「「成果主義もどき」から「貢献度主義」へ」

どんな人材が、どこに、どのくらいいるのか…

人材資源の〈見える化〉とは

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2010年1月4日(月)

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 古井 この間社長から、我が社には今「どんな人材がどこにどのくらいいるのか」と聞かれて気づいたんだが、毎年人事評価をやってはいるものの、「どんな人材がどこにどのくらいいるのか」という観点からは十分把握できていないんだな。これでは、会社が変化の激しい事業環境のなかで生き残るための人材ニーズに機動的に対応することができない。解決のためにはまず「どんな人材がどこにどのくらいいるのか」というモニタリングをしなければならないわけだが、その方法がよくわからない。

 新田 事業戦略から求められる人材ニーズを満たすことは競争力の源泉として不可欠になっていますね。そのためには毎期の貢献度の評価だけでなく、「どんな人材か」という観点からの継続的なモニタリング、いわゆる〈人材アセスメント〉が重要です。

 古井 人材アセスメントというのは、通常の人事評価とどう違うのかな。

 新田 人材アセスメントというのは、毎期の貢献度評価を含むものですが、さらに本質的な人材特性を見極める視点から、人材一人ひとりの資質や行動特性を明らかにしようとするものです。

 人材アセスメントを継続的に行うことによって、全社的な観点から、どこにどんな資質、行動特性の人材がいるのかということが、個別のミクロな面からだけでなく組織レベルのマクロ的な面からも見えている状態を実現することが必要です。人材ポートフォリオのような形で、いくつかの軸の組み合わせを設定し、そのフレームワークの中に可視化してみると、人材需給のミスマッチなど多くの示唆が得られるものです。そうしたモニタリング情報があれば、継続的な人材資源の確保もしやすくなります。

人材アセスメントと貢献度評価(人事評価)

 古井 人材の特性を見極めるのが人材アセスメントだということはなんとなく理解できたような気がするが、毎期の貢献度評価と人材アセスメントの違いとなると、まだ具体的にはよく分からないんだが…。

 新田 従来から行われてきた毎期の人事評価の結果からは、人材一人ひとりの資質や行動特性は十分見えてきませんでした。

 これまで部長にご説明してきた貢献度主義の評価も一義的には、「今期どういう貢献をしたか」を評価するものです。人材アセスメントというのは、「どういう資質や行動特性を持った人材か」ということを、一定のフレームの中で、マクロ的にもミクロ的にも継続的に見極めておくということです。

 もちろん、毎期の貢献度評価と別ものであるわけではなく、毎期の貢献度評価の結果の中から、見極めることも重要です。つまり、達成した業績や成果もさることながら、むしろ業務遂行過程での行動特性や思考様式を厳密に見極めなければならないということです。

 要は、そういう目的意識に基づく具体的な視点で継続的に人材をアセスメントしておくことが欠かせないということです。それによってはじめて、会社のキーポジションのサクセションプラニングつまり後継者計画と計画的育成も可能となります。

 古井 サクセッションプラニング?

 新田 そうです。サクセッションプラニングです。今や、リーダーの最大の仕事は自分の後継者を育てることだといわれるほどです。先進企業では、毎年キーポジションの後継者の候補を数人選定し更新していますが、その際の最も重要な判断材料となるのが人材アセスメント情報です。

〈行動探索インタビュー〉と〈360度フィードバック〉の併用

 古井 人材アセスメントを実施する場合、そのための手法や施策としては具体的にどんなことをするんだろう。

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著者プロフィール

桑畑 英紀(くわはた・ひでき)

桑畑 英紀夫株式会社イマージェンス代表取締役社長
83年〜99年、日本及び米国の大手事業会社で、人事企画、組織改革、グループ経営、子会社立ち上げ・再建、M&A後の組織統合などのプロジェクトに従事。
99年マーサージャパンへ移り、組織・人事改革コンサルティングに従事。内外の企業や自治体に対し、組織改革、企業再生、組織文化・風土改革、リーダーシップ開発、人材マネジメントシステム改革、M&A後の組織・人事統合支援など数多くのプロジェクトを主導。
2003年より組織・人事改革コンサルティング部門代表。取締役。
2008年4月より、組織・人事改革のコンサルティング会社、イマージェンスの代表として経営にあたる。
りそな銀行社外取締役、電通アライアンスパートナー、MSCエグゼクティブアドバイザーなどを兼務。
著書に『強い組織をつくる』(PHPビジネス選書)、『「死に至る病」から会社を救う―企業統治・風土改革の実践手法』(日本経済新聞社)、監修に『アニマル・シンキング〜「思考グセ」からの脱却法』(英治出版)など。



このコラムについて

「成果主義もどき」から「貢献度主義」へ

 成果主義は本当に悪なのだろうか――。最近、成果主義に否定的な議論が目立つようになったが、“では、どうすればいいのか”という点では明解な答えを見いだせていないのが現状のようだ。そもそも、成果主義否定論を見てみると、本来の成果主義ではない〈成果主義もどき〉、つまり誤った認識に基づく制度や運用の失敗例を成果主義として論じられていることが多い。
 そこでこの連載では、まず、不幸にして世の中に蔓延してしまった成果主義にまつわる誤解を解くことを企図する。その上で、成果主義本来の目的を実現するにはどのような方策が考えられるかを検討する。

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