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うちの子に「口火」は点いているか?

――常識の源流対論・大宅 映子 (その2)

2009年12月24日(木)

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伊東 乾(以下、――) 今回はクリスマス・イヴの公開で年内最後の「常識の源流探訪」ということになりました。年末年始の休みを挟みますので、大宅さんから、ビジネスと家庭双方の話題を橋渡しするような形で、たっぷりお話をお伺いしたいと思います。

 最近とみに思うんですが「民主政治」と訳されるデモクラシー、これは歴史的には「衆愚制」とも訳されてきた言葉ですが、このデモクラシーと、高度な専門性を要求されるプロフェッショナル、カタカナで書けばエクスパティーズとよく言うわけですが、この両者は基本的に矛盾するものだと思うんですね。

大宅 映子(以下、大宅) なるほど。

―― そうすると、1つの政府がやっていることなのに、矛盾した施策になる、なんてことが山ほど出てくるわけですけれど、実はそうやって割り切れるものではないんじゃないか、って。矛盾対立する両要素をどうやって調整してゆくか、そのバランスというのが、政治に一番求められるんじゃないかと思うようになりました。例えば「教育」なんて典型的で、何でも子供の多数決に任せて教科を決めていたら、学力もヘッタクレもなくなってしまいます。

大宅 映子(おおや・えいこ)氏
評論家、財団法人大宅壮一文庫理事長。1941年、東京生まれ 1963年に国際基督教大学卒業、1978年からマスコミ活動を開始する。対象は国内外の政治経済から食文化や子育てまで幅広く、「行政改革委員会」「教育改革国民会議」「税制調査会」など多くの審議会の委員を務めてきた。また高島屋社外取締役をはじめ、民間企業数社のアドバイザリーボードメンバーも務めている。主な著書に『親の常識』『いい親にならなくていい!』(いずれも海竜社)などがある(写真:大槻 純一、以下同)
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大宅 そりゃそうだ。

―― とはいえ、頭ごなしにカリキュラムを押し付けてばかりだと、子供はパンクするか、爆発するか、そうでなくてもスゴいストレスになる。

大宅 どうして、そういう風になっちゃうのかしらね。

―― 例えば僕はアフリカのいわゆる「最貧国」と言われるような地域に行って、音楽や物理の授業をするわけなんですが、もう子供が本当に喜んでくれる。あれは癖になりますね、白目が大きな目をきらきらさせて・・・。

大宅 だいたい日本の子供は、学ぶことは楽しいと思ってないでしょう?

―― ないない。

大宅 そこなんですよ。新しいことを覚えるというのは、絶対楽しいはずです。

子供に「口火」は点いているか?

大宅 だけどね、その肝心の根っこのところを教えられていなくて、ただ学校というところへ行かねばならぬと。授業中は座っていなきゃいけません、みたいなね。

―― 全くです。

大宅 これとこれを覚えて、試験には時間内に答えを出して、いい点を取らなきゃいけませんよ、と。そんなこと、何の意味もないのに。だから私は「口火が点いてない」と言うんだけど。

―― ガスの「口火」ね、ああ、それはいい表現ですね。

大宅 何かが「面白い!」とか、「好奇心を持つ」とか、「僕はこれが好きだ!!」とか、「これはすごく面白そうだからこれをやってみたい!!!」とか、そういう意志に火が点いてないわけ、日本の子供たちは、概して。

―― 逆に学校や勉強を、嫌なことを我慢する訓練と思い込んでいる人すら存在しているし。

大宅 子供自身はぼーっとしたままでね。それを周りで親とか世間が煽りたてて、お受験だとかなんだとか、やれ、いい中学に行きなさい、いい高校、いい大学に行って、いい企業に入りなさい、と。それで、さて私は何をするのって、全然分からないわけよ。

―― それくらい手ひどい、自分の人生からの疎外って、ないと思いますね。

大宅 そういう人が大人になって、少々叱られたら会社へ行きません、になっているわけでしょう?

―― 元来、口火が点いてないから、簡単に火が消える。

大宅 そう、意志がね、意志っていう口火が点いてないんですよ。

―― これはなんというか、精製すればガソリンにもなるのに、そのままでは燃えない原油みたいなのを、どんどんストーブに注ぎはするけれど、結局最初から全く燃えてない、ただ全部流れ去っていっちゃうみたいな・・・。

大宅 つまりね、口火が点いていれば、何か見つけられるはずなんです。消えそうになっても、それで逆に火が絶対に強くなるわけよ。だって消さないようにするじゃない。ちょっとひょろひょろ点いていた子でも、危ない、となると一生懸命カバーして、風に当てないようにしてさ、消えちゃいけないって・・・。

―― うちの子に「口火」が点いているか? って、意識して見ている親がどれくらいいるかって問題かもしれません。「もう全く、うちの子はやる気がないんだから・・・」という親は多い。そうじゃない、そこをケアして、本当に動機を持たせて人生に送り出すかどうか、実はそこには親しかできない大切な役割があると・・・。

大宅 全くそうなのよ。

―― そこを親が自覚するところから始めないと、根本治療にはならないですね。 クリスマスに、形だけケーキのろうそくやキャンドルに火を点けるとかより、子供に意欲という火を点けてやる方が、どれだけ本当のプレゼント、ギフト(才能)になるか、と思います。

七転八起で人間は伸びる

―― だいたいね、可愛い子には、旅をさせ、って・・・。

大宅 それがですよ、「けんかしてもいけない」「挫折もさせない」「悪いことは全部、駄目」って・・・。

―― ちっちゃな悪に触れることで、大きな悪に対する抵抗力ができますね。

大宅 そうですよ、それが「失敗はさせない」って、失敗するから強くなるんじゃない。

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