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「所詮、自分以外はみな他人なんですよ」

【コーチ対談】中竹“面談王”竜二・早大ラグビー部監督を解剖する(前編)

  • 鈴木義幸

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2009年11月19日(木)

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 人を統率するプロはいかに自分を統御しているのか。コーチングのトッププロであり、連載コラム『風通しのいい職場づくり』『リーダーシップは磨くもの、磨けるもの』の執筆者としてもおなじみの鈴木義幸氏が、様々な現場で活躍中のリーダーやリーダー論者に「真意」を問う。

 まずご登場くださったのは、早稲田大学ラグビー蹴球部監督の中竹竜二氏だ。中竹氏は前監督の清宮克幸氏から指名され、2006年、新監督に就任した。清宮氏が「カリスマ」と評されたのに対して、中竹氏は自身を「日本一オーラのない監督」と称する。

 選手との接し方も対照的だ。清宮氏がトップダウン的な指示スタイルを貫いたのに対し、選手と徹底的に膝を突きあわせて話し合うのが中竹流。その手法の成果は、2007年、2008年と全国大学選手権2連覇という形で結実している。

 「日本のラグビーの監督で日本一、面談に時間を割いている」中竹氏。百数十人もの選手の力をどう引き出しているのだろうか。独特の指導法はどんな人生観から成り立つのか。コーチがコーチを解剖する異色の対談は、まさにガチンコモードで始まった。

対談をお読みいただく前に――――鈴木義幸

 中竹さんとは、これまでに5回ほどお会いしています。毎回、中竹さんがどのように選手のやる気に火をつけ、チームを勝利に導いたのか、様々な角度からお話を聞かせていただき、その度に「なんてすごい人なんだ」と驚嘆しておりました。

 ご本人は、「世界一オーラのない監督」と言い張りますが、私の前で雄弁にご自分の方法論と実績を語る中竹さんは、とても強いオーラを発していました。

 中竹さんの方法論は一見すると大変シンプルです。選手と話し、面談し、その選手らしさ、スタイルをみつけていく。そして、そのスタイルをとことん発揮させる。また、選手と一緒にビジョンを描き、その達成のためのストーリー、シナリオをとことん議論を尽くして書き上げていく。

 大きく言ってしまえば、中竹さんがやっているのはそれだけです。でも、ここで問いが生まれます。「なぜそんなにうまくいくのか?」。おそらく別の人が真似をしても、決して中竹さんのようにはうまくいかないでしょう。

 どのように選手は自分の「らしさ」に行き当たるのか?
 中竹さんはそれをどのように見つけるのか?
 そもそもなぜスタイルを持つことこそが大事だと思ったのか?
 中竹竜二はどのような仕組みで動いているのか?

 中竹さんをもっともっと深く知りたい!

 そんなわけで、日経ビジネスオンラインの方からこの対談の企画を持ちかけていただいたとき、真っ先に浮かんだ名前が中竹さんでした。

 1時間半の対談は自分にとってまさに真剣勝負でした。どこまで中竹竜二を明らかにすることができるか。中竹さんがご自身でも言語化できていない無意識の領域にどれだけ入りこむことができるか。

 中竹さんがどう思われたかわかりませんが、1対1で駆け引きのあるスクラムを組んだような印象が残っています。

 中竹さんは全てをとてもシンプルに語ってくれました。ただその言葉がシンプルであればあるほど、そこに練りこまれた哲学を感じました。昨日今日の浅知恵では決して行き着くことのできない、深遠な哲学。

 私にとっては他に得がたい体験でした。この対談が少しでも、部下を持つみなさんのためにも役立てばと思います。

(写真:佐藤 類、以下同)

中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)

早稲田大学ラグビー蹴球部監督。早稲田大学人間科学部入学後、4年次の1996年度にラグビー部主将を務め、全国大学選手権準優勝。卒業後、英国に留学。レスター大学大学院社会学修士課程修了。2001年、三菱総合研究所に入社。2006年から三協フロンテア勤務。同4月より、清宮克幸監督の後任として早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。2007年度、2008年度、大学選手権で優勝を果たす。著書に『リーダーシップからフォロワーシップへ』(阪急コミュニケーションズ)、『監督に期待するな』(講談社)、『挫折と挑戦』(PHP研究所)など。

鈴木義幸(すずき・よしゆき)

株式会社コーチ・エィ取締役社長。慶應義塾大学文学部卒。(株)マッキャンエリクソン博報堂勤務を経て、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を修了。帰国後、コーチ・トゥエンティワンの設立に参画。延べ200社以上の企業において管理職を対象とするコーチング研修を行う。また200人を超える経営者、管理職のマンツーマンコーチングを実施。著書に『職場スイッチ』(ダイヤモンド社)、『エグゼクティブ・コーチング入門 』(日本実業出版社)、『コーチングが人を活かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

鈴木:中竹さんとはこれまで何度もお話をさせていただいていますが、そのたびに興味深いのが「面談」です。日々、すべてのラグビー部員と数多くの面談をしているということです。まず、面談の目的はどういうものか、伺います。

中竹:面談の目的は、選手一人ひとりの「自分らしさ」を引き出すためのものです。基本的に、人は自分らしくありづらいと思うんです。これまでの日本は、共通のメンタリティがあれば済むような世の中でしたから。

 社会で活躍している人に「あなたらしさとは」と訊いても、明確に答えられない人が多いと思います。大学生が答えられるかといったら、まずできません。

 面談で選手に「どういうプレーをしたいの?」と訊いても、ラグビーのマニュアルに載っているような答えが返ってきます。そこで「それはお前らしいプレーなの?」と質すと、ハッとなる。

鈴木:どこかで聞いたことのあるような答えはいらない、と。

中竹:多くの選手は「自分らしさを出せるか」よりも「試合に出られるか」に関心があります。でも、私は自分らしさをもっている人を優先的に出場させるようにしています。

 自分らしさをもつとは、順調でも逆境でも、接戦でも大差でも同じプレースタイルでいることです。私が見ているのは、決勝戦でも自分らしいプレーができるかということ。選手には、小手先で通用するものでなく、根源的に「自分はこのプレーで生きていくんだ」というものをもっていないと話にならないと言っています。

逆境のとき、立ち戻れる場所をつくっておく

鈴木:自分らしさをもっているとなぜ強いのでしょうか?

中竹:逆境のとき立ち戻れるからです。立ち戻れるところがないと、人は崩れるんですよ。

鈴木:崩れる。

中竹:ええ。立ち戻るところがないとパニックになる。いろんな人の話をどれもみな正しいものと聞いてしまったり、まったく性格や背景が違う人の成功体験を参考しようとしたり。それで、崩れる。逆境で悩んでいるとき、冷静になって戻る境地があるかないかが問題です。

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