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ロングテールをリアルに実践~九州に“凄い”ホームセンターがあった

小売業の生きる道を探せ――ハンズマン

2009年11月19日(木)

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 九州一円にホームセンターを展開しているハンズマン(宮崎県都城市、大薗誠司社長)。店舗数は9店舗。売上高207億円、営業利益も1億円あまり(2009年6月期のデータ、2010年6月期第1四半期は出店費用の影響で800万円の営業赤字)。ジャスダック市場に上場しているものの、九州以外の知名度はそれほど高くない。中堅に毛が生えた程度のホームセンターである。

 もっとも、その売り場は他を圧倒する迫力だ。テーマパークに迷い込んだような美しい店内、業界他社の数倍に達する圧倒的な商品数、「ロングテール」をリアル店舗で実践しているその戦略――。異色の存在であることは間違いない。これからハンズマンの経営を見ていく。小売業の1つの方向性が明らかになるのではないだろうか。

(日経ビジネス オンライン、篠原匡)

 ホームセンター「ハンズマン」。店内にひとたび足を踏み入れれば、その光景に度肝を抜かれることは間違いない。試しに、本部のそばにある吉尾店(宮崎県都城市)を覗いてみよう。

 入り口の目の前に広がるガーデニングコーナー。天井高は13メートルと抜群の開放感。天気のいい日は柔らかな陽光が木々や草花を映し出す。メイン通路にはいくつもの街灯、中央の噴水は絶えず水を噴き上げている。商品の苗木の上には色とりどりのパラソル。足元にはレンガを組んだ什器が並んでいた。

ガーデニング売り場。天井が高く開放感は抜群(著者撮影、以下同)
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 視線を上に上げれば、イギリスの庭園を撮影した大型パネルが張り巡らされ、「Welcome to Handsman」と書かれた看板が来訪者を迎えてくれる。どこかのテーマパークに迷い込んだのではないか、と錯覚を覚えるほど。視覚に訴えかけるものがほかのホームセンターとはまるで違う。

 店に溢れる開放感、驚きを与えるディスプレイ。これは、すべての売り場で共通していた。

スコップやノコギリがのこぎりディスプレイに

 ガーデニングコーナーに隣接するDIYコーナーも中央部分はやはり吹き抜け。「Over 180,000」や「DO IT YOURSELF」などと描かれた大きな垂れ幕や看板が天井や壁につり下がっている。屋内だが、そう思わせない奥行きと広がりがある。

ハンズマン店内。目がくらむほどの迫力だ
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 さらに、店内を広角に見れば、あまりの多さに立ちくらみするほど、雑多な商品が整然と並べられている。「青」「黄」「赤」「白」「黒」。棚ごとに並んだビビッドな商品群はそれだけで巨大なアート作品に思えてくるから不思議なものだ。

 なにより、衝撃を受けるのは棚を埋めるディスプレイである。スコップやのこぎり、ヘルメット、作業服、じょうろ、ガムテープ、蛇口――など、その棚で売っている商品が壁の高い位置にそのまま貼り付けられていた。視界に飛び込むスコップやのこぎり。その違和感は筆舌に尽くしがたい。

各売り場の上部には商品がそのまま貼りつけてある
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ここは作業着売り場
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 度肝を抜かれるのは棚に並べられている商品も同様だ。このホームセンター、とにかく商品の数が多い。例えば、鉄工用電気ドリルのドリルビッド。近隣のホームセンターは0.5ミリ単位で販売しているが、この店では0.1ミリ刻み。しかも、普通は2本単位だが、ハンズマンでは1本ずつバラで販売している。

 電力ヒューズも1つの売り。そのアイテム数は300種類を優に超える。コンデンサや抵抗器も360種類。代用がきくすべてのパターンがここで揃う。ネジも約3000種類。「これが置いてあるのはうちくらいじゃないの」。同社の2代目、大薗誠司社長がこう豪語するように、左巻きのネジまで置いてある。

 畜産王国、都城の土地柄もあり、牛の鼻輪やほ乳瓶などの畜産用具を数多く扱う一方、近隣の農家のために30種類を超える段ボールを常備している。運動会の綱引き用ロープも含めて300種類を超えるロープを並べる一方、メキシコやイタリア、イギリスなど世界各国から仕入れた園芸鉢も売っている。

 トラクターの点火プラグまで常備しているからだろうか。「その部品はハンズマンに行ってください」。自動車部品を買いに来た客にハンズマンを勧める自動車用品店も近隣にはあるほど。「専門店になくてもハンズマンにはある」という商品は数しれない。

電気ドリルビットは0.1ミリ刻み
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ここはスコップ売り場
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手袋は左右ばら売り、驚異の18万5000アイテム

 驚愕のアイテムはそれだけではない。作業用手袋。普通は右と左のワンセットだが、このホームセンターでは右と左をバラで売っている。散水用のホースノズルもそう。普通はノズルの完成品が置いてあるが、この店は完成品と同様にバラバラの部品も売っている。

 文房具もそう。普通はボールペンやシャープペンシルをそのまま売るが、この店ではボールペンの中身のインクやシャープペンシルの消しゴムを単品で売っている。入浴剤もそう。普通は15包なら15包を一袋で売っているが、この店では袋を破いて1包ずつ売っている。

 こうした商品が積もりに積もって、商品点数は現在18万5000アイテムに達した。「業界平均は3万5000アイテムぐらい」という大薗社長の言葉をそのまま受け取れば、実に他店の5~6倍のアイテム数があるということになる。「ないものはない」を看板に掲げるハンズマン。それも伊達ではないだろう。

 もっとも、はじめからアイテム数が多かったわけではない。

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「ロングテールをリアルに実践~九州に“凄い”ホームセンターがあった」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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