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第6回 「するな」より「しよう」が多い会社が元気な理由

  • 武田 斉紀

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2009年11月9日(月)

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 まだ記憶に新しいですが、客の食べ残しや、産地を偽装した料理を提供していた老舗の飲食店がありました。他にもミンチの豚肉を牛肉と偽って不正表示を重ねていた食肉会社や、事故米を食用に転売して儲けていた米の販売会社もありました。

 その多くが、十分な反省がなかったために、廃業または倒産を余儀なくされています。直接被害を受けた顧客や取引先はもちろん、従業員とその家族、社会が受けた傷は、会社そのものがなくなったからといってすぐに癒えることはないでしょう。

 これら不祥事の中心原因は、コーポレートガバナンス(企業統治)と、経営者のコンプライアンス(法令遵守)意識や倫理観の欠如にありました。しかし経営者がしっかりしていても、従業員が問題を引き起こすこともあります。たとえ従業員の単独行動に見えても、組織としてそれを許す体質がなかったか、企業は雇い主としての責任を厳しく問われる時代になりました。

 危機感を感じた企業では、コーポレートガバナンスの体制作りと、全社を挙げてのコンプライアンス徹底の取り組みがなされました。社会的存在として、意識を高く持って取り組んでいる企業もあれば、株主に対する単なるアピールやリスクヘッジとして、形式上やっているだけの企業もあるように感じます。企業の生死は、そうした問題意識の差で分かれるのではないでしょうか。

最初に取り組むべきは再発防止

 ひとたび不祥事が発生すると、原因の究明とともに、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制の見直しが迫られます。ことコンプライアンスに関しては、「○○社の行動規範」「倫理規定」なるものが作成ないし改訂されますが、そこから先は企業の取り組み姿勢や本気度によって大きく異なるようです。

 不祥事を本当に反省して再発防止を誓った企業では、冊子にして全従業員に配布するのはもちろん、それだけで終わりにせず、研修を実施し、日々のミーティングなどを通して内容を全社で共有しています。慣れて慢心することのないよう、意識を継続させることに真剣に取り組んでいるのです。

 2000年以降大量のリコール隠しが発覚した三菱自動車工業では、死亡事故が発生した1月10日と10月19日を「安全への誓いの日」として、毎年全社員で黙祷を行い、前後で企業倫理問題検討会を開いています。長く続いた社内の隠ぺい体質が一掃されて、企業として生まれ変わっていることを望みます。

 2006年に、食品衛生管理に関する不祥事を疑われた不二家では、第1回目の記者会見を開いた1月11日を「不二家食品安全の日」と定めています。また毎月11日を「食品安全の日」とし、法令および社内ルール遵守の再徹底とともに、不二家の存在意義を再確認しています。

 心から反省も再発防止も誓っていない企業は、行動規範や倫理規定を作成しても、ホームページにPDFファイルで張り付けて終了としているようです。社会や一般消費者、株主に対するパフォーマンスくらいにしか考えていません。喉元過ぎれば、近い将来再発するのは間違いないでしょう。

 行動規範や倫理規定の中身を見ればすぐにわかりますが、食品衛生法など業界ならではの関連法令を除けば、内容や項目自体はどの企業にも通用するものです。「法令を遵守し、社会倫理を守りましょう」というのが趣旨ですからむしろ当然です。

 各社共通なのですから、個別にコンサルタントにお金を払ってまでも作る必要はありません。先行する業界他社のものを譲ってもらうか、業界全体で作成して共有すればいい。さらに厳しくする、項目を見直したければ、個々に各社で対応すればいいでしょう。コンプライアンスについて重要なのはそれらを社内の隅々までいかに徹底させるかの方です。

 さて問題はここからです。コーポレートガバナンスを確立し、コンプライアンスを徹底することは必要です。でも、それだけで会社は元気になり、再生が可能となるのでしょうか。

コメント6件コメント/レビュー

私は最近あることに気付きました。新聞、雑誌などに企業関係の記事が掲載され、多くの場合その企業のトップの写真が掲載されます。その写真を見る時、左の胸にその企業の社章バッジを付けているかどうかを確認します。大雑把なサンプリング・データですが、三分の二のトップは付けています。残りの三分の一の方は付けていません。付き合いのある、さる大企業のトップの皆さんには付ける習慣が無いように思い、何故なのかを聞いたことがあります。その答えは過去の不祥事や社会的に批判を受けたことがきっかけとなって、社員にも外すことを指導しているとのことでした。今回の記事を読んで「するな」文化は、このような形でも現れているのだと感じました。自社の社章に誇りが持てないということは不幸です。その企業の方には社章を付けて、胸を張って歩くことができるようにしたいですね、と申し上げておきました。(2009/11/12)

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私は最近あることに気付きました。新聞、雑誌などに企業関係の記事が掲載され、多くの場合その企業のトップの写真が掲載されます。その写真を見る時、左の胸にその企業の社章バッジを付けているかどうかを確認します。大雑把なサンプリング・データですが、三分の二のトップは付けています。残りの三分の一の方は付けていません。付き合いのある、さる大企業のトップの皆さんには付ける習慣が無いように思い、何故なのかを聞いたことがあります。その答えは過去の不祥事や社会的に批判を受けたことがきっかけとなって、社員にも外すことを指導しているとのことでした。今回の記事を読んで「するな」文化は、このような形でも現れているのだと感じました。自社の社章に誇りが持てないということは不幸です。その企業の方には社章を付けて、胸を張って歩くことができるようにしたいですね、と申し上げておきました。(2009/11/12)

教員をしておりますが、武田さんのお話は企業だけでなく大学にも通じる話だと思いました。教員、職員、学生が共有できる、大学としての価値観がしっかりしていれば、各人が自発的に価値観の実践に努め、結果として大学に活力が生まれると思うからです。その価値観は時に校訓とも呼ばれ、価値観を実践しようとする気持ちは愛校心とも呼ばれます。重要でかつ難しいのは、(1)皆が共有・共感できるだけの説得力を持ち(2)なおかつ他大にない独創的な価値観を打ち出すことだと思います。歴史ある大学は、時代を超えて皆を惹きつける魅力に富んだ価値観を提示できているのだと思います。(2009/11/11)

「~するな」「~するべき」などのコミュニケーションは、正しい方向を示しているようで、実は本人の当事者意識を失わせているのではないかと感じました。人それぞれの「したい」という思いと会社として実施すべきこと、あるべき姿勢との整合性をどうとってゆくのかという点が、とても重要なポイントなのではないかと思います。とてもいい気付きをいただけた記事でした。(2009/11/09)

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