研究会」のメンバーが執筆を担当します)


 8月31日、東京・お台場に立つ全長18メートルの実物大「ガンダム」の展示が静かに幕を下ろした。人気アニメ「機動戦士ガンダム」の放映30周年を記念して開かれたこのイベントは、子供連れからサラリーマンまで幅広い来場者を集めた。7月11日からこの日までの約2カ月間の来場者数は415万人と当初目標150万人の約2.8倍に及んだ。

大地に立った「ガンダム」。放映30周年記念とあって、親子連れのファンも多かった
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 「ガンダム」だけではない。神戸市では「鉄人28号」の実物大モデルの製作プロジェクトが進行中だ。昔の日本人は奈良の大仏や長谷の観音像を拝むべく巡礼の旅をした。今やアニメのキャラクターがこれに変わりつつあるようだ。アニメのキャラクターは現代日本の国民的シンボルになりつつある。

 だが、実際のアニメ産業を取り巻く状況は楽観視できない。

 「アニメバブル崩壊」。2009年5月4日の朝日新聞は、扇動的な見出しとともに我が国のアニメ産業は右肩下がりの時代に入ったと報じた。アニメ業界の市場規模は1985年の261億円から2006年の2588億円へ急成長した。それが2007年には2396億円となり縮小に転じた。記事はこれを受けたものだった。

 だがアニメはもう伸びないのか。そもそも「アニメバブル」は本当にバブルだったのか。アニメ産業の未来を考えてみたい。

本数ベースで25%の子供向けで稼ぐ

 アニメ産業の売り上げはテレビの放映料金のほか、DVDや周辺グッズの売り上げから構成される。また市場は2種類に分かれる。ひとつは「ドラえもん」「サザエさん」「アンパンマン」など子供・親子向けのテレビアニメである(以下「メジャー系」と呼ぶ)。

 これらはゴールデンタイムに放映される。年間放映本数は約80本(2005年)だが、グッズなど派生商品の収益が大きく市場全体のおよそ6割を占める(『アニメビジネスがわかる』増田弘道著)。

 もうひとつは「深夜枠アニメ」である(以下「ニッチ系」とよぶ)。ニッチ系は主にテレビの深夜枠を使って年間300本近く放映される(日本動画協会集計2005年実績)。販売収入はテレビ放送よりもDVDなどのパッケージ販売のウエイトが高い。全体の市場規模の4割程を占める。ターゲットはいわゆる「アニメオタク」と呼ばれるニッチ層である。

コメント5件コメント/レビュー

う~ん、記事中でもあるようにアニメってDVDや周辺グッズの売り上げも含めた3本柱でコスト回収と利益確保をやっているんですよね。これはハリウッド映画も同じです。広告アニメの場合、現状では上の2本柱が無い分、広告主が負担する製作費用で全てを賄うためかなり高いです。まあ著作権を製作者が保有して、商品に使う場合の使用料も製作者側の収入とできるなら・・、でも実際はうまく行かないことも多くて収益モデルとしては成立しない事例がほとんどになりそうな気がします。広告と長編作品ではそもそも設計条件が正反対と言っていいほど違いますし。(2009/11/15)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

う~ん、記事中でもあるようにアニメってDVDや周辺グッズの売り上げも含めた3本柱でコスト回収と利益確保をやっているんですよね。これはハリウッド映画も同じです。広告アニメの場合、現状では上の2本柱が無い分、広告主が負担する製作費用で全てを賄うためかなり高いです。まあ著作権を製作者が保有して、商品に使う場合の使用料も製作者側の収入とできるなら・・、でも実際はうまく行かないことも多くて収益モデルとしては成立しない事例がほとんどになりそうな気がします。広告と長編作品ではそもそも設計条件が正反対と言っていいほど違いますし。(2009/11/15)

最初の二名のコメントに同意です。「安価ですぐできる」とアニメ技術が軽視されている限り、この分野が発展することはないのではと思います。アニメは製作者の才覚やモチベーションに大きく左右される分野です。ビジネスモデルは大切ですが、魅力的なコンテンツがなければ無意味です。新しいモノ、面白いモノを生み出すには、低待遇の労働者を使い捨てにする業界気質を改めるのが第一。また、新しいモノには欠かせない実験や冒険ができる場の提供、利益を得るべき人が正当な利益を得られるシステム作りが大切かと思います。今のように低待遇の労働者を使い捨て、既存のモデルをかたどっただけの劣化コピーを大量生産しているだけでは、業界はしぼんでゆくでしょう。(2009/11/12)

アニメのキャラクターなら低コストで短期間……既存の広告代理店を経由した各種の宣伝に比べれば直接の取引の方が低コストなのは道理。  ただし、この書き方だと、いかにも現状のアニメ会社が請け負っている各種のTVアニメの単価がそのまま通用するものだと受け止められかねない。  TVアニメの単価はもちろん安いのだが、グッズ販売・DVD販売という部分を、製作委員会にアニメ会社が一枚噛むなどして収益を上げるモデルになっているものも多い。 商機が2次、3次と広がるから最初の単価が安くても何とかなっているだけで、TVアニメの単価を生齧りして、直接広告を頼む企業が「この提示額は高すぎる」となる危険性のほうがでかいと思う。  トータルコストで見た場合は今までの広告代理店経由よりは安いかもしれないが、発注単価はTVアニメのような超低コストは望めないことを企業が理解できるかどうか。 ここに意識の差がある以上、この分野の飛躍的な発展は望めないでしょうね。(2009/11/12)

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