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“花王への怨念”が日用雑貨品卸を強くした

サプライチェーン競争のリアルな姿

  • 大矢 昌浩

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2009年11月17日(火)

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 日本では中間流通の効率化が日用雑貨品業界で特異的に進化した。卸がそれを主導したとして、前回のコラムでパルタックとあらたという2大卸の存在に触れた。

 実際、両社に統合された地方卸の経営者たちは捨て身の覚悟で経営判断を下し、サプライチェーンの革新に果敢に挑んだ。

 しかし、それは単に経営者たちに先見の明があり、決断力に優れていたというだけでなく、そうしなければ生き残れないほど追いつめられていたからでもある。

 有り体に言えば、花王への脅威と敵愾心が、地方卸の経営者たちの背中を押し、経営統合、業界再編へと駆り立てたと筆者は理解している。

垂直統合を進めた花王

 花王は1966年に「販社制度」を導入して、事実上のメーカー直販に踏み切っている。卸の存在価値を否定し、メーカー主導による垂直統合の道を選んだ。

 花王専用の発注端末を全国の小売店に配置して、囲い込みと市場のコントロールに努める一方、卸に変わる物流インフラの構築に多額の投資を断行した。

 この卸中抜きに対する反発から、日用雑貨品業界に“反・花王同盟”ができあがった。全国の地方卸と花王以外のすべての日用雑貨品メーカーが団結した。

 そのために他業界ではことごとく失敗した業界VAN(付加価値通信網)や競合メーカー同士の物流共同化が、日用雑貨品業界では定着している。

 花王は物流の高度化にも、トップダウンで取り組んだ。機械化を進めて工場の出荷機能を強化し、貨物の単位を荷役設備に合わせて標準化するユニットロード化や、物量の平準化を進めた。

 垂直統合されたサプライチェーンは、取引先と利害関係を調整する必要がないので、トータルコスト削減に向けた改革を実現しやすいという長所がある。

 それに対抗するため、反・花王同盟もまた知恵を絞らざるを得ない。SCM(サプライチェーン・マネジメント)というコンセプトが日本に輸入される以前から、サプライチェーンの全体最適化に向けたコラボレーションが進んだ。

 その結果として、日本の日用雑貨品業界の物流オペレーションは隣接業界をはるかに抜きん出る水準にまで進化した。

日用雑貨品の技術を医薬品に転用

 加工食品大手の菱食は、1990年代末に日用雑貨品の取り込みに動いている。東北の中堅食品スーパー、ヨークベニマル向けの専用センターで加工食品と日用雑貨品の物流統合を図った。

 欧米では加工食品と日用雑貨品が「グローサリー」として1つのカテゴリーで括られている。そのカテゴリー区分を日本にも持ち込んだ。

 しかし、この試みは失敗に終わっている。日用雑貨品の物流オペレーションが破綻して、菱食は撤退を余儀なくされた。

 菱食は物流技術には自信を持っていた。バラ注文の高速処理システムをはじめ、それだけの実績があった。しかし日本の日用雑貨品の物流は、加工食品よりはるかに難度が高かった。

 加工食品に比べれば、日用雑貨品は小さな業界だ。なめてかかっていたわけではないだろうが、菱食はまさか自分たちが強みとする物流で挫折するとは想像もしていなかったに違いない。

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