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第1回 子どもに「大人はなぜ働くの?」と聞かれたら

「葉っぱを売る」というシンプルな仕事が生き方を変えた

  • 武田 斉紀

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2010年1月18日(月)

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「大人はなぜ働くの?」に、あなたはどう答えるか

 「大人はなぜ働くの?」。子どもにそう聞かれたことはないだろうか。あなたにお子さんがいれば、いつかは聞かれる質問かもしれない。その時あなたは何と答えるだろう。

 「生きるためだよ。だって働いてお金を稼がないと食べていけないでしょ」。あなたの答えに子どもはある程度納得するだろうが、どんな表情を浮かべるだろうか。「大人っていいなあ、早くなりたいなあ」と目を輝かせているだろうか。

 「がんばって働いていっぱい稼げば、欲しいものが何でも買えるんだよ。素敵だと思わないか」。ろくに食べ物さえなかった戦後の時代ならさておき、DSもPSPもほしいものは買ってもらえる時代に、子どもたちは大きな夢を描くだろうか。

 「どうして人は大人になると働くのか」。数年前に私はこの質問に直面することになった。ある大手教育会社から、大学生が就職活動(シューカツ)に臨むための講義テキストを作成してほしいと頼まれたのだ。

 就活のノウハウを教えるだけの主旨なら断っていたと思う。だが担当者の思いは、「働くということを根本から学生たちにわからせてほしい」ということだった。企業の担当者も付け焼刃のノウハウなど見抜いてしまうだろう。それよりも本人たちのためにも、時間のある学生のうちにこれから取り組む仕事についてじっくり考えさせたい、と。

 テキストの構成を考えるにあたって、私は何から書き始めようかと考えた。しかし何度考えても、第1章の第1項は「なぜ働くの?」という疑問詞に行きついてしまった。タイトルは「なぜ社会に出るの?働くの?」、そして、「社会で働く意味と意義について考えてみよう」というサブタイトルでテキストは始まった。

 私が学生たちに返した答えはこうだ。「生活をするためには、さまざまなモノやサービスが必要です。今朝起きてから、使ったものすべてを思い出してみてください。人間はこれらのすべてを一人では用意できません。そこで社会を作り、それぞれが役割を分担して、モノやサービスを生みだしているのです。これが働くということです」

 「働くことでモノやサービスを生み出し、対価としてお金を得て、他の人が生み出してくれたモノやサービスを買うことで、必要なものをそろえて暮らしているのです」

働く理由が、“義務だから”や“生活のため”だけではもったいない

 つまり、働くことは社会の一員である大人にとって、権利ではなく義務なのだ。生活に困らないだけのお金があるという人も、親と同居していて何とかなるという人も例外ではない。「長年お疲れ様、そろそろゆっくりしてください」と言われるまでは、大人は社会人として働く義務がある。

 義務と生活のために真面目に働いている人は、すでに立派な一人の大人であり社会人であると思うが、欲張りな私はそれだけでは人生がもったいないと考えてしまう。

 義務として働かなければいけない時間は、人生のどのくらいに当たるか計算してみたことがあるだろうか。寝ている時間を除けば、大人人生の約半分だ。通勤時間や仕事のことを思い出す夜や週末も含めればそれ以上かもしれない。

 “義務だから働く、生活のために働く”だけでは、一度きりしかない人生がもったいなさすぎないか。そう思っていたら、満面の笑顔で働く老人たちに出会った。

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