「イノベーターの眼」

「縦方向」軽視の中間管理職は会社をつぶす

キヤノン電子・酒巻社長が「立ち会議」にこだわる理由

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2009年11月10日(火)

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 伝えたはずのことが相手に伝わっていない。情報が無いままに、不十分な判断を余儀なくされる――。情報の伝達や意思疎通の不全、すなわちコミュニケーション・ロスが組織に及ぼす悪影響は大きい。不況の中、社員一人ひとりが生産性向上の努力を重ねても、コミュニケーション・ロスが存在すれば、組織全体の生産性は高まらない。

 キヤノン電子の酒巻久社長は、こうした問題意識で、ある工場の現場が始めた「立ち会議」を全社に奨励してきた。会議室の予約無しにすぐ始められる、多頻度・短時間の立ち会議が、コミュニケーション・ロス撲滅の近道だという。

 ―― 企業におけるコミュニケーションの問題点をどのようにお考えですか。

 酒巻 組織がきちんと機能しない、あるいは製造ラインで不良が発生するといったトラブルはだいたい伝達ミスに起因します。

 「情報の伝達」は、特に縦方向(上から下、下から上)が重要です。縦のコミュニケーション・ロスは、会社をつぶす可能性がありますね。横のコミュニケーションの問題は、会社の情報が統一されてなくて外部に対して恥をかくといった程度です。

どこを巻き込むかで情報の重要さが決まる

酒巻 久(さかまき・ひさし)氏
1940年生まれ。芝浦工業大学卒。67年キヤノン入社。システム事業部長、生産本部長、常務などを経て、99年から現職。99年12月期から2006年12月期にかけて連結営業利益を8.6倍に伸ばした。著書に『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』『キヤノンの仕事術』(共に祥伝社)『会社のアカスリで利益10倍! 本当は儲かる環境経営』(朝日新聞出版)などがある
(撮影:北山 宏一 以下同)
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 酒巻 駄目な会社というのは、上のマネジャーが情報をぞんざいに下に流します。

 「Aラインの情報だけど、ひょっとするとBラインとCラインにもかかわるかもしれない」と思えば、そちらにも情報を伝えておかなければいけない。でも、自分の持っている情報をどこに知っておいてもらわなきゃいけないのかという判断ができないのです。末端に自分の言ったことが伝わったかどうかという確認もしない。

 こういう組織の末端の現場は、上から情報が伝わって来ないので、こんなものだろうと、推測で動く癖が付いています。

 下の人が、「これは自分だけではできないな」という判断をきちんとして、そういうときは必ず上司に報告するという教育もしていかなくちゃいけない。

 でも、どこの組織もこういう正しい報告は永遠にできないんじゃないですか。それができる人はみんな上に上がっちゃいますから(笑)。

 ―― マネジャーはなぜ情報を正しく下に伝えられないのでしょうか。

 酒巻 事業部長クラスでも、情報の価値を判断する訓練をしていないんですよ。

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このコラムは月刊『日経情報ストラテジー』の特集に掲載されたインタビューを基に構成しています。日経情報ストラテジーについては本コラムの記事最後のご案内を参照ください。

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