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episode:40
「会社はなくなっても、人は生きていかなければならないのだ。」

  • 阿川 大樹

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2010年1月19日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼の3人だけの部署、第三企画室は新会社、オルタナティブ・ゼロとして独立した。旭山隆児(あさひやまりゅうじ)は社長、風間麻美(かざまあさみ)は第三企画室室長、楠原弘毅(くすはらこうき)は次長だ。風間の案件が佳境に入りつつあるのを横目に、楠原は動き始めた。

 とりあえずいいニュースだ。

 旭山隆児は心に小さな火が点るのを感じた。

画像のクリックで拡大表示

 大日本鉄鋼の倉敷製鉄所の第2高炉が3月に稼働を開始することになった。

 そのニュースは社内ではなく、いつものようにメディアから伝えられた。

 社債の発行もうまくいったし、目の前の危機はかろうじてやり過ごしたようだ。

 上場企業は経営上重要な情報を、しかるべきタイミングで公にしなくてはならない。だから、社員ですら会社の重大ニュースを社内から伝わってくるより先に報道で知ることになる。

 もうずいぶん昔になる。新入社員の頃、それを理不尽に思ったことがある。

 なんで社員である自分たちが知る前に、新聞社やテレビ局の社員がそれを知っているのだ。大事なことはまず身内に知らせてくれたっていいじゃないか、と。

 だが、社会の仕組みはそうなってはいない。

 重大な経営上の情報を、公にする前にインサイダーとして知る社員は、最小限でなければならない。

 旭山は、自分の親会社のニュースに接して、ふと、別のことを考えた。

 そういえば、なぜ社員に先に知らされないのかと、最初に思ったのは春闘の時だった。

 交通機関のストライキがほとんどなくなったこともあって、近ごろ、春闘はあまりニュースにならなくなっている。

 高度成長からバブルの時代、春闘での賃金引き上げ幅がどれだけになるのか、職場集会で組合役員が、団体交渉での要求額や交渉経過を説明していた。

「要求額は定期昇給こみで5.5パーセントアップ、回答が5.1パーセントを下回ったら、明後日の始業時から24時間のストライキに入る」などと。

 そんなとき、ストの前日、明日はもしかしたらストライキで「休み」になるかもしれないと、若かった自分は不謹慎にも少しワクワクしたものだ。

 ところが、会社回答期限であるスト決行前日の昼、社員食堂のテレビで「鉄鋼労連、5.12パーセントで妥結の方向、スト回避へ」などとタイトルの付いたニュースを見ることになる。

「俺たちそんなこと聞いてねえよ」と、小さな憤りを覚えた。

 5.12パーセントという数字も、そもそもストライキに突入する数字の下限を妥結額として、会社と組合で最初から話がついているのではないかと思われた。

 組合専従と呼ばれる社員がいた。

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