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第11回 日本企業は、日本らしい『第三の経営』をめざせ

ディス・イズ・ジャパンウェイ(1)

  • 武田 斉紀

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2009年12月14日(月)

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「儲かっていれば企業はエライ」は本当か

 『第三の経営」』とは何か。それをより理解いただくために、まずは『第一の経営』と私が呼んでいる、「利益至上経営」からお話ししていきたいと思います。

 約20年前のバブル景気や、2006年1月のライブドア・ショックの頃、「成長しない企業は悪だ」という風潮がありました。その風潮は次第にエスカレートし、「儲かっていれば企業はエライ」にまで膨らんでいたのではないでしょうか。日本人にとっては少し懐かしく聞こえますが、リーマンショックを招いたつい1年前の米国金融界もまさにそのようなムードでした。

 金融大手のトップやスペシャリストたちは高額のギャラで引き抜かれてやって来ては、さらに生み出した利益に応じて青天井の報酬を得ていました。提供する金融商品やサービスを買うのは顧客の責任であって、その中身は問わない。売れて大いに利益が出ればグッジョブである、と。

 彼らは再び別の会社から高額で引き抜かれ、去っていきます。元々いた会社や自分の顧客がその後どうなろうと知ったことではありません。パナソニックは20年も前に製造し事故に至る危険性のある石油暖房機を探し続けてもう丸4年になります。今でもホームページのトップで呼びかけている姿は、彼らの目にどう映るでしょうか。

 金融界に限らず、業績悪化を理由に退いたCEO(最高経営責任者)が高額の退職金を得ていたことが問題視されました。もはや「儲かっていれば企業はエライ、だから自分ももらう」ではなく、「儲かっていなくてももらうが、儲かっていたらもっともらう」という、顧客の幸せばかりか、会社や従業員の幸せも考えない無責任さです。

 CEOや金融マンたちのグリード(強欲)は、経済悪化を招いた象徴として国民から非難を浴び、不況と共にいったんは目立たなくなりましたが、今年に入って喉元を過ぎると、元に戻りつつあるように感じます。

 世界を揺るがす一因となった会社や個人の儲け方は、間違ってはいなかったということなのでしょうか。

急成長企業が残したもの

 バブルの頃、私は企業の人材採用を支援する仕事をしていました。飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長する企業は、在籍する社員数以上の新卒を採用してもまだ足りないと訴えていました。売り上げも利益も、うなぎ登りのカーブを描いていきます。今年100人採用した企業が、来年は200人だ、いや300人だと息巻いていました。1000人を超える採用で話題になった企業もあります。

 サービス業では新卒2年目に早くも店長になって、何十人ものアルバイトと新入社員を率いている若者が珍しくありませんでした。インタビューをすると、忙しさに疲弊しながらも、やりがいを感じて生き生きと働いています。上を見れば若くして要職を任され、いい暮らしをしている「あの先輩のようになりたい」というロールモデルもいました。

 来年300人採って、翌年はどうなるのだろう、その翌年は……。私の脳裏には一抹の不安もよぎりましたが、彼らは未来が明るく開けていると信じていました。今、そうした企業名を思い出しても、そのなかに現在も急成長している会社はありません。存在さえしていない会社もあります。彼らはどこで何をして働いているだろう、幸せに暮らしているだろうかと案じてしまいます。

 企業には急成長するタイミングがあり、それを見逃していては経営者として失格であるという考えは、私もわからないではありません。顧客も社会も求めているのであれば、それに答えていくのが企業の使命です。草創期や第二創業期などジャンプの必要な時期もあるでしょう。

 「儲けられる時に儲けないで、いつ儲けるのだ。この先はいつ儲けられるかもわからなくなる時代に」。そんな声も聞こえてきます。

コメント4件コメント/レビュー

いつも深みのあるコラムで、とても参考にしています。企業体として何を考え、何を重視していくのかとともに、一個人としても、何のために働くのかということもポイントになるのかなと改めて思いました。(2009/12/15)

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いただいたコメント

いつも深みのあるコラムで、とても参考にしています。企業体として何を考え、何を重視していくのかとともに、一個人としても、何のために働くのかということもポイントになるのかなと改めて思いました。(2009/12/15)

昔、日経が出したシリーズ本(記憶曖昧)に、アメリカのShellのスタッフが書いた、The Living Companyという本がありました。利潤追求型の経営をEconomic Companyと定義し、企業として、社員と家族と、そして、その文化を守ることを目的に存続を優先するLiving Companyというものを提唱していたと思います。日本の企業は、本来、Living Companyであるべきと思います。急激な成長が望めない現状、しぶとく生き残ることを目的とすべきではないでしょうか?ぜひ、成長ばかりではない、自然な考え方を広めて頂きたいと思います。(2009/12/14)

顧客が満足し、従業員が満足し、仕入先が満足する状況を継続できるように、継続的な最大利益を目指します。余剰は寄付すればよいのです。お金が必要なところはいくらでもあります。地雷でも環境でも貧困でも。(2009/12/14)

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