ダイバーシティー(多様性)が、なぜ必要なのか。この答えは、「成長するうえで大事なクリエーティビティーとエネルギーを生み出す集団はダイバーシティーを備えているから」となります。
考えてみてください。ある集団は、日本人40歳の男性ばかり。もう一方は、年齢層が25〜60歳と幅広く、男性だけでなく女性も、日本人だけでなく外国人もいる。両者を比べると、何かを創造しようとするクリエーティビティーにしても、何をやり遂げようとするエネルギーにしても、ダイバーシティーのある集団の方が高くなるのは、感覚的にお分かりいただけると思います。これが基本的な発想です。

もっとも、アメリカの歴史を振り返ると、ダイバーシティーの始まりは黒人や女性に対して機会均等を与えなければいけないという義務感でした。ところが、黒人や女性が入ると、チームはクリエーティビティーやエネルギーが高くなって強くなることが、徐々に証明されていく。
そうであるならばダイバーシティーは義務ではなく、オポチュニティー(好機)と捉えるべきであり、企業の競争力を高めるために「ダイバーシティーを実現したチームを作る」というふうに、だんだん変わっていきます。
「発言の重み」を平等に
日本はどうでしょう。やはり女性ですよね。あと、年齢差も見逃せないと思います。日本の社会には、年功序列の考え方が根づいています。ダイバーシティーは性別や年齢差などを超えて集まっているだけでは不十分です。重要な“決まり”として、メンバーの発言が性別や年齢差などに関係なく同じ重みを持っていることが挙げられます。みんなが平等でなければいけない。
この点、アメリカは、会社にもともと平等の文化はあります。そこに入ってこれなかったのが問題であって。日本は、会社に入れるだけでなく、年功序列による発言の重みといった決まりも変えなくては「ダイバーシティーのためのダイバーシティー」になってしまう可能性があるのではないかと思いますね。
さて、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のダイバーシティーですが、今はグローバルという新しい要素が加わってきました。以前はアメリカにおけるダイバーシティーの推進でしたので、どうしても女性とマイノリティーの採用に主眼を置いていました。しかし、グローバルとなると、例えばエンジニアでも、アメリカ人や日本人といった国籍などこだわるのでなく、世界で一番優秀な人を集めてくればいいといった発想に広がります。我々がまさに今、力を注いでいるポイントです。
こうした動きがGEで出てきたのは、ここ5〜6年といったところでしょうか。それまではダイバーシティーの尺度と言えば、やはり女性とマイノリティーに関するものでした。
今、イメルト(GEのジェフ・イメルト会長兼CEO[最高経営責任者])が打ち出している基本的なメッセージは、「会社のマネジメントの構成は基本的に、グローバルのビジネスの構成と同じぐらいでなくちゃいけない」という内容です。今まではマネジメントはアメリカ人であり、その中に女性やマイノリティーを入れなくてはいけないというレベルでした。
それが、イメルトは「売上構成比が米国とそれ以外でだいたい50:50であるならば、マネジメントも半分は米国以外の人がいるのが自然だ」と言っています。既にグローバルという観点に立って、マネジメントの構成を見るようになっているわけです。
実際に、そうなりつつあります。例えば、コーポレート・オフィサー(本社役員)の3割以上は、アメリカのパスポートを取っていませんから。
まだ女性活用が足りない
日本も大きく変化しています。私がGEに入社した1986年、日本では20いくつかの事業を展開しており、20数人のCEOがいました。このうち、日本人のCEOはゼロでした。
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日本GE社長兼CEO(最高経営責任者)、米GEシニア・バイス・プレジデント。東京大学工学部卒業、米カーネギーメロン大学でMBA(経営学修士)を取得。日商岩井を経て1986年に日本GE入社。1997年10月にGEメディカル・システムズ・アジア プレジデント兼CEOに就任、日本人で初めて米GEのコーポレート・オフィサー(本社役員)になる。2001年から米GEのシニア・バイス・プレジデント及びCEC (執行役員会議) メンバー。2005年1月から日本GE会長及びGEマネーアジア プレジデント兼CEO。2008年10月より日本GE社長を兼任、2009年1月より現職。







