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「教育する」って、何をどう教育するのか?

正しい知識の蓄積なしに、知恵は出てこない

  • 大久保 恒夫

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2010年1月25日(月)

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 小売業を経営して、一番強く思うのは、人の成長なくして企業は成長しないということである。店舗を新規に出店すれば見かけ上の売り上げは増加していく。しかし、人が成長しなければ、売り場は乱れていく。人が成長しないのに出店数を増やし、店舗の管理レベルが落ちてお客様に喜ばれない売り場になり、業績が悪化していく小売業をたくさん見てきた。

 人が成長すればお客様に喜ばれる売り場になり、既存店の売り上げは増える。利益も拡大していく。そのうえで新規出店をしていくことにより、企業は成長していくことができるのである。

 小売業は人がすべてだと思う。人は変わる。同じ人がやる気になりモチベーションが上がると売り上げは伸びていく。お客様に喜ばれる店舗にしたいという気持ちになれば、行動が変わり、感じのいい店舗になり、固定客が増え、売り上げの増加につながる。作業効率も変わる。モチベーションが落ちれば作業効率は7掛けになったりする。逆にモチベーションが上がれば、3割効率が上がったりする。下がったのと上がったのでは、2倍くらいの差が出ることになる。

人は仕事の過程で成長していく

 人は成長する。努力すれば、今までできなかったことができるようになる。高い目標を持ち、努力してそれを達成するのは楽しいことである。充実感を得られる。人間にとって、自分が成長することほど嬉しいことはないと思う。教育できる環境を整え、従業員のやる気を引き出し、努力することにより成長させていくことが企業の成長につながる。

 車のエンジンで100馬力のエンジンはいつも100馬力の力が出るが、言い方を換えると100馬力以上の力は出ない。人はやる気になれば200馬力の能力を発揮することもあるし、逆に50馬力のこともある。成長すれば100馬力だった人が200馬力になることもある。成長し200馬力になった人がやる気になれば400馬力の力を発揮することも十分にあり得るのである。

 人は仕事をしていく中で成長していく。企業での人の成長の基本はOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング、職場内訓練)だと思う。仕事の中で勝ち方を教えていくことが大事である。

 こうすると売り上げが増える、利益が上がるという方法、勝ち方を指示をし、実行させて、成功体験を積ませることである。これにより、だんだん自分でできるようになっていく。

 最終的には自分で考え実行してほしい。だからといって指示もしないで自分でやらせるには無理がある。最初からうまくできる人はほとんどいない。自主的に行動できる人を教育し、育てるためにも、指示や命令をし、従わせて、成功体験を積み重ね、成長させることが必要である。

 成城石井では、全社の経営方針を明確にし、各部の方針を具体化し、その方針の中で現場へ指示を出し、実際に成果を上げることにより人が成長してきていることを実感している。

 また、標準を示し、それを基に自分で考え、修正していくことも有効である。最初から全部自分で考えるのは大変である。それぞれの現場の実態に対応すべきであるが、全部違うということはない。標準から20~30%修正すれば、対応できることが多いはずだ。そういう標準を示し、自分で考え行動しやすくすることも教育するうえでは重要である。

 知識の教育も必要である。知識の蓄積がないと、知恵も出てこない。詰め込みであっても、知識を教え込むことは大切である。自分で知恵を出してほしいが、「じゃあ、どんどん考えて知恵を出してください」と言っても、急に出てくるものではない。知識の蓄積があり、経験を積み重ねたうえで、いい知恵が出てくる。集合教育で知識を教育し、現場でそれを活用する方法を教えていきながら人は成長していくものなのである。

 教育の現場でおかしな実態もあるように感じる。小売業の教育で、損益計算書や貸借対照表の読み方を教えたりしている。そんな教育は現場で必要とされる能力とかなりずれている。広い意味であった方がいい知識であるが、優先順位は低いはずだ。評論家や学者を育てているわけではないのだから、現場の実際の業務に生かせ、高い成果が上がる教育をするべきだ。

 小売業の現場で一番重要な能力は、人を使う能力である。小売業はみんなで力を合わせて業務が成り立っている。自分だけでは何もできない。部下を使い、他部門と協力しながらお客様に喜ばれる店舗を作っていくのである。

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