私が社長を退任するまで、トリンプ・インターナショナル・ジャパンは、19年連続して増収増益を達成しました。この間に、売上高は5倍の規模になりました。バブル崩壊があり、厳しいデフレ不況があったにもかかわらず、です。なぜ、これほど長期にわたって会社を成長させられたのか。その最大の要因は「会議」にあったと私は考えています。
経営者としては、売り上げを伸ばし、利益を伸ばすことは義務だと思っています。しかし、「売り上げを伸ばせ」「利益を伸ばせ」と部下に言い続けたところで、伸びるわけではありません。それで伸びるならみんなに言ってさえいればいいことになります。
バブル崩壊もデフレも「会議」で乗り越えた
大事なことは、「やるべきことをきちんとやる」ということです。そうすれば売り上げは自然に伸び、利益は勝手に上がります。それこそ私は社長時代、「増収増益」を目指したこともありませんでした。やるべきことを徹底的にやっていけば、必ず結果はついてくると信じているからです。そして実際そうなりました。やるべきことが回り始めると、面白いように売り上げが上がっていったのです。それはもう、信じられないようなスピードで、でした。
その、やるべきことをやらせてくれる「環境」を作ってくれたのが、「会議」だったのです。ところが、日本企業の間では、会議はなんとも嫌われ者になっているようです。“忙しいのに”とイヤイヤ社員が会議に参加することも少なくないと耳にします。どうしてそんなことになっているのでしょうか。それは、間違った会議をやっているからです。戦略的に使える会議を、わざわざダメなものにして、まったく役立たないものにしてしまっているのです。
組織をダメにするのは、こんな会議
つまらないと言われている会議の典型的な例に、こんなものがあります。出席者10人が、順番に現状について報告をする。中には丁寧にパワーポイントで資料まで作っている社員がいて、今、自分は、自分の組織はこうなっている、と報告する。
発表者が1人3分かかったとしても、10人いれば30分。自分の発表時間以外の27分はじっと聞いている立場。それはつまらないでしょうし、眠くもなるでしょう。単に報告発表を行うだけなら、文書で配ればいいだけの話。それこそ今ならメールであっという間に送れてしまうはずです。みんな忙しいのに、なぜわざわざ集まって行う必要があるのでしょうか。
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1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、リージョナル・マーケティングマネージャーを最後に86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパンに勤務。87年代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、2006年に退任。同社は毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。2004年には『平成の名経営者100人』(日本経済新聞社)の1人に選出された。2008年、第37回ベストドレッサー賞<政治・経済部門>を受賞。

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