(前回から読む)
第1回と第2回のコラムで、全ての企業に共通する基本活動は お金を集める→何かに投資する→利益をあげる という3つであり、その活動の実態がPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CS(キャッシュフロー計算書)に表れていると申し上げました。
今回は小売業のユニクロと丸井を例にとって財務3表から両社の事業特性と最近の事業の変遷を分析してみます。この原稿の中ではユニクロと丸井という名前を使いますが正式な会社名はそれぞれ株式会社ファーストリテイリングと株式会社丸井グループです。ではさっそく両社の連結の財務諸表を分析してみましょう。
BSとPLの形から見えてくること
図1は両社のPLとBSを同じ縮尺で図にしたものです。ユニクロは2009年8月期の決算データ、丸井は2009年3月期の決算データを使っています。
面白いことに、ユニクロの総資本と丸井の売上高が同じくらいの額で、ユニクロの売上高と丸井の総資本が同じくらいの額です。ただ、PLとBSの大きさは全く逆ですね。
これはユニクロの方が投下した資本を効率よく売上に変えているということでしょうか。実はそうとばかりは言えません。
丸井のPLを見ればわかるのですが、図2のように丸井の売上高は「小売事業売上高(=366,570百万円)」と「カード事業収益(=46,372百万円)」と「小売関連サービス事業収益(=34,457百万円)」の3つに分かれています。
売上総利益(粗利)ベースでこの3つの事業を見てみると、「小売事業売上総利益(=106,177百万円)」、「カード事業収益(=46,372百万円)」(カード事業は原価がないのでカード事業収益自体がカード事業の売上総利益になります)、「小売関連サービス事業総利益(=7,576百万円)」となっています。つまり、売上総利益160,125百万円の約30%がカード事業による利益なのです。

つまり、丸井は小売業ですが、粗利の3割をカード事業という金融ビジネスから得ているわけです。連結対象の会社の中に規模の大きい金融ビジネスを抱えている企業のBSとPLの関係は丸井のような形になっています。つまり、総資本より売上高の方が小さい、言葉を換えれば総資本回転率が「1」未満になっている形です。
ソニーは連結の会社の中にソニー銀行やソニー生命といった金融ビジネスを抱えていますからBSとPLの関係は丸井のような形になっています。トヨタ自動車も連結対象の会社の中に自動車ローンの事業を行う会社を抱えているのでトヨタ自動車のBSとPLの関係も丸井のものと似ています。
BSの純資産の部を見てください。両社共に莫大な利益剰余金を積み上げてきています。両社とも過去にかなり良好な経営が継続されていたのでしょう。
ここで説明しておかなければならないのは、ユニクロの純資産の部です。
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