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“スーパーネズミ”はなぜ死んだ?

あなたも“死ぬ”まで働いてしまうかも…

2009年11月12日(木)

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 中川昭一元財務・金融担当大臣の突然の訃報から、ひと月以上がたった。はっきりとした死因は伝えられていないが、“過労死”という文字が私の頭の中ではちらつく。もちろんこれは私の印象であり、勝手な憶測はすべきではない。

 過労死は、英語でもKaroshiやKaroushi。数年前までよく耳にしたり目にしたこの言葉も、今ではすっかり鳴りを潜めるようになった。先月末、マクドナルドの名ばかり管理職の女性店長が過労死と認定されたとの報道で、久しぶりに過労死という言葉を聞いた人も多かったことだろう。

 メディアで聞かなくなると、どんな出来事も過去のこととして人々の意識から消えていく。だが、登場回数が減ったからといって過労死が減っているわけではない。むしろ事態は深刻になっているのである。

 まずは、ここ数日の間に報じられた二つの調査結果をご覧ください。

(その1)

労使間で月80時間を超える時間外・休日労働を認める協定を結ぶ府内1781事業所のうち、直近の1年間で「月80時間超」の時間外労働を課していた事業所が3割に上ることが、大阪労働局の調査でわかった(11月5日付けの読売新聞―大阪)。このうち62カ所は「月160時間超」に達していたという。

(その2)

産業能率大学が企業や行政団体の人事担当者に対して実施した調査で、今回の不況を契機によくなったことはありますか、と聞いたところ「ひとつでもある」と回答した人は63.8%に達していた。具体的には「残業せずに早く帰りやすくなった」が28.3%と最も多く、次いで「ワークライフバランスが取りやすくなった」19.5%となった(資料)。

 さて、あなたはこの2つの相反するニュースを、どう読むだろうか?

残業してはいけない人、残業が当たり前の人

 片や長時間労働に悲鳴を上げ、片や残業カットでうれしい悲鳴。ほぼ同時期に報道されたこの2つのニュースは、現代の“格差社会”の象徴ではないだろうか。つい昨年までは個人間の問題として片付けられていた格差が、産業、あるいは企業規模での格差にまで広がってきたように映る。

 基礎体力のある企業は、コスト削減のために残業を禁止する。同時に、法律を守る体力もあるのでサービス残業も禁止する。その結果、業績はともかく、そこで働く労働者は時間的な余裕が生まれ、ワークライフバランスが実現しやすくなる。

 一方、その日を生き延びるために全体力を注がなくはならない企業(主に中小)は、残業をしないと生き残れない。たとえ、コスト削減のために残業を禁止したとしても、それは名目上だけであり、サービス残業は暗黙の了解となる。その結果、そこで働く労働者は黙って働くしかない。

 会社の事情次第で働き方が、二極化しているのである。

 え? でも、残業時間も総労働時間も減ったって聞いたけど?
 そう思う人もいるだろう。

 確かに、厚生労働省が発表した労働者の総労働時間は、政府目標として掲げられてきた年間総実労働時間1800時間を切って1775時間となり、前年度に比べて32時間減少している(規模30人以上事業所の年間総実労働時間は、前年度より37時間減少の1813時間)。

 しかし実際には、この数字には3分の1を超える非正規労働者の労働時間も含まれているため、「長時間労働が解消されている」と解釈するのは大きな間違い。特に最近は、非正規労働者は就業時間そのものを減らされる傾向にあることからも、一概に「労働者全体の労働時間が短くなった」とは言えないのである。

 なのに、どういうわけか厚労省は「長時間労働が解消されつつある」などという見方を示しているのだから、なんとも納得がいかない。

コメント30件コメント/レビュー

「すべての企業の電力を停止し...」は飲食業や小売業では難しいでしょうね、気持ちはその通りだとおもいます。私だったら税務署管轄にして、いいかげんなな残業不払いは「ノー残業ゼイ」で取り立てるなんてしたいところですね、監視とかキビシソウだし。▼前回と関連で、子育てパパも、残業より育児でスーパーな状態になる人も多いだろうなとおもいます。授乳期の夜中2~3回のミルクつくりとか。独身の同僚は「インフルエンザになったら寝てるしかないですよね」と軽く言いますけど、寝てられるわけ無いし...。(2009/11/16)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「“スーパーネズミ”はなぜ死んだ?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「すべての企業の電力を停止し...」は飲食業や小売業では難しいでしょうね、気持ちはその通りだとおもいます。私だったら税務署管轄にして、いいかげんなな残業不払いは「ノー残業ゼイ」で取り立てるなんてしたいところですね、監視とかキビシソウだし。▼前回と関連で、子育てパパも、残業より育児でスーパーな状態になる人も多いだろうなとおもいます。授乳期の夜中2~3回のミルクつくりとか。独身の同僚は「インフルエンザになったら寝てるしかないですよね」と軽く言いますけど、寝てられるわけ無いし...。(2009/11/16)

記事の内容に大変共感致しました。超過勤務時間があるところ(過労死の危険ラインといわれている月80時間程度)を過ぎると疲れているはずなのに気持ちの緊張がほぐれず眠れなくなり、かえって仕事に集中できてしまう状態を何度か経験しました。私の場合、その後しばしば高熱を出すなどして体調を崩したため、それ以上疲労を貯めてしまうことはありませんでした。現在海外に居住、現地企業に勤務していますが、こちらの誰に話しても日本の状況は異常だといわれます。一方で、コメントの中には記事の内容に否定的であったり、仕方がないといった内容が多いことに驚きました。大変難しいことですが、少なくとも、このような状態が異常であって、改善しなければならないという認識だけは持つべきだと思います。以前は月100時間程度の時間外勤務をしていましたが、今は30時間程度、これでも生活のすべてが大きく違っています。最後に、経営者は他社と同じことをしてコストだけで競争するのではなく、独自のことをして効率的に利益を出すように知恵を絞ることを怠らないでください。(2009/11/16)

大学の研究生時代に、膵炎誘発のために、熱湯でラットを溺れるまで泳がせたが、げっ歯類はストレスに弱いので、すぐに膵炎になる。(足がつきそうで、つかないのが、一番ストレスになる。ヒヒヒ)人間のほうがタフ。論文を書いたら、欧米では動物虐待と言われ、掲載拒否された。(2009/11/15)

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