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会社が壊れ社員が折れる、その前に…

異動という妙薬の使い方

2009年12月17日(木)

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 「まさか自分がなるなんて……、最初は驚きました。でも、仕事がはかどらなかったのが病気のせいと思ったら、ホッとした部分もあったんです」

 そう語るのは、今から1年ほど前にパニック障害(医師からの診断名)を患い、3カ月前に復職したA氏。知人から、「メンタルを低下させて仕事を休んでいたヤツがいるから、会って相談にのってやって欲しい」と紹介された人物である。

 広告会社に勤めるA氏は48歳。第一印象は、バリバリ元気な営業マン。彼が休職を強いられるほどメンタルを低下させていたとは、外見からは全く想像できない。どちらかと言えば、ストレスに強い人、と分類される雰囲気をもつ人物だった。

 「突然でした。毎朝9時過ぎの電車に乗って会社に行くのですが、その日もいつも通り乗りました。ところが電車が動き出した途端、急に息ができなくなり、慌てて次の駅で降りたんです。少しベンチに座って休み、30分ほどで落ち着いてきたから電車に乗りました。すると今度は電車が動き出した途端ものすごい耳鳴りがし、冷や汗が出てきて苦しくてなり、また次の駅で降りました。死ぬんじゃないか、とにかく自分のことを知っている人がいるところに行かなきゃ、会社に行かなきゃと思い、普通だったら30分の道のりを3時間もかけて会社に着いたんです」

 やっとの思いで出社はしたものの、顔面蒼白のA氏は、驚いた同僚から病院に行くよう促される。そして「パニック障害」と診断されたのだった。

 以前、過労死するまで働いてしまうメカニズムを書いたが(関連記事)、いわゆる“心の風邪”も、風邪をひきそうなことに全く気づかないまま働き続けて、ある時にポキリと折れてしまうことがある。特に、元気な人ほど、自分の強さを過信してしまうためか、その傾向が強い。

 A氏も診断されるその瞬間まで、自分が心の病になるとは、これっぽっちも考えたことがなかったし、「俺、ヤバイかも…」と思うことも全くなかったそうだ。ただ、発症した当時を思い出すと、「確かに毎晩遅くまで働いていたし、自宅の机の上はタバコの吸殻だらけでモノも散乱し、部屋もゴミ箱などが荒れ放題だった」という。

 さて、今回A氏の事例をとりあげたのは、復職後、彼が元気を取り戻す過程に、「元気のない組織」から脱却して「元気ある組織」になるためのヒントがあったからである。その本題に入る前にまず、「気がついた時には、遅かった」という状態にならないために、A氏の経験をお話しします。

半年間休職しても調子を崩したままのA氏

 パニック障害――。
 多くのメディアでも一時取り上げられたり、芸能人がパニック障害であったことを告白したりで、誰もが一度は聞いたことがある病名だろう。

 ただ、病名の認知度とは裏腹に、パニック障害の症状や治療法をあまり理解できていないドクターが日本では多く、上手く対処できていない実情がある。また、単に「呼吸ができなくなった」というだけでパニック障害と診断されることがあるなど、広く病名が知られているわりには、的確な診断や治療法が取られていない。

 本来、薬の服用と並行して認知行動療法などで専門家がサポートするのが望ましいとされているが、たいていの場合は薬を処方され、通院するよう要請される。基本的にドクターは薬を出して治療するのが目的なので、仕方がない、と言えばそれまでなのだが、薬だけで完治するのは難しい。

 さらに、診断や治療が首尾よく行われていないと、その後うつ傾向が強まり、うつ病を発症することも少なくない。A氏のケースが本当にパニック障害だったのかどうかは定かではないが、彼は最初のパニック経験をして以降、うつ傾向が若干強まり、休職することになった。

 そして、半年間の休職後、復職したA氏。前述した通り、完全とまではいかないまでも、8割方は回復しているように見えた。だが、次の一言を聞いて、それは“見かけ”だけだったことを知る。彼はまだ本調子にはほど遠い状態だったのだ。

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「会社が壊れ社員が折れる、その前に…」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長