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第5回 「会社のビジョンが語れない!」社長A氏の苦悩

  • 武田 斉紀

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2009年11月2日(月)

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 今日は企業理念の再構築をお手伝いした、オーナー会社の後継ぎ社長A氏のお話をします。

 A氏は私とのインタビューを繰り返す中で、その悩みを吐露し、「父親から引き継いだ会社を通じて、自分は何をめざしたいのか」についてしっかりとつかむことができました。その具体的なプロセスは、「企業理念として会社のめざす目的を突き詰めること」と等しいのです。

あまりに美しいバトンタッチに隠れていた問題点

 企業理念についてオーナー会社の後継ぎ(専門的には事業承継と呼ばれています)時にいただくご相談相手は、3つのパターンに分かれます。父親や母親など「バトンを渡す側」からのもの、息子や娘など「バトンを渡された側」からのもの、そして「渡す側、渡された側の双方」からのものです。A氏の場合は社長に就任してすでに半年がたっており、2つ目のパターンでした。

 父親は社長を退くときっぱりと経営から手を引き、ほとんど口を出していないとのこと。A氏が一人で切り盛りし始めたばかりで、かなりお忙しいのではと覚悟していたのですが、「(訪問は)いつでもいいですよ、結構ヒマですから」との返事が返ってきました。その理由は、世の中でも珍しいほど美しいバトンタッチがなされていたことにありました。

 別室で二人きりになると、A氏が声を潜めて私にこう言います。「だってね、僕がいなくても会社は回っているのですよ」「問題になりそうな部分には父親がすべて手を打ち、それから引き継いでくれたのです。ありがたい話ではあるのですが・・・」

 知り合いのオーナー会社の経営者の中には、バトンタッチでかなり苦労した人が少なくありません。Bさんは父親が突然亡くなり、いきなり社長の椅子に座ることになりました。業績は厳しく、従業員を抱えて給料を払うのさえやっと。何とか立て直せるかと思った矢先に、今度は自分の知らないところに経営上の大きな穴が見つかった。亡くなった父親のことを心から恨めしく思ったそうです。

 同じく後継ぎ社長のCさんは、父親はバトンを渡すタイミングを見計らって準備を進めていたそうなのですが、バトンを渡したとたんに業界を揺るがす大事件が発生。売上高は一気に激減し、代表権をもつCさんは銀行の矢面に立って何度も頭を下げながら、毎日現場の前線に立って乗り切ったのだそうです。

 Bさん、Cさんは、修羅場をくぐりぬけたことで、「自分の会社になってきたような気がする」と言います。お二人に「順風満帆の船出でなくてよかったですね」と声をかけるのはあまりに不謹慎ですが、大変だったことが自信につながっているのは間違いないようです。

 彼らは本業に死に物狂いで取り組む中で、「ここまで苦労して、自分はこの会社を通して何をやりたいのか」という命題に何度もぶつかっていました。傾きかけた会社をあきらめないで支えてくれたお客様や取引先、そして従業員たち。どん底から這い上がることで、事業の目的と向き合うことができたのです。

 翻ってA氏の場合。サブプライムローン問題による世界的な不況の影響もほとんどなく、とても静かな船出だったことが彼を悩ませ始めていました。「自分はどんな思いでこの会社と従業員を引っ張っていけばいいのだろうか」

 A氏はこのままではまずいと気がつき、相談に来られました。よくご相談をいただく2代目、3代目社長が抱える“自分の色の打ち出し方”についての悩みだろうと想像しながら、コンサルティングをお引き受けしました。ところが彼の悩みは、それだけではなかったのです。

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