「購買行動を創造する「通販のヒミツ」」

通販も健康もブーム、だけど失速のナゼ?

通り一辺倒では伝わらない

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2009年11月20日(金)

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 都内某所のダイニングカフェ――。

 「理恵、遅いなぁ・・・」。カウンターでネットブックを開いていた藤野香織は、思わずつぶやいた。が、左隣に座っている中津川あやは全く気づかなかったようで、「マスター、この新作パスタ、隠し味は何?」と話しかけている。

 マスターは問いには答えず、微笑みながら入り口に目をやった。「最後のエンジェルがご到着のようだよ」。

 「会社を出ようと思ったら、電話がかかってきて・・・」と、いつものように言い訳しながら慌しく駆け込んできた榊理恵は、いつものように香織の右隣に腰を下ろした。

 香織、理恵、あやの3人は、通販企業に勤めるビジネスウーマン。香織は大手量販店でバイヤーの経験を持つ。理恵は、教材から消費財まで様々な商材を扱ってきた。あやは、ネット通販一筋だが、コールセンターを担当していたこともあり、サポート業務に詳しい。年齢も“長女”の理恵、“次女”の香織、ちょっと年の離れた“末っ子”のあや、という感じ。

 同じ業界ながらキャリアも世代も違う3人は、このカフェで知り合った。いつしか「通販談義」に花を咲かせるようになり、今では2週間に1回は集まっている。

 そんな様子を知るマスターは、いつも「事件を解決する『チャーリーズ・エンジェル』ならぬ、通販業界を盛り上げる『ツーハン・エンジェルズ』だね」と軽口を叩く。こう言われた3人も、実はまんざらでもない。

 「不況で『すごもり消費』っていう言葉があるぐらいだから、みんな仕事は忙しいんだろう?」。マスターが3人に声をかける。「おかげさまで。消費者の立場としての自分自身を考えても、最近は彼氏と一緒に食材とお酒を買い込んでおうちゴハンが定番。たまに通販でお取り寄せするのがちょっとした贅沢なの。通販の利用は増えているわね。へへっ」。こう言いながらあやは、ちょっと顔を赤らめる。照れているようだ。

 「おっと、いきなりオノロケ?!」。理恵が大きな声を出す。これも、いつものことだ。「でも本当だね。あやと同じようなライフスタイルの人は増えているでしょうからね」。

 「確かに通販の成長は右肩上がりだよ。でもね・・・」。香織はネットブックの画面を難しそうな顔で見続けている。

 通信販売は、毎年、市場規模を拡大し続けています。社団法人日本通信販売協会(JADMA)によると、2008年度には4兆1400億円まで成長しました。1999年度と比べると約2倍になっており、2009年はさらに拡大する見込みです。

ネットやケータイで伸びる通販

 通販で真っ先に思い浮かぶのはインターネットですが、ほかにもカタログ、テレビ、ラジオ、それにダイレクトメールや新聞雑誌の広告なども含まれます。最も勢いがあるのはやはりインターネットで、パソコンとともに携帯電話を使った通販が伸びています。

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著者プロフィール

藤野 香織(ふじの・かおり)

大学卒業後、大手量販店に入社。食器、キッチン用品、寝具、インテリア、玩具など住居関連の売り場責任者とバイヤーを経験。現在はカタログ・ネット通販企業に所属する現役バイヤー。著書は『製造業・小売業のバイヤーが教えるThe調達・仕入れの基本帳77』(日刊工業新聞社)、『ヒットする! PB商品 企画・開発・販売のしくみ』(同文舘出版)。

榊 理恵(さかき・りえ)

新卒で通信教育業界に入ったのを皮切りに、企画制作、販促、マーケティングなどと立場と会社を変えながら「通販」に十数年間、携わり続ける。

中津川 あや(なかつがわ・あや)

大学卒業後ネット通販企業に入社。コールセンターのスーパーバイザーとして、長らくクレーム対応に携わる。その後、バイヤー、データ分析など様々な業務に携わって今に至る。



このコラムについて

購買行動を創造する「通販のヒミツ」

モノあふれで生活する満ち足りた消費者に、どう購買意欲をわき立たせるかは、小売業にとって共通の課題だ。リアル店舗を持たない通販ビジネスでは、“見えない消費者”の心をつかむ絶え間ない努力や工夫が必要になってくる。通販ビジネスを解き明かすことは、消費者の購買行動を赤裸々にすることにほかならない。

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