「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」

会社はヒマつぶし?

“仮面夫婦”化させる、“白い嘘”だらけの求人広告

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2009年12月10日(木)

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 「出世したがらない」
 「常に受け身である」
 「二言目には、なぜ僕は評価してもらえないんですか? と言う」

 いずれも、私が幾度となく聞いた、若手社員の扱いに苦労する上司たちの悩みである。

 私たちの世代も「新人類」などと呼ばれていたので、「今どきの若者は…」などとは極力言いたくないのだが、ボヤかずにはいられないほど理解不能な言動を今の若手社員はする。

 つい先日も新人研修の講演会で、
 「私は、この会社にどうしても入りたかったとか、今の仕事を特にやりたかったわけじゃないんです。だから、この先どうしたらいいのか、不安に思っています」と、新人サポート役の先輩たちがいる前であからさまに語る今年度入社の女性社員や、
 「僕の上司は最低のヤツで、裁判でもおこしてやろうかと思うくらいストレスが溜まっています」と、その上司が誰なのか特定できるようなことを、平気で大勢の先輩や同僚の前で暴露する20代後半の男性社員に出会った。

 恐らく、本当に“たまたま”入社したのだろうし、本当にひどい上司なのだろうが、(社内ではあるが)公衆の面前、それも講演会という場で、臆することなくこのように語ることなど普通はしない。少なくとも、私にはできない。

 驚くべき彼らの言動は、それだけでは終わらない。

 「ウソ!」と、思わず耳を疑いたくなるような一言が飛び出した。それは、「なぜ、働くのか?」との私の質問に彼らが返した一言だった。

 「暇つぶしです」
  なんと彼らの多くは、働く理由を「暇つぶし」と言い切ったのだ。

 他にも、
 「仕事をしていないと、時間があまってしまうから」
 「働いていないと、変な人と思われてしまうから」
 「え? だって大学出たら働くのが普通なんじゃないですか?」

 「あっ、そ、そうですか…」。聞いた私が悪かったと思うような答えが相次いだのである。 

 念のため断わっておくが、これらは1つの企業に勤める社員から聞いたものでもないし、特定の会合に集まった社員から出てきたものでもない。今年に入って私が数回行ったインタビューや講義、あるいは講演会に参加した若手社員にランダムに聞いた中で返ってきた意見である。

“レベルが高い”と思われる若手社員が「暇つぶし」と答えた

 暇つぶし…。
 「お金のため」「生活のため」なら、まだわかる。百歩譲って、たとえ本当に「暇つぶし」と思っていたとしても、それを大勢の人がいる講演会場や、初対面の講師の前で、普通は言わないでしょう。 

 だいたい今の20代は、KY(もう古い!)とかなんだとかいって、周りと合わせたり、周りからどう見られているかを気にする世代だったんじゃなかったっけ? 

 ひょっとして、彼らは「暇つぶし」と答えることに対して、少しも恥ずかしさや、気まずさ、抵抗感を感じていないってことなのか。それとも、周りを一切気にせず、車内で化粧する時の心理に近いのだろうか。 

 いずれにしても、昭和世代の私にはどうやったって理解できない。彼らの上司でもなんでもない私ががっかりするのだから、彼らの上司たちが聞いたら、「まあ、そんなもんですよ」と表向きは取り繕いながらも、心の中で「本当かよ」とがっかりすることだろう。

 それに「暇つぶし」を筆頭とする回答はすべて、大手企業に勤める、はたから見れば“レベルが高い”と思われる若手社員の回答である。従って、「暇つぶし」などとぬかす若手社員は、ひょっとすると採用試験の時に「コイツは使えそうだ!」と、採用担当者が太鼓判をおした学生かもしれないわけだ。

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著者プロフィール

河合 薫(かわい・かおる)

河合 薫博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『<他人力>を使えない上司はいらない!』(PHP新書604)



このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。

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