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女性社員を怒らせる“子育てパパ”

男女共同参画社会の実現に向けて新たなバトル

2009年11月5日(木)

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 「女はいいよな、逃げ道があって」。
 今から10年前、政府が推進した「男女共同参画社会」の基本概念を読んだ知人男性が、つぶやいた一言である。その基本概念とは、「女性と男性が互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会の実現・・・」。

 「女はいいよな」発言の裏には、苦い経験があった。彼はトップ肝いりで立ち上げられた新プロジェクトのメンバーに選ばれ、そのリーダーが女性上司だった。ところが「いざ、出陣!」となった時、突然、女性上司が辞めた。理由は妊娠だった。

 「『だから女は・・・』と言いたくなった。男は大学を出て、就職して、結婚して、働くしかない。でも女は、結婚や出産を理由にいつだって会社から逃げられる。男には『仕事がつまらない、結婚してしまおう』という選択がないし、『疲れたから、会社を辞めて子供を産もう』という選択もない。男女共同参画を実現するために作られた“男女共同参画社会基本法”なんて、高学歴の女の単なるわがままとプライドを満たすための法律じゃないか」

 その知人男性は、大きな声じゃ言えないけれど、と言いながら、激しく憤っていたのを覚えている。

 あれから月日がたち、どうやら事情は変わりつつあるようだ。

 「男が子育てをするのはいいことだと思うけれど、子供を迎えに行くからと会議を途中で早退したり、子供を送っていくからと朝の掃除をサボったりしないで欲しい。そんな中途半端なこと、女がやると即刻クビに違いないけれど、男は守られる。だって、上司は見て見ぬふりをするんだもの。育児をしたいのだったら、育児制度を使えって思うんです。働いている奥さんの立場を守るために仕事を押し付けられた私たちはたまったもんじゃない。ワークライフバランスって言ったって、結局、子供がいる人たちのためだけにある“逃げ道”みたいなものですよ」
 これは、ある女性の訴えである。

 ん? これって数年前の知人男性の不満とちょっと似ている。男と女、制度を使う使わない、といった違いはあるけれど・・・。

男性の育児休暇取得率は1.23%

 キャリアと出産、そして育児。男女共同参画社会を目指す試みは、かつては女性中心の問題だったが、今では女性だけの問題ではない新たなフェーズへと変遷を遂げているようだ。

 人間誰しも、自分に利益をもたらさないものには無関心だったり、非難したりする。「女は逃げ道があっていい」と非難する男性や、出産しない、あるいはできない女性にとっては、育児休暇や子育てで仕事を制限することを許せないという気持ちもあるのだろう。

 本当は、制度うんぬん、子供うんぬんに関係なく、「子育ての大切さ。子育てをする同僚を支える大切さ」という意識がもっと広がればいいのだけれど、どうも一筋縄ではいかないわけだ。人の心は難しい。

 特に、“子供”に関する問題はデリケートな話題だけに難しいのである。

 以前、不妊治療に関する意識調査を実施した時にも、既婚女性の5人に3人が、「子供ができない」という事態から派生する誰にも言えない苦しさを抱えていることが明らかになった。

 「子供は?」という何気ない親族や知人からの一言、「子供ができないのは女に原因が多い」といった根拠なき通説、子供をもつ友人の子供自慢・・・。子供に関する情報に想像以上に敏感で、ストレスを強く感じていることがわかったのである。

 私の友人も婦人科系の病気で入院した時、子供を産んだ女性の無神経さに嫌気がさした、と言っていた。同じ病室の女性が、腹痛がひどくカーテンを閉めて寝ていた彼女のベッド脇に突然やってきて、「なんかうちの子、夜泣きがひどくてすみません」と、申し訳ない、というより、嬉しそうに言ったというのだ(あくまでも個人の印象です)。

 「子供ができると、自分が幸せすぎて周りが見えなくなるんだよ」と憤っていた彼女は、不妊治療を3年続けたものの上手くいかず、妊娠をあきらめた経験があったのである。

 今回のテーマの本質と少々ずれてはしまうのだが、子供や育児の問題で人知れず傷ついている女性がいるという事実だけは知っておいたほうがいい、と思う。

 さて、話を戻そう。
 そもそも件の女性の不満は、男性が気兼ねなく普通に育児休暇がとれる社会になっていれば防げた話。だが、ご承知のとおり、男性で育児休暇をとっている人は極めて少ない。

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「女性社員を怒らせる“子育てパパ”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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