「COOL JAPAN」から「COLD JAPAN」へ――。足元の企業業績に明るさは見えるものの、世界の株価も各国の財政支援の息切れを待っていたかのように不安定になり、二番底が話題にのぼる。
冷え切ってしまったニッポンの突破口探しを狙って、「COLD」なニッポンの現状を最新の事例やケース=症例を豊富に取り上げながら理論的な切り口で分析、「COLD JAPAN」脱却と新たな成長のための〈処方箋〉の提言をめざした新シリーズ。11月に入ってもアクセスランキング上位に顔を出しており、世知辛い時代を伺わせる。
連載もいよいよ終盤、さらに身近なテーマを題材にどうすれば「COLD」を抜け出せるのか話を深めていく。国内市場の凋落を前に気分新たにこれからの成長を模索している企業の経営幹部やキーパーソンの方々のヒントになれば望外の喜びである。
「ハンバーガーにおけるマクドナルドが、SUSHIにおいては存在しない」
某大学教授がグローバル企業経営者I氏の発言として時に引き合いに出すフレーズです。
マクドナルドは、約120カ国3万2000店舗に拡張する世界最大の外食チェーンでありながら、2008年度は約2.4兆円の売り上げを実現し、いまだに約7%の売り上げ成長を遂げています。
レイ・クロックがハンバーガーチェーンを開始したのは1955年。最初の店はイリノイに出来たそうですので、第5回でとりあげた、同じ頃ニューヨークに渡った盛田昭夫はこの存在をまだ知らなかったでしょう。それからたった54年。ソニーもマクドナルドもグローバルに知られる企業となりました。
ハンバーガーにはもちろんマクドナルドのみならず世界的なチェーンから各国ローカルの有名店まで多数の競合が存在します。1970年代の日本にマクドナルドが上陸する前にもハンバーガーを売る店は存在していました。それでも、日本を始め世界的にハンバーガーを広めた功績はマクドナルドの世界戦略に拠る部分が大きいでしょう(『レクサスとオリーブの木』でもグローバリゼーションの代表格とされ、最近では批判の対象とされるほどです)。
対して、日本の寿司ではグローバル企業が出ていないようです。「寿司はニッポンの食べ物だ。そんなの当たり前じゃないか」という反論をいただく前に、少し長くなりますが下記の引用をみてみましょう。
ハンバーガーやピザはグローバル食品だが、寿司は日本独自のローカル食品だから、という言い訳は通らない。現在では、世界中の主要都市で寿司が食べられない都市はないと言っても過言ではない。米国では、相当の田舎町に行ってもSushiレストランが存在する。
『スシエコノミー』を読むと、需給両面において、寿司がいかにグローバル化しているかを驚きとともに知ることができる。しかし、この分野にはマクドナルドやピザハットのような、グローバルな日本発の企業が存在しない。(村上輝康、「なぜ日本の寿司屋はグローバル化しないのか」知的資産創造2008年8月号)
最後の一文で、グローバルな「日本発の」企業と強調しているところに本コラムの著者の強い気持ちが読み取れますが、まさにここで示唆されている通り、寿司にはすでに大きな世界的なニーズがあり市場が形成されつつあるのです。それでも日本の寿司におけるグローバル企業がでていないことは「当たり前」でしょうか?
「諦め」から「目覚め」へ
これまで6回の連載において、ほんとうに多数のコメントを頂戴しました。
「なぜ世界に成長しなければならないのか?」「世界に出たい企業だけが出れば良いじゃないか」「価値観の押しつけだ」などのご指摘については、第6回でもみたとおり停滞する国内市場を見ていまだに日本だけで生きていけると考えると企業経営者としての視野と可能性は狭くなります。
また、アニメやマンガ、キリンやサントリーのような「まだ世界で市場を獲得できていない」例に対しては、「『クール・ジャパン』は高い評価を受ける文化を示すものだ」「ジャパニメーションが世界に出たらジャパニメーションでなくなってしまう」「電機・自動車と食品・飲料を一緒にするな!」とお叱りを受けました。
ほんとうにそうでしょうか?
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