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【特別対談】“天地人”火坂雅志氏と語る戦国リーダー論(後編)

  • 鈴木義幸

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2009年12月28日(月)

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 エグゼクティブ・コーチングのプロである鈴木義幸氏が、『天地人』の著書である作家の火坂雅志氏と語るリーダーシップ論。

 前編では、火坂氏は武田信玄と上杉謙信が遺した言葉から、鈴木氏は現代のコーチング理論と実践から、それぞれリーダーシップのモデルを紹介した。

 後編では、「リーダーと部下のコミュニケーション」を中心に話が深化していく。過去と現代の時空を超えてわれわれの心を動かす逸話が、二人の口から次々と放たれた。

 この記事は、2009年10月21日に都内で行われたコーチA、ジャパンタイムズ共催イベント「経営者のための 乱世を生き抜く“リーダー”とは」の内容の一部を再構成したものです。

(写真:三浦義昭、以下同)

火坂雅志(ひさか・まさし)

小説家。新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業。『別冊歴史読本』副編集長をつとめた後、『花月秘拳行』で作家デビュー。上杉謙信の義の心を受け継いだ直江兼続の生涯を描いた『天地人』上・下(NHK出版)のほか、主な著書に『黒衣の宰相』(文藝春秋)、『黄金の華』(文藝春秋)、『沢彦(たくげん)』(小学館)、『全宗』(小学館)、『家康と権之丞』(文藝春秋)、『虎の城』上・下(祥伝社)、『覇商の門』(祥伝社)、『壮心の夢』(文藝春秋)、『骨董屋征次郎手控』(実業之日本社)、『臥竜の天』上・下(祥伝社)などがある。

鈴木義幸(すずき・よしゆき)

コーチ・エィ取締役社長。慶應義塾大学文学部卒。マッキャンエリクソン博報堂勤務を経て、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を修了。帰国後、コーチ・トゥエンティワンの設立に参画。延べ200社以上の企業において管理職を対象とするコーチング研修を行う。また200人を超える経営者、管理職のマンツーマンコーチングを実施。著書に『職場スイッチ』(ダイヤモンド社)、『リーダーが身につけたい25のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『エグゼクティブ・コーチング入門 』(日本実業出版社)など。

前編から読む)

――戦国武将から現代の経営者がなにを学べるか。リーダーが組織を率いるうえでは、部下とのコミュニケーションの方法や接し方も非常に重要です。そこで、火坂さんにお訊きします。戦国武将の中で対人関係という点に心を砕いたような人物はいますか?

火坂:ええ。戦国の武将は組織のリーダーです。いかに人を使うことができるかは、最後まで生き残るための大切な要素でした。

 人使いの名人といえば、徳川家康がそうでしたよね。例えば、天下分け目の関ヶ原の戦いの前と後では、家康は戦力としての人材をそっくり替えている。

 戦の前は、三河の譜代の槍働きの強い武士を率いていました。関ヶ原での最大の功労者は彼ら。つまり家康自身の家臣だったのです。ところが、関ヶ原の戦いで勝利して徳川幕府を開くと、彼ら家臣たちを政治に参加させませんでした。南禅寺の僧だった金地院崇伝や、朱子学を学んでいた林羅山などの文官を幕府に採用したのです。

 どういうことかというと、家康は「馬上をもって天下を取っても、馬上をもって治めてはならない」ということを実践したのです。もう、戦の時代は終わったので、家臣の武士たちにはお引き取り願って、平和な時代をつくるための人材に人員を替えてしまったのです。功労のあった自分の譜代の臣さえ徴用しないとは、すごい判断ですよね。

「夏の火鉢、旱の傘」を大事にしなさい

火坂:もう一人、ぬくもりのようなものを感じることができて好きなのが、黒田官兵衛です。豊臣秀吉が、竹中半兵衛とともに愛した「二兵衛」の一人です。

 官兵衛の言葉は、現代人にもストレートにわかるもので、胸を衝くんです。例えば、彼の言葉に、「夏の火鉢、旱(ひでり)の傘」というものがあります。

 「夏の火鉢、旱の傘ということをよくよく味わい、堪忍を守らざれば、士の我に服せぬものぞ」。そんなことを官兵衛は息子の長政に言ったのです。

 夏の火鉢は暑いから用がないんですよ。同じように、日が照っているときの傘も、雨が降っていないから要らないんですね。

 ところが、底冷えする冬になれば、その火鉢は役に立つわけです。土砂降りの雨になれば傘が役立つわけです。人間もそれと同じで、ある局面ではまったく役に立たなくても、別の局面になればとても役立ち、思ってもみない才能を発揮することがある、ということです。

 人間は性格も能力も千差万別。場面と時によって輝く光も違ってくる。そこを見てあげなければならないというわけです。

 官兵衛は面白い人物で、「相口、不相口」とも言っています。人間には、馬が合う人と、合わない人がいますよね。これが相口と不相口です。

 相口にはつい贔屓してしまい、悪いことにも目をつぶりがちだけれど、不相口に対しては、話もろくに聞かず遠ざけてしまう場合が多い。人との相性によって仕事の上での私心が入り込むことがあるから、よく注意しなければならない。

 他にも、「大将たる人は、威なくては、万人の抑えなり難し。我からあしく心得て、わざと身に威をこしらえて捨てんとするは、かえって大なる害になるものなり」という言葉を官兵衛は遺しました。

 大将に威厳がなくては人々の抑えが利かない。しかし、考え違いをし、わざと威厳をつくろうとすれば、逆にそれは害となるだけであるという意味です。カラいばりは無駄だ。威厳というものは、自然とにじみ出るものでなければならないということです。これも現代人として非常に感じる言葉だと思います。

「俺たちは世界一か」にどう答えられるか?

――現代に通じるお話をご紹介いただいたところで、鈴木さんに伺います。経済状況の厳しさをとっても、技術進歩のめまぐるしさをとっても、いまを「難しい時代」と感じる人が多い。こうした状況の中で、リーダーシップに関して求められていることは何ですか?

鈴木:先の見えない時代になると、人々にはリーダーシップ待望論のようなものが出てくると思います。例えば、日産自動車にとってのカルロス・ゴーンのような存在が現れて、みんなの進むべき方向性を示してくれるんじゃないかといった期待です。

 でも現代は複雑な社会ですし、誰か一人が明解な答えを示して、それで全体が変わるような時代ではないと思うんです。一人のリーダーシップに期待するのでなく、「全員がリーダーで、リーダーシップを発揮していくんだ」という姿勢で全体の力をつくり上げていくことが大切なのでしょうね。

 チームワークで力を高めていくことが重要です。それは、日本という国にもともと備わっていた強みではないかと思います。

 以前、聞いた話ですが、ザ・リッツ・カールトン・ホテルの日本支社長の高野登さんが、評判になるほどのサービスをどう高めているのかについて、こんなお話をされていたそうです。

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