「すべては倉庫番が知っている」

さよなら、トラック物流

CO2削減が「物流新幹線」構想を後押しする

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2010年1月5日(火)

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 トラック運送会社の数が史上初めて減少に転じた。2009年12月末に国土交通省が発表した2008年度の貨物自動車運送事業者数は6万2892社で、前年度から230社減少した。

 日本のトラック運送会社の数は、1990年の「物流二法」(「貨物自動車運送事業法」と「貨物運送取扱事業法」)の施行による規制緩和を契機として、一貫して増え続けてきた。

 毎年2000社前後の新規参入があり、退出は500社程度に抑えられていたことから、1990年度時点の約4万社が2007年度には6万3000社余りにまで膨らんだ。

 しかし、拡大ペースは2007年度から陰りが見え始めていた。新規参入の数が減り、廃業や倒産などの退出が増えた。そして2008年度はついに退出が新規参入を上回った。

 このことを筆者は、約20年続いたポスト規制緩和時代の終わりだと受け止めている。

変わるトラックの役割

 日本の事業者数の減少は今後しばらく続くだろう。現在の供給過剰が修正されて、運賃相場が適正レベルに回復するまで、市場からの退出者は減りそうにない。

 業界再編も本格化する。規制緩和以降、老舗の運送会社はそれまでに貯め込んだ資産を切り崩すことで生きながらえてきた。しかし、その懐もそろそろ底をつく。

 経営陣は既に代替わりしている。「競争相手の軍門に下るぐらいなら会社を潰してしまったほうがマシだ」と家業に執着した創業者はもういない。

 勝ち組の大手と間接費のかからない零細に挟まれて、最も苦しい立場に置かれている中堅の老舗運送会社を中心に、吸収合併や事業統合が活発化する。

 一連の業界再編を経て、運賃相場は再び上昇に転じる。ただし、トラック運送会社の数や国内のトラック台数が増加することは、もうないだろう。

 ポスト規制緩和時代の終わりとちょうど同じタイミングで、輸送モードとしてのトラックの役割が大きく変わっていこうとしているからだ。

 「モーダルシフト」という言葉をご存じだろうか。輸送モードの切り替えという意味で、一般的にはトラック輸送を船舶輸送や鉄道輸送に変更しようとする動きを指す。

 国交省の資料によると1トンの荷物を1キロメートル運ぶのに排出するCO2(二酸化炭素)の量は、トラックが153グラムであるのに対し、船舶は38グラム、鉄道は21グラムだという。

 そのため国交省は1990年代初頭から環境負荷低減を目的に日本貨物鉄道(JR貨物)や内航船へのモーダルシフトに多額の補助金を投じてきた。

 しかし、現実には国交省の政策とは裏腹に、鉄道や内航船をトラックに切り替える“逆モーダルシフト”に歯止めがかからない状況にある。

 90年度に50.2%だったトラックの貨物輸送分担率(トンキロベース)は、直近の2007年度には60.9%まで上昇している。同じ期間に、内航海運は44.7%から34.9%に、鉄道は5.0%から4.0%に、それぞれ分担率を下げている。

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著者プロフィール

大矢 昌浩(おおや・まさひろ)氏

1964年、東京生まれ。日本大学芸術学部大学院修了。日経BP社発行「日経ロジスティクス」記者、流通専門誌編集長を経て99年、ライノス・パブリケーションズを設立。2001年4月に「月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)」創刊。同誌の編集発行人として現在に至る。2004年4月〜2007年3月、多摩大学大学院客員教授を兼務。



このコラムについて

すべては倉庫番が知っている

原材料の調達から工場での加工、店舗までの配送と、企業や産業のあらゆる活動を“裏方”として支える物流。ここからは、表層からはうかがい知れない経営や経済の動きが浮かび上がってくる。そこから見えてくる課題は、単なる物流改善に伴うコスト削減にとどまらず、企業に構造改革を促すテーマである。10年以上も物流業界を取材してきた筆者が、“倉庫番”だから知り得る日本企業の実像をリポートする。

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