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episode:37
「書類運びのプロとはいったいどんなものだろう、と考えた」

  • 阿川 大樹

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2009年12月15日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼の3人だけの部署、第三企画室は新会社、オルタナティブ・ゼロとして独立した。旭山隆児(あさひやまりゅうじ)は社長、風間麻美(かざまあさみ)は第三企画室室長、楠原弘毅(くすはらこうき)は次長だ。新規事業として風間が手がける、茅ヶ崎南製作所の案件は佳境に入りつつあった。

 ちょっと気持ちが焦っていた。

 風間さんのプロジェクトは、増資も終わって、順調に動きはじめている……と、少なくともはた目の僕にはそう見える。

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 一週間の出社禁止の期間に、オヤジバンドに巡り会って、そこにビジネスがあるはずだと、社内プレゼンテーションもしたはずの自分のプロジェクトは、まだ何も前に進んでいないのだ。

 そりゃあ、風間さんは、なんといっても先輩だし、頭もよくて実行力もあって、すごい人だと思う。

 自分はただの新入社員だ。同期の集まりにいって、いまの状況を悩みとして話したら、羨ましがるやつと、会社に入りたてでそんなことできるわけがないというやつとに、はっきり二分されていた。

 彼らが言う「できるわけがない」というのは「できなくてもいい」というのと、とても似ている。けれど、それが仕事である以上、結果が出る前に「できなくてもいい」と考えるわけにはいかない。少なくとも僕なりの職業倫理みたいなものとしては。

 何も目立った進化を遂げていなくたって当たり前だといえば、そうなのかもしれないが、同期の新入社員と比べて、その程度でいいというわけにはいかないのだ。

 新入社員だからと、たとえ仲間や会社が許しても、「社会」は「会社」の外にあって、自分が社会から認められないことにはかわりがない。僕は一人前の人間になりたい。失敗の許される限度を探るつもりなんてない。

「どうせ新入社員なんだから」

 新入社員であることは紛れもない事実だけど、だからといって自分が会社のお荷物でいるのは嫌なのだ。

*  *  *

 意気込みはいいのだが、企画書の方は、まるっきり行き詰まっていた。

 自分の考えが、それほど間違っていなさそうだ、という感触はあるのに、何しろ自信をもつことができない。

 そんなところに、いきなり、オルタナティブ・ゼロ設立の話が始まって、周囲もバタバタしていたし、自分にもいろいろな仕事が火の粉みたいに降ってきた。

 もちろん、それが嫌だったわけじゃない。

 本社の法務部や管理部に出向いて、いろいろな稟議書や、大日本鉄鋼からオルタナティブ・ゼロへの投資契約書、そんな書類の持ち回りは、全部僕がやった。

 「僕がやった」というと聞こえがいいけど、万一のことも考えれば宅配便には任せられない機密性の高い書類を、飛脚として持ち運んだだけのことだ。

 書類運びのプロとはいったいどんなものだろう、と考えた。

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