(前回から読む)
成果主義に懐疑的だった古井部長も、新田課長の説明によって、成果主義に関して誤解や先入観を持っていたことに気付いた。誤解が解けるにつれて、本来の成果主義とはどんなもので、それを実現するにはどうすればいいのか、という切実な疑問で頭がいっぱいになってきていた。
本来の成果主義は「貢献度主義」と言うべき
古井 新田君の説明のおかげで、自分が成果主義に対して誤った認識を持っていたことがだいぶわかってきた。私が成果主義だと思っていたものは成果主義もどきでしかなかったんだな。
そう考えると、我が社でも早く本来の成果主義というものを実現する必要があると思えてきた。でも本来の成果主義というのはどう考えて、どうやって実現したらいいんだろうか。
新田 まずは、「成果」の定義をちゃんとすることですね。本来、「組織に対する多様な貢献度」とすべきものです。成果主義というより、むしろ〈貢献度主義〉と呼んだほうがいいかもしれません。
〈貢献度主義〉とは、その名のとおり、会社や組織に対する「あらゆる形の貢献度」を適正に評価し、それに応じて処遇する考え方です。「あらゆる形の貢献度」を評価の対象とするわけですから、売り上げなど数字の業績だけに限定されることもなければ、短期的な業績だけに限定されることもありません。
報酬も、成果主義もどきのように金銭だけに限定する必要もありません。貢献の報酬として本人のキャリアプランに沿った仕事に優先的につけてあげたり、より大きな裁量を与えることでもいいでしょう。
要は、本人が「頑張って良かった。また頑張ろう」という気持ちになるものであれば何でも報酬にすべきだと思います。
役割責任と貢献度の関係をわかりやすくして、非金銭的な報酬の運用をしやすくするために、貢献度を2軸でとらえる考え方があるんですよ。〈貢献度スクエア〉という考え方なんですが…。
「貢献度スクエア」貢献度を決める2つの軸
古井 貢献度スクエア? スクエアって四角形のことかな。
新田 そうです。四角形のスクエアです。貢献度を四角形の形と面積でとらえると分かりやすいんです。
横軸に各人の「役割責任の大きさ」を取り、縦軸に「仕事の出来栄え(質・量)」を取ります。そして、その2つの軸でできる四角形の「形と面積」を貢献度として考えるわけです。単に面積だけでなく、貢献度を四角形の形で見るところに重要な意味があります。
会社で仕事する人はみんな役割責任(横軸)を持っているはずです。そしてその役割責任に応じた貢献(縦軸)が求められており、それに対してどれだけの出来栄えであったかで、貢献度が決まるわけです。
古井 なぜ、わざわざ四角形にしなければばらないのかな。
新田 目標設定や評価の際には、上司と本人をはじめ、複数の人の間で貢献度について共通の認識を形成する必要が出てきます。そうした認識を共有するうえでも、貢献度を2軸で囲まれた四角形の形と面積で捉える考え方は、視覚的に共有しやすいんですよ。
上司と部下が話をしていて、同じ話をしているつもりでも、かなり違ったレベルや内容の話をしていることは多いですからね。そういう認識ギャップを少なくする上で、貢献度スクエアは結構役に立ちます。これは、前職のコンサルティングの現場で聞いたクライアントの方々の実感です。
役割責任の構成要素は多様であるべき
古井 横軸の役割責任というのは、管轄する組織の大きさや部下の数のことだと思うが、それだと研究職などの専門職や担当者レベルには当てはまりにくいんじゃないかな。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。






からのご案内




