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需要予測に頼るな。裏切られる

『ザ・ゴール』ゴールドラット博士の教え(その2)

  • 大矢 昌浩

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2009年12月8日(火)

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 前回、紹介したように『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者、エリヤフ・ゴールドラット博士が小売業向けにロジスティクスを解説した新刊『ザ・クリスタルボール』(ダイヤモンド社)を発表した。

 クリスタルボールとは文字通り、未来を映す魔法の水晶玉のことで、そんなものはこの世に存在しないということが、物語の出発点になっている。

 ゴールドラット博士によると、米国のスーパーマーケットの欠品率は20年前まで9%だったという。その後、米国では需要予測システムの開発が進み、流通業各社は多額の投資を断行した。

 ところが肝心の欠品率は、現在も9%のまま全く改善されていない。投資は全くムダだったということになる。

売れた分だけ調達しろ

 日本でも2000年代以降、「SCP(Supply Chain Planning=サプライ・チェーン計画システム)」と呼ばれる米国製の高価な需要予測システムを導入する企業が相次いだ。

 当初は大幅な在庫削減や欠品率の改善など、華々しい導入効果が喧伝されていた。しかし、当時導入されたシステムのほとんどが現在は使用されていない。廃棄されている。

 効果が上がっているように見えたのは、予測が当たるようになったからではなく、それまでおろそかにしてきた管理を一時的にやるようになったことが理由だった。

 そのためシステムの導入プロジェクトが終わってしばらくすると、また元の状態に戻ってしまった。システムは信頼を得られず、業務プロセスに定着しなかった。

 モノが売れるという現象は複雑系であり、偶発的でささいな出来事によって大きく結果が左右されてしまう。カオス力学が働く。

 売り上げに影響を及ぼすすべての条件を数値化して入力することは事実上不可能だ。従って、どんなに高度なアルゴリズムを駆使しても、システムで将来の需要を予測することはできないことになる。

 それならば需要予測システムの高度化にムダな投資を重ねるより、予測に頼らない商売の仕組みを作った方がいい。それがゴールドラット博士の提言だ。

 具体的には、予測に基づいて店舗に在庫を配分することをやめて、店頭で売れた分だけ小刻みに補充するようにする。

 つまりジャスト・イン・タイム(JIT)を小売業に適用することで、欠品率を改善する。それによって店舗の在庫量も減る。店舗には売れた商品が補充されるまでのリードタイム分の在庫を持つだけでいい。

コメント2件コメント/レビュー

ちょっとうろ覚えなのだが、トヨタがサンアントニオでトラックを展開すると決定し、これが究極のJITであるといった記事を昔日経ビジネスかどこかで見たような気がした。確かに敷地内に殆どの材料会社が揃いすごいJITだったのだが、いざ100年に一度と言う経済危機が起きてみるとそのJITのもろさがよく判ったといえる。トラックの専用工場であるし、これらの材料会社はトヨタ以外にすぐに材料を配送できない、何故なら近辺に大きな自動車工場はないから。結局、トヨタが工場を数ヶ月停止したためその影響がもろにこういった材料会社にも及んだ。これから、いかにフレキシブルな製造工場そして物流体制を持つことが重要かよくわかったと言える。(2009/12/09)

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ちょっとうろ覚えなのだが、トヨタがサンアントニオでトラックを展開すると決定し、これが究極のJITであるといった記事を昔日経ビジネスかどこかで見たような気がした。確かに敷地内に殆どの材料会社が揃いすごいJITだったのだが、いざ100年に一度と言う経済危機が起きてみるとそのJITのもろさがよく判ったといえる。トラックの専用工場であるし、これらの材料会社はトヨタ以外にすぐに材料を配送できない、何故なら近辺に大きな自動車工場はないから。結局、トヨタが工場を数ヶ月停止したためその影響がもろにこういった材料会社にも及んだ。これから、いかにフレキシブルな製造工場そして物流体制を持つことが重要かよくわかったと言える。(2009/12/09)

今回の記事からすると、物流センターの情報収集能力・データ編集能力がサプライチェーン全体最適化のカギということになるのでしょうか。市場によっても違うということですが、この点から、日本の物流の現状につきどのようにお考えなのかを今後解説していただけることを期待しています。(2009/12/08)

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三品 和広 神戸大学教授