「活路を開いた新規事業」

“電子メモ帳”で20年ぶりのヒット
文具らしさ追求、ニッチ市場拓く

キングジム(デジタルメモ「ポメラ」)

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2009年11月25日(水)

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ファイルやラベルライター「テプラ」で知られる文具メーカーのキングジム。
テプラ発売から20年目の昨年発売したデジタルメモ「ポメラ」が人気を呼んでいる。
機能を徹底して削ぎ落とし、「気軽にメモを取る」に特化した新商品だ。
役員1人しか評価しなかった商品は同社第3の柱になろうとしている。(文中敬称略)

<日経情報ストラテジー 2009年6月号掲載>

プロジェクトの概要

 2008年11月にキングジムが発売したデジタルメモ「ポメラ」は発売と同時にほぼ品切れ状態に陥った。初年度10万台に達する勢いで,ここ数年売り上げが伸び悩んでいた老舗文具メーカーにとっては起死回生のヒット商品となった。成熟商品であるファイルやラベルライターだけでは成長は望みにくい。同社を救ったのは極めてシンプルなメモ専用機だった。

 多機能化という情報機器の潮流と逆行するポメラを企画したのは、自称「社内プータロー」の中堅社員だった。「会議で9割が賛成する商品は案外売れない」が持論という社長は、役員会議でたった1人しか評価しなかった案件にゴーサインを出す。「独創的な商品を開発し、新たな文化を創造する」を理念とする企業は、消費低迷下でニッチ市場を掘り当てた。

ヨドバシカメラ秋葉原店2階の電子辞書売り場の一角でデジタルメモ「ポメラ」は販売されている。この日も話題の商品を手に取る客は後を絶たなかった (写真:都築 雅人)

 “兆候”は同僚から電話で伝えられた。2008年10月21日、キングジム広報部リーダーの田辺賢一はデジタルメモ「ポメラ」の発表会見を終え、開発本部の面々と中華料理店の円卓で一息ついているところだった。手持ちのノートパソコンを立ち上げ、インターネットの掲示板をのぞき込んだ。そこには、発表したばかりのポメラを評価するコメントが続々と書き込まれていた。

 ポメラは「ポケットメモライター」の略だ。テキスト(文章)入力に特化した電子文具である。形状はノートパソコンや電子辞書に近いが、利用目的は「メモを取る」ことのみ。紙のメモと異なり電子データとして保存できる。小さいので会議や電車の移動中でも目立たない。打ち合わせや出張が多い人向けに作られた「電子化されたメモ帳」である。

 キーボードを2つ折りにしてスライドさせることで文庫本ほどのサイズにとどめた。キーの幅はノートパソコン並みだが、重さは半分以下。日本語入力にはジャストシステムのATOKを採用しており、多くのパソコン利用者が使い慣れた漢字変換が可能だ。単4電池2本で20時間の駆動に耐える。

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著者プロフィール

上木 貴博(うえき・たかひろ)

日経ビジネス記者。2002年に日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」を経て、2010年春から再び日経ビジネス編集部に所属。趣味は野球(やる、読む、観る)と献血(2011年7月現在で通算140回)。相撲二段。好きな作家は後藤正治。

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