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episode:41
「世の中には、自分の食い扶持が稼げない人間と、人の食い扶持まで稼ぐことのできる人間がいる。」

  • 阿川 大樹

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2010年1月26日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼の3人だけの部署、第三企画室は新会社、オルタナティブ・ゼロとして独立した。旭山隆児(あさひやまりゅうじ)は社長、風間麻美(かざまあさみ)は第三企画室室長、楠原弘毅(くすはらこうき)は次長だ。休止していた高炉が再稼動するというニュースに、旭山は日本の来し方行く末を思った。

「大日本鉄鋼、これから先、大丈夫なんでしょうか」

 パソコンから顔を上げて、急に風間麻美がつぶやいた。

「いきなりすごい心配をし始めたな。オルタナティブ・ゼロの心配はないのか」

画像のクリックで拡大表示

 思わず苦笑しながら旭山隆児が答える。

「うちの会社は、全部、財務状況を把握してますから、どのくらい危なくてどのくらい大丈夫か、わたしなりに分かってます。まだ収入はないですけど、資金繰り的にはしばらくは大丈夫」

「でも、放っておいたら金は出て行くばかりだぞ」

「わたし、思うんです」

 風間がこっちへ向き直った。まっすぐに視線をぶつけてくる。

「いざとなったら、ここにいる3人だけなら、何やっても食べていけるような気がするんです」

「すごい自信だな」

 揶揄するつもりじゃない。頼もしく思って言っている。

「世の中には、自分の食い扶持が稼げない人間と、人の食い扶持まで稼ぐことのできる人間がいる。最近、そう思うんです」

 大胆な言い方だ。もしかしたら危険な言葉でもある。

「誤解しないで戴きたいんですけど、特別な人間がいる、という意味じゃないんです。むしろ逆です。自分の力で生きていくんだと当たり前のことを当たり前に思っていて、真っ当な努力をすることのできる人、そういう人だったら、ちゃんと食べていけるはずだと思うんですよね。そう思うと、うちの3人はどう考えても食っていける」

「不景気で失業者はたくさんいる。彼らは真っ当じゃないってことか」

「失業者をみんなひとくくりにすることはできません。真っ当な人もそうでない人もいる。でも、本当に必要な情報がないことがまず問題の一つ、それから、自分の可能性にちゃんと気づいていない人がいること。そして、どうであろうと全員が食べていけてしまうような力の余裕が日本になくなっていること」

「うん」

「〈何か〉で食べていけばいいなら、オルタナティブ・ゼロは絶対大丈夫だって、わたし、疑ってません」

「そうか」

「でも、大日本鉄鋼のことは心配なんですよね」

 自分も同じ心配をしている。だが、ここは風間の考えをぜひ聞きたい。

コメント5件コメント/レビュー

ひとつだけ・・・ほぼ全部間違ってはいないと思います。ただ、一人のゲーム好きとして、ニンテンドーDSが勝ったのは、マーケティングだと思っています。ファミコンから始まりPS3やオンラインゲームまで来ましたが、ニンテンドーDSは買って1ヶ月後にはPSPに取って代わりました。理由は、あれはゲームではなく、エンターティンメントの部類になるのかなと。なぜか本気で遊ぶことが出来ませんでした。昨今のTV(まともに見れない)と同じです。日本という枠の中での「ゲーム」は、描画を追求したのではなく、ただ、作りたいものを作る為に進化して行ったんだと思います。私はエンジニアですが、ハードにも、ソフトにも感動を覚えます。という考えは・・・古いんでしょうね。(2010/01/26)

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いただいたコメント

ひとつだけ・・・ほぼ全部間違ってはいないと思います。ただ、一人のゲーム好きとして、ニンテンドーDSが勝ったのは、マーケティングだと思っています。ファミコンから始まりPS3やオンラインゲームまで来ましたが、ニンテンドーDSは買って1ヶ月後にはPSPに取って代わりました。理由は、あれはゲームではなく、エンターティンメントの部類になるのかなと。なぜか本気で遊ぶことが出来ませんでした。昨今のTV(まともに見れない)と同じです。日本という枠の中での「ゲーム」は、描画を追求したのではなく、ただ、作りたいものを作る為に進化して行ったんだと思います。私はエンジニアですが、ハードにも、ソフトにも感動を覚えます。という考えは・・・古いんでしょうね。(2010/01/26)

「日本は製造業では食っていけない」「中国には到底太刀打ちできない」等々、最近良く聞く言葉です。それを仰る型の中にどれほど中国企業の製造現場を、開発現場をご存知の方がいるのでしょうか?私は20年以上の製造業の経験の中で中国企業、台湾企業、韓国企業(もちろん日本企業)に従業員として入り込みこの肌で現場を感じてきました。その結論として、日本には日本にしかできない製造業があります!(キッパリ!)彼らにはマダマダ到達できない分野があります!(決してハイテクではなくむしろローテク) ただ、多くのこの業界の人間がそれに気づいていないだけです。日本人にとって当たり前すぎる感覚が世界に対する"売り"になることに気づいていません。要は「やり方」=方法論なんですよ(2010/01/26)

風間さんに賛成ですね。■技術立国を目指すべきという前提のもとでは、スパコンの開発を世界一を目指してやるべきだと思うのですが、その前提がないならやる必要はないと。ただ、技術ではなく○○で食っていくの○○が明確でない以上、現状としては惰性で目指さざるを得なくなってしまっていると。…バリバリの理系ですが何か。■風間さんの考える技術立国はそもそも成り立たないし、何も考えてなさそうにしか見えない現政府も、技術立国を目指していないことだけはわかる。環境税も技術立国を否定してますし。…となると何を目指すべきかなんですが、政府に期待しても出て来そうにありませんので。■二つあると思うんですよね、日本が世界に誇れるものが。『かゆい所に手が届く至れり尽くせりなサービス』と『世界一細かいところを追求するユーザー』。この辺を上手く利用すれば必ずや世界で存在感のある産業ができると思うんですよね。アタマの中にいくつかアイディアが思い浮かんでいますが、具体的には…お金貰わないと話せません^^; dsnk(2010/01/26)

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