「すべては倉庫番が知っている」

物価高な日本で日用雑貨品だけが安い理由

目標とすべきベストプラクティスは身近にある

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2009年11月10日(火)

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 日本の日用雑貨品の流通は米ウォルマートより効率的だという指摘を流通業界関係者から何度か聞いている。筆者も最近その説に同調するようになってきた。

 実際、海外でスーパーマーケットを覗いても、加工食品や生鮮品の安いことには驚かされるが、日用雑貨品は必ずしも安くない。

 洗剤、シャンプー、歯ブラシなどの値段は日本とほとんど同じ。ティッシュやトイレットペーパーなど紙製品は日本の方がずっと安い。品質だっていい。

 加工食品をはじめ、日本のほかの商材やサービスは、ほとんどが国際的に割高なのに、なぜ日用雑貨品だけ安いのか。

物流条件は最悪だが・・・

 前回のコラムで、日本の小売市場は小規模分散型で、その中間流通は多頻度小口を特徴とすると説明した。この構造は加工食品も日用雑貨品も変わらない。

 多頻度小口化については、日用雑貨品の方が一層顕著だ。商品1個単位のバラ注文の占める比率は、加工食品が2割程度であるのに対し、日用雑貨品は4割ある。

 商品の荷姿も加工食品のように揃っていない。長尺モノや容積勝ちの嵩モノ(重量に比べて嵩の張る商品)、バーコードのついていない零細メーカーの商品など、取り扱いの面倒ないわゆる“ゲテモノ”が多い。

 しかも、単価は安い。物流条件は最悪と言っていい。本来であれば販売価格は割高になるはずだ。それがそうなっていないのは、元からのことではなく、価格が長期的に下落した結果だ。

 消費者物価指数の推移を品目別に見ると、「調理食品」がバブル崩壊以降も値上がり基調にあるのに対し、「家庭用消耗品」は1980年代をピークに2割以上も値下がりしている。

 安売りを武器とするホームセンターやドラッグストアチェーンが台頭し、スーパーにも集客の目玉に多用されて、特売が常態化してしまった。

 それでも日用雑貨品メーカーの淘汰はこれまでのところ、あまり起こっていない。欧米市場とは違って中小メーカーがしぶとく生き残っている。

 中間流通の効率化が特異的なほど進んだことで、値下がり分が吸収されている。そのことが中小メーカーの存立基盤の維持にもつながっている。

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著者プロフィール

大矢 昌浩(おおや・まさひろ)氏

1964年、東京生まれ。日本大学芸術学部大学院修了。日経BP社発行「日経ロジスティクス」記者、流通専門誌編集長を経て99年、ライノス・パブリケーションズを設立。2001年4月に「月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)」創刊。同誌の編集発行人として現在に至る。2004年4月〜2007年3月、多摩大学大学院客員教授を兼務。



このコラムについて

すべては倉庫番が知っている

原材料の調達から工場での加工、店舗までの配送と、企業や産業のあらゆる活動を“裏方”として支える物流。ここからは、表層からはうかがい知れない経営や経済の動きが浮かび上がってくる。そこから見えてくる課題は、単なる物流改善に伴うコスト削減にとどまらず、企業に構造改革を促すテーマである。10年以上も物流業界を取材してきた筆者が、“倉庫番”だから知り得る日本企業の実像をリポートする。

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