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規制緩和は「既得権益」を正しく奪ったのか?

米国は労働組合が弱体化、日本では・・・

  • 大矢 昌浩

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2009年12月15日(火)

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 運輸業の規制緩和で最も得をしたのは、トラック運賃など企業向けサービス価格の下落によってコスト削減を享受した大手荷主だった。

 2番目に得をしたのは規制緩和を自分の手柄にした政治家で、3番目は市場競争で勝ち組となった大手運送会社だった。米国における規制緩和政策の一般的な評価だ。

得した顔ぶれは日米同じ

 米国は、日本より10年早く、1980年に運輸業の規制緩和に踏み切っている。トラック運送業では、参入規制を緩和(後に撤廃)し、認可制だった運賃を自由化した。

 その結果、新規参入によって事業者数が急増し、競争の激化から運賃相場は下落した。それによって米国の産業界は年間100億ドルの物流コストを抑制できたとされている。

 トラック運賃が下がっていったのと並行して、ドライバーの給与水準も低下した。米国のトラック運送・倉庫業の平均時給額は規制緩和前の1970年代後半には12ドル近かったが、80年の規制緩和から10年後の90年には約9ドルまで下がっている。

 同時に運送業界における労働組合の組織率も急落した。規制緩和前まで50%を超えていた組織率が、10年足らずの間にほぼ半減した。

 そのため米国では、規制緩和政策によって最も損をしたのが労働組合であり、2番目が現場のドライバー、そして3番目が許認可権という既得権を失った運輸省だとされている。

 日本の場合はどうだろうか。日本では90年に施行された「物流2法」(貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法)からトラック運送業の規制緩和が始まった。

 その結果、新規参入が急増して、運賃相場が下落したのは米国と同じだ。筆者の発行するロジスティクス専門誌の調べでは、トラックの実勢運賃相場は規制緩和後の10年間で約2割下がっている。大手荷主向け運賃の値下がりはそれ以上だろう。

 米国で2番目に得をしたとされる「規制緩和を自分の手柄にした政治家」としては、日本では中曽根康弘内閣から小泉純一郎内閣までの自民党がそれに該当するだろう。

 また3番目の勝ち組運送会社には、規制緩和を巡って行政と激しくぶつかったヤマト運輸や、多額のヤミ献金で政治家を動かした佐川急便などが挙げられる。

 荷主企業の物流活動を包括的に請け負う3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)事業を確立した日立物流やハマキョウレックスも、運送業の規制緩和がなかったら今日ほど成功していなかったはずだ。

 従って規制緩和で得をした顔触れは日本も米国と変わらないことになる。一方、損をしたのは誰だったのか。

下請けへの委託が進んだ

 労働組合の組織率は日本でも下がっている。しかし、日本の場合、労働組合を規制緩和の被害者とするのは相応しくないだろう。

 組織率の低下は規制緩和以前からの傾向だ。しかも連合傘下の主流派労組は、自民党の進めた規制緩和政策に表立って反対はしてこなかった。

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