「二番底」。閉塞感を助長させる、なんとも嫌な言葉である。
年末前からあちらこちらで何度も耳にするようになったが、鳩山首相も4日の年頭記者会見で、「私たちは景気が二番底になってはならない。させないぞと、その思いの下で、昨年の末、24兆円という事業費になりますが、“明日の安心と成長のための緊急経済対策”をつくり上げて、そしてその下で第2次の補正予算を練り上げたところでございます。一刻も早くこの2次補正予算を成立させて、国民の皆様のお暮らしを少しでも豊かさを感じていけるように仕立て上げてまいりたいと思います」と語っていた。
首相の心意気もわからないわけではないが、ちっとも心に響かない。だって、経済だけでなく、様々な出来事の膿というか、これまでのツケがまだ出尽くしていない感が否めないこのご時世だ。
二番底と呼ばれているものが来るのか来ないのか、おそらく経済の専門家にだって正確なところはわからないだろうし、仮に来たとしてもだいたい二番底っていったい何なんだ?
専門家によればGDP(国内総生産)成長率が底となった昨年1〜3月を下回ることらしいのだが、仮に二番底が来たとして、私たちの生活はどうなっていくのか。未曾有の不況を越えるような不況って、どんなものなのかが、一般市民レベルではちっともイメージできない。それに、どんなに「二番底になってはならない、させないぞ」などと思いを強くしたところで、想定外の危機に陥る可能性がなくなるわけではないだろう。
少しばかり古い映画ではあるが、「マッチスティック・メン」という映画のなかで、主人公のニコラス・ケイジ演じる詐欺師が、弟子にしてくれとせがむ実の娘に、詐欺を成功させる秘訣として語るこんな一言がある。
「どんなに入念な計画を立てていても、必ず、想定外の危機は起こるものだ。詐欺を成功させるには、危機に遭遇した時、いかに上手く対処するかがポイントだ」(この映画自体は、芸術的と本人が豪語する詐欺師が、巧妙かつ愛嬌たっぷりに人をだまし、警察に一度たりとも目を付けられることなく大金を手に入れるという犯罪コメディー。結構おもしろいので、興味ある方はどうぞ)。
“何かが起こった”時に、“何をするか”
何かを成し遂げる時、入念な計画が必要なのは当たり前。だが、どんなに練られた計画であっても、“何かが起こった”時に、“何をするか”がその後を決める。
鳩山首相は“何かが起こった”時に、いったい何をしてくれるのか。新年の会見の言葉がちっとも心に響かないのは、「何かをしてくれそうだ」という期待感を持てないからかもしれない…。
いずれにしても、2010年を少しでもいい1年にするには、想定外の危機をいかに乗り切るかが、ポイントになりそうである。
そこで、新年1回目となる今回は、想定外の危機への対処法についてお話ししようと思います。
まず、“危機”とは、どういう状態をいうのだろうか? 人間の心の動きから探ってみよう。
人間はある出来事に直面した時、それが、『自分や自分の大切なものにとって危険かどうか』を判断する。これは一次的評価と呼ばれ、同じような評価は、「ストレスかストレスではないか」といった判断でも行われている。
数年前からやたらと重要視されるようになった「危機管理」や「リスクマネジメント」は、直面した出来事を“想定内の出来事”に導くもの。つまりリスクマネジメントとは、想定外の危機に強くなるためのものではない。想定外の危機を乗り越える対処法と理解するのは若干間違っている。
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博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『







