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episode:39
「楽器にも失った青春を取り戻す力がある。そして、そこにも職人の手がある。」

  • 阿川 大樹

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2010年1月12日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼の3人だけの部署、第三企画室は新会社、オルタナティブ・ゼロとして独立した。旭山隆児(あさひやまりゅうじ)は社長、風間麻美(かざまあさみ)は第三企画室室長、楠原弘毅(くすはらこうき)は次長だ。風間の案件が佳境に入りつつあるのを横目に、楠原は動き始めた。

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 まだ返事が来ない。

 楠原弘毅は、西武新宿線花小金井の駅の近くのマクドナルドにいた。

 とりあえずハンバーガーを食べながら、公衆無線LANで、メールチェックをする。ギター工房からの返事を待っているのだ。

 前の晩、帰宅して直ぐに、インターネットで、ギターの修理をしている職人を探し出してリストアップした。

 リストの中に、大手楽器販売店の工房勤務から独立して2年という人がいた。会って話を聞きたいとメールを出しておいたのだ。余裕のある日程で申し入れるべきなのはわかっていたが、少しでも早く会いたかった。

 電話で話がつけばよかったのだが、何分にも夜中だったし、酔ってもいた。

 見つけた工房の名は、「山城ギター工房」という。

 山城茂太という人が一人でやっているらしい。顔写真はないが、ウエブサイトにある写真に、手元だけが写っていた。

 サイトには、「必ず予約してからお出でください」と但し書きがあり、営業時間について朝何時から午後何時までとの表記はない。

 なんとなく仕事のスタイルが思い浮かぶ。

 根を詰めて作業をしているときに、突然の訪問客があって中断させられるのでは堪ったものではない。そうでなくても、ドアチャイムが鳴っても何分間か手が離せないこともあるだろう。夜中まで夢中になって仕事をしてしまい、朝になってぐったりと寝込むようなこともあるかもしれない。

 卒業研究で、何日も大学に泊まり込んでいたときのことが、ふと頭に浮かんだ。

 相手が職人だと思えば、「アポイントをとって来い」というのが高飛車だなどとは思わないし、物販業ではないから、営業時間がはっきりしないのも、真面目に商売をしているようには見えない、ということもない。

 金を払えばこっちは客だ、神様だ、いつであろうとそれなりの対応をしろ、と思うような人はこの工房の客ではないということだ。

 大量生産でない楽器の製作や修理をする職人という仕事の場合は、物販をする店や、飲食店とは、顧客とのつきあい方も違うだろう。

 楽器の製作は製造業であり、修理や調整はサービス業だ。業種に分ければまったく違うものだけれど、注文を受けてひとつひとつ違う楽器を相手にする仕事として見れば、それらにちがいはない。

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