「統計学者吉田耕作教授の統計学的思考術」

公務員の“改善訓練”で16兆円のコスト削減に成功した国

統計学的思考で税金の無駄遣いはもっと削減できる

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2009年12月15日(火)

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 前回まで2回にわたり職場の人事に対して、数式を使わずに簡単なグラフを用いて統計学的に考えるとどうなるかをお話した。今後は、統計学としてもう少し基本的な数式やバラツキの概念を説明してから、身近な問題に関してもっと色々と面白い話ができるだろう。

 しかし、今回はそういう事をすっ飛ばして、統計的問題解決法を用いると、現在政府の税金の無駄使いが大幅に削減できるのだというお話を技術的な説明なしにお話したい。つまり、途中の道筋は省略して、こういう道を進んでいくと、こんな事ができますよという事を示すのが今回の目的である。

多額の債務残高に悲観的になる前に学ぶべき事

 民主党政権が誕生してから、矢継ぎ早に税金の無駄使い削減策がとられているようである。マニフェストでは無駄使いをへらし、不要不急な事業を根絶し、平成25年度には16.8兆円の節約を実現するとある。これらの分野で節約した分を子ども手当、年金、地方の自主財源増加、中小企業支援等の社会福祉に回そうという事である。

 しかしながら、節約の部分では間に合わず、国の財政収支は大幅な赤字になり44兆円超の新規国債の発行は避けられない状況のようである。問題は日本の政府の累積債務(対GDP比)は先進国の間では断トツに多い事だ(図1)。特にバブルがはじけてから急速に悪化したのがわかる。国の財政は夕張より深刻であるとか、一時は日本の財政の健全性はボツワナよりも低いとか言われた。しかしながら、ここであまり悲観的にならず、米国の経験から学ぶ必要がある。

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 表1は米国の1960年からの政府の赤字の推移を示したものである。表1から明らかなように米国は第2期目のクリントン政権の時(1998年〜2001年)に1969年以来29年ぶりに政府の赤字を黒字に転換し、しかもその後4年間にわたり毎年黒字を出し、2000年には約24兆円の黒字を出すのに成功した。従ってこの時、米国連邦政府の債務残高は減少したのである。問題はどうやってそれを可能にしたかという点だ。

日本を強くしたのは米国人だったという驚くべき事実

 それを説明するために少々時間的にさかのぼる必要がある。60年代、70年代を通して、米国は国際収支の赤字、特に、日本からの輸入超過に悩まされていた。米国の企業は国際競争に敗れ、一つずつ潰れていった。それどころか、一つずつ産業が米国から消え失せていった。米国人たちは米国の将来はもうないと、暗いムードに包まれていた。

 そのころ、米国は、なぜ、日本が急激に競争力をつけ、米国の市場を席巻するようになったかという問いにたいする答えを見出そうとして、数多くの使節団を日本に送り、徹底的に調べて歩いた。そんな時、米国人は色々な工場で「デミング」という名を聞いた。

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著者プロフィール

吉田 耕作(よしだ・こうさく)

カリフォルニア州立大学名誉教授、ジョイ・オブ・ワーク推進協会理事長。経営学博士。1938年東京生まれ。1962年早稲田大学商学部卒業。68年モンタナ大学で修士号(ファイナンス)を取得。75年ニューヨーク大学でデミング博士、モルゲンシュタイン博士に学び、博士号(統計学)を取得。75年からカリフォルニア州立大学で教鞭をとる。99年青山学院大学国際政治経済学部教授。2001年から2007年まで同大学院国際マネジメント研究科教授。86年から93年まで、デミング4日間セミナー「質と生産性と競争力」でデミング博士の助手を務めた。統計的な考え方をベースとして、米国連邦政府、ヒューズ航空機、メキシコ石油公社、NTTコムウエア、NTTデータ、NECなどを指導。著書に『国際競争力の再生』『経営のための直感的統計学』、『直感的統計学』、『ジョイ・オブ・ワーク――組織再生のマネジメント』、『統計的思考による経営 』など



このコラムについて

統計学者吉田耕作教授の統計学的思考術

「統計学」と聞くと、難しい数式とグラフを思い浮かべ、抵抗感を持っている人が多いでしょう。とくに文科系の人であればその思いは強いはず。でも、一度、統計学の視点で世の中を見渡してみると、物事は大きく違って見えてきます。数学が苦手だった人でも吉田教授の“講義”なら大丈夫。難しいことはありません。経営とビジネス、そして人生に役立つ統計学です。

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