「財務3表で読み解くニュースな企業」

“独走ユニクロ”、その事業特性を知る

【実践講座その2】小売業界の「丸井」と比較

バックナンバー

2010年1月19日(火)

1/5ページ

印刷ページ

前回から読む)

 第1回第2回のコラムで、全ての企業に共通する基本活動は お金を集める何かに投資する利益をあげる という3つであり、その活動の実態がPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CS(キャッシュフロー計算書)に表れていると申し上げました。

 今回は小売業のユニクロと丸井を例にとって財務3表から両社の事業特性と最近の事業の変遷を分析してみます。この原稿の中ではユニクロと丸井という名前を使いますが正式な会社名はそれぞれ株式会社ファーストリテイリングと株式会社丸井グループです。ではさっそく両社の連結の財務諸表を分析してみましょう。

BSとPLの形から見えてくること

 図1は両社のPLとBSを同じ縮尺で図にしたものです。ユニクロは2009年8月期の決算データ、丸井は2009年3月期の決算データを使っています。

原図は『財務3表一体分析法ソフト「図解の達人」 』(朝日新聞出版)を使用して作図しています。
画像をクリックすると拡大表示します。また、画像の上でマウスを右クリックし「リンクを新しいウィンドウで開く」をクリックすると別画面で表示できます

 面白いことに、ユニクロの総資本と丸井の売上高が同じくらいの額で、ユニクロの売上高と丸井の総資本が同じくらいの額です。ただ、PLとBSの大きさは全く逆ですね。

 これはユニクロの方が投下した資本を効率よく売上に変えているということでしょうか。実はそうとばかりは言えません。

 丸井のPLを見ればわかるのですが、図2のように丸井の売上高は「小売事業売上高(=366,570百万円)」と「カード事業収益(=46,372百万円)」と「小売関連サービス事業収益(=34,457百万円)」の3つに分かれています。

 売上総利益(粗利)ベースでこの3つの事業を見てみると、「小売事業売上総利益(=106,177百万円)」、「カード事業収益(=46,372百万円)」(カード事業は原価がないのでカード事業収益自体がカード事業の売上総利益になります)、「小売関連サービス事業総利益(=7,576百万円)」となっています。つまり、売上総利益160,125百万円の約30%がカード事業による利益なのです。

出所:丸井グループ有価証券報告書より抜粋(以下同)

 つまり、丸井は小売業ですが、粗利の3割をカード事業という金融ビジネスから得ているわけです。連結対象の会社の中に規模の大きい金融ビジネスを抱えている企業のBSとPLの関係は丸井のような形になっています。つまり、総資本より売上高の方が小さい、言葉を換えれば総資本回転率が「1」未満になっている形です。

 ソニーは連結の会社の中にソニー銀行やソニー生命といった金融ビジネスを抱えていますからBSとPLの関係は丸井のような形になっています。トヨタ自動車も連結対象の会社の中に自動車ローンの事業を行う会社を抱えているのでトヨタ自動車のBSとPLの関係も丸井のものと似ています。

 BSの純資産の部を見てください。両社共に莫大な利益剰余金を積み上げてきています。両社とも過去にかなり良好な経営が継続されていたのでしょう。

 ここで説明しておかなければならないのは、ユニクロの純資産の部です。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント3 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

國貞 克則(くにさだ・かつのり)

1961年生まれ。1983年東北大学工学部卒業後、神戸製鋼入社。海外プラント輸出、人事、企画などを経て、96年米クレアモント大ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年、ボナ・ヴィータ コーポレーション設立。中小企業を中心にコンサルティング活動を行っている。主な著書に『財務3表一体理解法 』、『財務3表一体分析法 』、『家計3表生活防衛術 』、『財務マネジメントの基本と原則 』、『20代に考えるべきこと、すべきこと』ほか多数。最新刊は『決算書でよむ企業と業界力



このコラムについて

財務3表で読み解くニュースな企業

このコラムは、会計に苦手意識を持つ人のためのものです。会計の素人のための財務分析講座です。財務分析といっても流動比率や自己資本比率などの財務分析指標を説明するものではありません。財務諸表から会社の状態を読み解くコツを説明するものです。つまり、財務諸表のどこを見れば何がわかるのかを説明していきます。会計分野に深い知識がなくても財務諸表を読み解くことは可能です。このコラムを執筆する私自身が元々機械エンジニアですし、いままでに仕訳の勉強をしたこともありません。そんな会計の素人でも財務分析のポイントさえわかっていれば、財務諸表から会社の状態を読み解くことができます。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内