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第8回 何かヘンだぞ、日本企業の社会貢献

  • 武田 斉紀

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2009年11月24日(火)

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 CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンスビリティ、企業の社会的責任)という言葉が普及して久しく感じます。

 私は以前から、大手企業を中心に発表されるCSRレポートに、ある種の疑問と違和感を抱いていました。本業での社会貢献や地球環境への配慮はいいのですが、本業とは別の部分でのさまざまな社会貢献が高らかにうたわれているのです。

 どこそこの国や地域、支援団体、NPOに寄付をしている。あるいは○○という社会人やプロのスポーツチームを運営、支援している。△△という文化団体を運営、支援している。

 昨年秋からの世界的な不況によって、多くの社会人スポーツチームが廃部や撤退を余儀なくされました。女子サッカー、アイスホッケー、バレーボール、モータースポーツのF1など。F1は活動から得られる技術開発が本業にも生かせ、ブランドイメージ作りにも貢献するにもかかわらず、ホンダに続いて世界ナンバーワン企業のトヨタまでもが撤退を決めました。

 オリンピックでメダルまで取りながら路頭に迷う、気の毒な選手も相次いでいます。選手たちは移転先が落ち着くまでの間、練習に100%集中することなどできないでしょう。こうした事態は今回に限らず、不況のたび、企業業績が悪化するたびに起こってきました。

業績が悪くなると真っ先に見捨てられる事業

 社会貢献にお金は必要です。困っている国や地域、スポーツチーム、文化団体にとって、スポンサーになってくれる企業は多くの場合歓迎される存在です。企業側に宣伝の意図があろうと、実際そうした支援があるからこそ、彼らの多くが活動できているのも事実です。

 また企業がこれまで支援してきたからこそ、日本のスポーツや文化が発展しえた、その多大なる功績を無視するつもりもありません。たとえばプロ野球がWBCで世界一になれるのも、サッカーがJリーグで盛り上がれるのも、社会人選手が世界で戦ってメダルを獲れるのも、企業がスポーツを支えてきたおかげです。

 しかしながら、運営企業、支援企業の業績が悪くなると一番にリストラの対象となるのが、こうした寄付やスポーツチーム、団体へのお金です。好成績を収めたプロチームでさえも、時として親会社の利益確保のために売りに出されてしまいます。

 四半期ごとに業績を報告しなければならない上場企業の場合、株主からすれば、業績が悪いのに何が寄付だ、何がスポーツだとなり、“仕分け”されるのもわからないではありません。結局、本業を維持するため、従業員の給与や雇用を守るためという理由で、最初に切り捨てられる立場にあるのです。

 収入源が他にないのに、寄付が止められた団体は明日からどうすればいいのでしょうか。力のある選手は他のチームから誘ってもらえるでしょうが、それ以外の選手は自動的に選手生命が絶たれるかもしれません。倒産やM&Aで突然会社がなくなるかもしれない時代に、選手たちが大きなリスクを感じながら、スポーツや文化の発展が進むでしょうか。そして企業はCSRを果たしていると言えるでしょうか。

 CSRレポートを開くたびに感じる私の疑問と違和感は、そんなところからきています。

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